人事委員会制度と人事に関する政策と取り組みについて質問

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66◯3番(寺尾 昭君) 私は、市の職員が誇りと生きがいを持って業務の遂行に当たっていける、そのために人事委員会制度と人事に関する政策と取り組み、このことについてお聞きいたします。

国に設置されております人事院、1948年、古い話になりますが、マッカーサー書簡とそれを受けた政令201号の公務員の団体交渉権の制限やストライキ権の制限、禁止ということがあったわけです。その後、これら労働基本権の代償措置として、国家公務員法においてつくられたというものであります。あわせて、地方公務員法も改正されまして、同様の趣旨で人事委員会が都道府県、また、政令指定都市というところに設置をされたと、こういう経緯になっております。

人事委員会の権限と役割は、設置された歴史的経過から労働基本権の代償機関として独立した第三者機関、その権限と役割を果たしていくことが求められるわけであります。その権限と役割については、地方公務員法第8条に規定されていますが、職員に係る人事行政、勤務条件、研修、厚生福利など、職員のさまざまな制度について調査研究し、議会や市長に勧告できる、こういう権限があるわけであります。しかも、だれにも干渉、制約を受けず、中立独立の第三者機関として、その権限を行使できる機関として重要な位置づけがされております。公務職場における労働条件の監督機関としての役割も担っているということであります。

以上の立場から、まず、質問をいたします。

第1に、ことしの人事委員会勧告の中でも、職員の時間外勤務が年々増加していること。精神疾患を理由に長期にわたって休暇をとっている職員が増加傾向にある。このように触れております。この点について、どのような問題意識を持っているのか伺います。

第2は、職員の意向や要望を把握するために職員組合との話し合いを行っていると聞いておりますが、その回数、時間、どんなふうになっているのか伺います。

3つ目は、さきの国会の議論で総務副大臣が、こういうことを言っております。夫婦と子供2人、40歳係長と、こういう例で、平成10年以降、ことしの勧告までの11年間、何と年間で収入が111万円も低下したというふうに答えております。今回の勧告で市職員は、また、20万円削減されたということがあったわけであります。職員への士気の低下が心配されるわけですけれども、どのようにこれを認識されているのか伺います。

4つ目は、公務員制度改革の中で労働基本権の回復についても検討されておりますけれども、この点について人事委員会はどのように考えておられるのか伺います。

次に、職員に係る人事政策とその取り組みについて伺います。

最近、職員の市民に接する態度、よくなったというようなことも聞くことがあります。これは喜ばしいことだと思います。ただ、一部にはまだ批判や不満の声、これもやっぱり聞くわけであります。市民サービスの向上を図る第一歩は、職員の市民に接する姿勢だということも言えるわけであります。市民の要望にいかにこたえていくか、法令や条件等により、直ちにこたえられない場合であっても、ほかにどのような方法があるかなど、市民の気持ちに沿った対応がどれだけできるか、これが市民の方々の安心感となり、行政への信頼度、こういうものにつながっていくわけであります。

来年度から新しく5カ年計画で職員定員管理計画が実施されるということで、現在、その策定作業が進められているわけでありますが、平成17年度から進められている現在の定員管理計画、今年度で終わるわけでありますが、4年間で386人、5.7%の削減が進んだというふうに言っております。新計画では、さらに5%程度の削減を目指すと言っておりますけれども、一口に言ってこの計画は職場の実態や職員の意向よりも、まず、削減ありきというようなことが前面に出ているんではないかというふうに思われます。この計画が達成されると、あわせて700人を大幅に超える、こういう削減ということになるわけであります。

きのうの討論でも、総務局長は、必要な部署には増員も行っている。メンタル面での指導、時間外労働の把握、健康管理にも努めている、そういう旨を答えられましたけれども、人事委員会も指摘しておりますように、職場の現状は改善が見られず、言ってみれば、悪化の一途というふうにも言えるような異常な状態だと思います。この点から見る限り、かなり無理をした計画だということも言えるんじゃないでしょうか。市民へのサービス低下をさせないためにも、事業量に応じた適材適所の人員配置が原則だと考えます。

そこで、質問いたします。

まず、職員研修について、市民サービスの向上のための研修はどのような内容で行っているか、その内容について伺います。

2つ目は、定員管理計画は住民福祉の向上を第一に、職員の士気、意欲の向上を図りながら進めるべきであるというふうに考えます。今後、どのような考え方で進めていくのか伺います。

以上、第1回目の質問であります。

 

 

◯人事委員会事務局長(川口晴郷君) 人事委員会の権限と役割についての4つの質問についてお答えをいたします。

まず、1つ目ですけども、勧告の中でも職員の時間外勤務が年々増加していること。精神疾患を理由に長期にわたって休暇をとっている職員が増加傾向にあることと触れているが、どのような問題意識を持っているかという御質問ですけれども、職務内容の高度化、複雑化に伴いまして、職員を取り巻く職務環境は大きく変化していることから、これらの対策につきましては、職員の健康管理の観点はもとより、効率的な公務能率の推進の観点からも重要な課題であると考えておりまして、勧告の中でも言及をさせていただいております。

2つ目の職員の意向や要望を把握するための職員組合との話し合いの回数と時間はどうなっているかという御質問ですけれども、静岡市職員労働組合連合会、静岡自治体労働組合総連合及び自治労静岡県本部の3団体から、それぞれ2回ずつ、計6回、最長で1時間程度の話し合いを行っております。

