定員管理計画について質問

カテゴリー:

65◯4番(鈴木節子君) 通告に従い、定員管理計画について質問します。

5年間で6.2%、420人の純減を目標とする行財政改革推進大綱により定員数の抑制、人件費の削減の方針のもと、正規職を減らし、非正規職をふやす手法がとられてきました。その結果、正規職員のかわりに本来正規職が担うべき住民サービス各分野に非正規職員が従事し、今ではなくてはならない存在になりつつあります。しかし、定員削減、人件費抑制の数値目標が前のめりに進められた結果、自治体の責務である住民の基本的人権と福祉増進を目的とするこの責務が変質されてはいないか、今、ここでしっかりとした検証が必要です。

住民にとっては、暮らし、福祉など生活に密接した分野の住民サービスはどうなったのか、職員にとっては業務過多による慢性の時間外労働、健康悪化が浮き彫りになっています。また、非正規職員にとっては、身分は一時的・臨時的なのに仕事は恒常的・専門的業務が任せられ、しかし身分は不安定で雇用の継続の保証はありません。これらの問題に対し、対応と改善を求める立場で質問します。

第1点目に、平成17年4月1日から5年間の定員管理計画により正規職員と非常勤嘱託職員の人数と割合はどのように推移したのか伺います。

2点目に、このほかにパート、臨時など定員管理計画に反映されていない非正規職員が働いていますので、現状を正確にとらえる意味で質問します。

ことし4月1日時点の正規、非常勤嘱託職員に加え、臨時、パートはそれぞれ何人か伺います。また、このうち、特に非正規職が重責を担っている分野でお聞きします。

公立保育園と図書館、それぞれの正規、非正規職員の人数と割合、またパート、臨時職員の人数を伺います。

以上1回目です。

 

 

◯総務局長(村松 眞君) お答えいたします。

初めに、平成17年4月1日から5年間の正規職員と非常勤嘱託職員の人数と割合についてお答えいたします。

平成17年4月1日の正規職員は6,816人、非常勤嘱託職員は1,409人、正規職員の割合は82.9%であります。以下、平成18年は正規6,761人、非常勤1,418人、正規職員の割合は82.7%、平成19年は正規6,635人、非常勤1,566人、正規職員の割合は80.9%、平成20年は正規6,560人、非常勤1,594人、正規職員の割合は80.5%、平成21年は正規6,430人、非常勤1,870人、正規職員の割合は77.5%、このように推移をしております。

次に、本年4月1日現在の正規職員、非常勤嘱託職員、臨時職員及びパートタイマーの人数と保育園、図書館のそれぞれの人数、割合などについてお答えをいたします。

平成21年4月1日現在の正規職員、非常勤嘱託職員、臨時職員、パートタイマーの数は、それぞれ6,430人、1,870人、309人、587人であります。そのうち保育園と図書館の正規職員、非常勤嘱託職員の人数及び割合は、保育園は正規の保育士510人、非常勤の保育士334人、正規職員の割合は60.4%、図書館は正規職員49人、非常勤職員122人、正規職員の割合は28.7%となっております。また、保育園の臨時職員は87人、パートタイマー312人、図書館の臨時職員は5人、パートタイマーは18人であります。

以上でございます。

〔4番鈴木節子君登壇〕

 

 

◯4番(鈴木節子君) 今、お答えいただきましたが、大分、数字だけですので、わかりにくい数字だったと思います。では、この内容について伺っていきますが、ことし10月に答申された行革推進大綱では、民間活力の導入や組織の統廃合、事務事業の廃止・委託などにより人員削減をより強硬的に推進しようとしています。また、新定員管理計画の策定に当たり、今後も委託化、再任用・短時間勤務職員の活用を進め、正規職1人当たりの業務を複数の再任用・短時間を組み合わせるなど、さらに定員削減に進む姿勢が見え隠れしています。このまま人件費削減だけが至上命題になった結果、公共サービスの質の縮小・低下を招くことがあってはなりません。

現在執行中の定員管理計画は、今年度が最終年度となり、来年度からの新しい定員管理計画が策定されようとしています。今、ここで真の行政サービスや職員配置のあり方について、特に正規職を減らし、非正規職が増員されたことから生じる市民と職員への負担や影響への検証が必要です。

4つの観点から質問します。

まず1点目に、高齢者、児童相談所、生活保護、保育など特に福祉分野は貧困や格差の拡大、人間関係の複雑さなど社会情勢も変化し、職員には業務の専門性や専門的知識の蓄積、継続性が求められていますが、こうした分野の市民サービスの質に縮小・低下はなかったのか。

2点目に、職員の長期病気休暇が増加傾向にあり、放置できない事態です。時間外労働の慢性化や健康悪化、メンタルヘルスはどこに原因があるのか、職員の仕事への意気込み、健康管理、業務量過多などに大きな影響を及ぼしているのではないか。

3点目に、定員管理の手法として、民間委託、民営化のほか、再雇用職員や非常勤嘱託、臨時職員が活用され、正規職と同様の仕事を非正規職が担い、住民サービスの第一線で働いています。この手法に問題はなかったのか。

4点目に、全職員に占める非正規職の割合は約2割です。これにパート、臨時約1,000人を加えると、3割近くなります。この割合に上限、物差し、一定のルールは持っていないのか。3割が非常勤職で占める状況が住民の福祉向上のための正常なあり方だと言えるのか、お考えを伺います。

次に、特に非正規職員が大事な住民サービスを担っている分野について伺います。

まず、公立保育園についてですが、先ほどお答えいただいた数字を見ますと、職員配置は正規職4に対して非常勤や臨時、パートなど合わせた非正規、これを含めますと、全体の6の割合です。まさに、非正規職が保育を担い、子育てに悩む母親や若い共働き世帯の支えになっています。しかし、非正規職が担任を受け持ち、責任の重い仕事をこなし、正規職と同じ業務でも臨時、短期扱いで賃金、待遇に格差があり、継続雇用の保証はありません。一方、正規職員にとっては入所数が増加し、定員超過による過度な負担増がのしかかっています。非正規職員が6割を占めるような配置が業務や保育に与える影響についてどうお考えか伺います。

続いて、図書館の実態について伺います。

職員の非常勤化が中央館、拠点館から今年度は地域館にも拡大されました。今年度の職員配置は正規49人に対し、非正規122人と2.5倍の非正規職員が図書館サービスを担っています。

本市の図書館は、市民1人当たりの図書貸し出し数が政令市比較で高い水準にあり、職員は自覚的に図書サービスに当たっておられますが、幅広い市民ニーズにこたえるためには、情報量を大量に持っている、収集していること、そして専門の知識、経験の積み重ね、仕事の継続性を確保できる安定雇用、生活できる賃金の保障など、待遇改善が必要であり、正規職とすべきです。また、非正規では仕事の権限や責任の所在が不明確になったり、ローテーション勤務により職員同士のコミュニケーションがとりにくいなどの問題が発生します。非常勤化による効果と、それよりも解決すべき課題のほうが多いのではないかと考えますが、これら課題について伺います。

以上、2回目の質問です。

 

 

◯総務局長(村松 眞君) お答えいたします。

新定員管理計画の策定に当たって正規職員を減員し、非常勤嘱託職員を増員したことによる各視点からの影響についての御質問にお答えをいたします。

新定員管理計画の策定に当たり、現在、現行計画の検証を行っているところでございます。これまで廃棄物処理業務や学校事務、用務、調理などにおきまして全体で約300人を非常勤嘱託の活用により減員をしておりますが、福祉、保健衛生、市民生活、環境などの分野におきましては、約230人の正規職員の増員も行っておりまして、必要な部門には適正な人員を配置し、市民サービスの向上を図っているところでございます。

職員の士気への影響につきましては、政令市移行による職場環境の変化や行政需要の高度化、複雑化といったさまざまな要因も関係することから、定員管理計画の実施のみをもって職員の士気への影響が生ずるものとは考えておりません。しかしながら、職員におきましては、全体の奉仕者としての責任感や仕事へのやりがいを感じてもらうことによって士気の向上を図ってまいりたいと考えております。

また、昨今の社会情勢の変化や職務環境の変化などにより職員に求められる職務の内容も高度化・複雑化しており、職員の健康管理、業務量に与える影響につきましては心配をしているところもございます。そのため、平成19年度から所属職員の時間外勤務の状況を所属長がパソコンで容易に把握できるようにするとともに、各局等に対し職員の時間外縮減と健康管理を中心にヒアリングを実施し、現状確認と縮減対策とともに、職員のメンタルヘルスについても指導を実施しております。

また、正規職員から非常勤嘱託職員への切りかえや臨時職員の活用などの手法、正規職員と非常勤嘱託職員の割合の点などにつきましては、具体的業務の内容を精査した上で、正規職員が必要な業務には職員を増員し、民営化すべきものは民営化し、非常勤嘱託職員を活用できる専門的業務では非常勤嘱託職員を活用し、補助的な業務については臨時職員を活用するなど、めり張りのある定員管理が重要と考えているところでございます。

以上でございます。

 

 

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 公立保育園では非正規職員が多いが、これが与える影響についてということでございますが、公立保育園では原則クラスに複数の保育士を配置する場合に限り、正規保育士とセットで非常勤保育士をクラスに配置しておりますが、非常勤保育士も保育士資格を持っており、適正な保育の実施はできていると考えております。

しかしながら、保育に関する責任や保護者への支援、非常勤保育士等の指導については正規保育士が行っておりますので、非常勤保育士や臨時保育士が多い状況は正規保育士の負担が大きくなり、時間外勤務がふえる要因となっております。

以上でございます。

 

 

◯教育次長(古屋光晴君) 図書館職員の非常勤化の効果と課題はという御質問にお答えいたします。

昨年度は中央館と拠点館で、今年度は地域館において正規職員の配置を非常勤嘱託職員の配置に変更する非常勤化を行いました。非常勤嘱託職員の採用に当たっては、司書の資格を持っていることを条件としていますので、窓口に多くの司書資格所有者を配置することができました。非常勤化した後も円滑にサービスを提供するため、また非常勤嘱託職員の資質の向上を図るため、図書館では計画的な研修を実施するとともに、外部の各種研修に積極的に参加させております。また、非常勤嘱託職員は勤務日数が少ないため、職員間のコミュニケーションや情報の共有化が損なわれることのないよう努めております。

以上でございます。

〔4番鈴木節子君登壇〕

 

 

◯4番(鈴木節子君) 今、4つの観点から影響を伺いましたが、職員については時間外労働、メンタルヘルスがふえている状況については真っ正面からとらえようとはしておりませんが、事実を直視すれば大変な事態になっていると思います。職員の方たちは業務量の多さに、そして市民から切実な要求の多さに、どうやって職員がそれにこたえようかとまじめに仕事に専念しておられますが、もうこれ以上は対応できないという大変な事態に直面しております。だからこそ定員管理計画を、ここで新しい管理計画策定に当たり、もう一度見直し、方針をもとに戻すべきではないかという立場での質問ですが、では3回目の質問をいたします。

自治体の仕事は正規、非正規にかかわらず公務であるということに変わりはありません。地域住民の生活をトータルにとらえ、適切に対応すること、住民の人権保障、社会権を保障していくことです。人々の状況を把握をし、臨機応変で適切なケアのためには高度な専門性が求められ、それが一朝一夕に獲得できるはずはありません。身分が保障され、安定的に働くことができてこそ発展でき、もともとコスト削減にはなじまない領域です。健全な財政運営を名目に、無理やり人件費削減の対象にしようとするため、安い賃金の臨時や非常勤職員に置きかえられていることに、もはや無理、矛盾が生じています。

では、正規職員はどういう状態に置かれているでしょうか。社会経済生産性本部という組織が全国の自治体1,874組織から2007年にアンケート調査を行いました。結果は、1人当たりの仕事量がかなりふえた、個人で仕事をする機会がふえた、職場のコミュニケーションが減った、職場の助け合いが減り、その一方で住民の行政を見る目が厳しくなったというものです。

では、非正規職員の置かれている状況はどうでしょうか。正規職と同等の長期的・基幹的業務に従事しながら、待遇は劣悪です。何年働いても昇級なし、張り合いもなく生活が苦しい、同じ業務なのに正規と比べ賃金は低く、雇用の保障もなく、退職金もない、将来の展望が持てないという声も寄せられています。自治体がみずから安い低賃金労働者を使って官製ワーキングプアをつくっていると言わざるを得ません。不安定な身分、劣悪な処遇、雇用の継続が保障されないため、労働力の入れかわりによって結果的には公務の質、住民サービスの質の低下を招きかねません。今、ここで行政本来のあり方に立ち戻って真摯に見直す必要があります。

3点お伺いします。

1点目に、新しい定員管理計画策定に当たり、公務の本来の役割からいえば正規職、非常勤嘱託職員の配置はどうあるのが望ましいのか、お考えを伺います。

2点目に、福祉、医療など特に専門性や経験の蓄積の求められる分野には正規職を増員してこそ住民要求にこたえられます。定員削減を各局から自主的に上げよというような、こういう押しつけをするのではなくて、無理な定員削減は見直しし……。

 

 

◯議長(近藤光男君) 質問はあと1分で終了してください。

 

 

◯4番(鈴木節子君)(続) むしろ正規職の増員計画、この方針に立ち戻るべきです。方針を伺います。

3点目には、非正規職の不安定な身分、劣悪な処遇について伺います。

諸手当や退職金、昇級制度もなく、経験給もない劣悪な労働条件を改善し、正規職と対等な待遇とすべきです。今、非正規の職員がこの市政を支えている現状からすれば、せめて非正規の職員の皆さんの待遇を改善すべきだと思います。そのお考えを伺って質問を終わります。

 

 

◯総務局長(村松 眞君) お答えいたします。

初めに、今後どのように正規職員、非常勤嘱託職員を配置していくのか、また正規職員を増員することが市民ニーズの反映と考えるが、どうかという御質問に一括してお答えをいたします。

今後の定員管理計画におきましては、職員の削減自体を目的とするのではないものの、限られた人材を重点的かつ効果的に活用するために、具体的業務の内容を精査した上で、業務の専門性やノウハウ、経験の蓄積などを求められる分野には職員を増員し、一方、民間活力の活用、専門的業務での非常勤嘱託職員の活用や補助的な業務での臨時職員の活用が可能な業務においては職員を減員するなど、めり張りのある定員管理に基づく職員配置を行ってまいります。

続きまして、非正規職員への手当、退職金などの支給に関します御質問にお答えをいたします。

本市の非常勤嘱託職員の報酬は、業務によって、また資格職によってそれぞれ異なりますが、正規職員短大初任給相当額、または資格を必要とする職員につきましてはその資格の正規職員初任給相当額を基準といたしており、また業務に従事している時間に比例して報酬を決定しておりますので、適正なものであると認識をしております。

なお、本市の非常勤嘱託職員は必要に応じ期間を定めて任用していることから、退職手当の支給対象にはならないものと考えております。

以上でございます。