3つ目の質問でございますけども、勧告による職員の士気への影響をどのように認識しているかという御質問ですけども、職員の士気への影響は心配されるところではございますが、勧告は地方公務員法に定められている情勢適応の原則に基づきまして、地域の民間給与を的確に反映した結果であることから、職員には改めまして全体の奉仕者としての責任感や仕事のやりがいを感じてもらうことによって、士気の向上を図ってほしいと考えております。

4つ目の質問でございますけども、労働基本権の回復についてどのように考えているかということなんですけども、現在、国に設置されました国家公務員制度改革推進本部の労使関係制度検討委員会におきまして検討が進められているところでございまして、これらの動きを注視しているところでございます。

以上でございます。

 

 

◯総務局長(村松 眞君) 初めに、市民サービス向上のための職員研修についてお答えをいたします。

本市の職員に対する市民応対についての啓発を目的といたしまして、毎年、春と秋に市民応対向上運動を実施しておりますが、その一環として職員一人一人の接遇スキルの向上を図るため、平成20年度から平成23年度までの4年間で、正規職員と非常勤嘱託職員の全職員を対象にフォローアップ研修を実施することとしており、この2年間では約1,900人の職員が受講しております。また、新規採用職員や若手職員を対象とした階層別研修におきまして、接遇スキルや市民満足度の向上を目指したカリキュラムを組み込み、実施するとともに、応募制の専門研修におきましても、市民対応力や市民に対する説明能力などを向上させることを目的とした研修を実施しているところでございます。

次に、定員管理計画の今後の進め方についてお答えをいたします。

定員管理の今後の進め方につきましては、行革審の答申などを踏まえ、引き続き、民間活力の積極的な活用を図りつつ、弾力的、機動的で事業実施にとって最適な職員配置となるよう、来年度から平成26年度までの5年間を目標期間とする新たな定員管理計画を今年度中に策定する予定でございます。この計画におきましても、引き続き行政のスリム化を図るとともに、本市が目指す重点分野を明確にし、必要なところには増員を行うなど、市民ニーズに迅速かつ的確に対応できる体制を構築できるよう努めてまいります。

以上でございます。

〔3番寺尾 昭君登壇〕

 

 

◯3番(寺尾 昭君) 2回目の質問をいたします。

それでは、2回目もまず、人事委員会制度についての質問であります。

労働基本権の代償機能という点では、これら諸権利を剥奪されながら職員の勤務条件改善のために活動している職員組合に対し、単に要望を聞くということにとどまらず、その要望を給与勧告にいかに反映をさせたか、これが問われるわけであります。また、公正中立な第三者機関としての独立性という点では、今回の勧告を見た場合、基本給の引き下げ、期末手当0.35月の引き下げ、住居手当の廃止など、言ってみれば人事院勧告とうり二つというような状況ではないかと思います。

これまでの給与勧告は、押しなべて人事院勧告のいわば引き写しということで、国に追随するというような形ではなかったかと思います。今回も職員が労働基本権の制約を受け、労使交渉により給与を決定できないことの代償措置として、あるいは公正中立の第三者機関の立場からと、この報告の中で述べているわけでありますが、勧告のどの部分でこのことが裏づけられたのか、読み取るということが極めて困難だというふうに私は思っております。

そこで、質問です。

本年の人事委員会勧告では、時間外勤務が増加していることに関し、人員配置とのかかわりについて触れていない。この点についてはどのように考えるかという点が1つ。人事委員会として今回の勧告が労働基本権の制約を受けた職員の立場に立った代償機関としての役割を本当に果たしているのか、この点をお聞きしたいと思います。

2つ目は、国の公務員制度改革大綱によれば、地方公務員制度についても国のスケジュールに準じて進めることになっておりますけれども、人事委員会としては今後どのように考えるかお伺いいたします。

次に、職員の人事にかかわる政策と取り組みについて伺うわけであります。

憲法99条は、公務員の憲法遵守義務をうたっております。憲法は恒久平和、国民主権、基本的人権、地方自治などを柱としていることは広く知られているところでありますが、市長を先頭にすべての公務員が憲法の内容をしっかりと理解し、守っていくこと、生かしていくことが市政を担い、毎日の業務を遂行していく上でも求められると思います。

そこで、質問です。

憲法では、今、申し上げましたように憲法を遵守すること、職員は全体の奉仕者として位置づけられているわけですが、このことについて研修の中ではどのように行われているか。住民サービス向上に向けた職員研修のあり方について、どのように考えているかお伺いいたします。

2つ目は、職員が人事異動により短期間でかわっていくことが職務に精通することを妨げて、住民サービスの向上に寄与できない原因の1つになっているんではないかと考えられます。職場に配置された職員は行政のプロとして、住民のさまざまな要望、期待にこたえ、その役割を発揮することが求められます。そのために人事異動方針を今後検討することが必要ではないかと思いますけれども、当局はどんなふうに考えていらっしゃいますか。

3つ目、新定員管理計画の策定に当たっては、これまでの5カ年間の計画について十分検証することが必要ではないか。私が聞く限りでは、職員の士気、意欲の向上、住民サービスの向上という点で逆行するというような状況も生まれているというふうに聞いております。PFI、市場化テスト、独立行政法人、指定管理者など、新たな民営化の手法の推進も指示をしているわけですけれども、全国ではPFIで民間企業が参入をした、しかし、結局また、契約解除となったというような例なども生まれているわけであります。委託化・民営化については、住民サービスの低下になった全国の例なども参考にして、十分検証をして進めていく必要があると考えますが、どのように進めるのか伺います。

4つ目は、職員の健康管理であります。

先ほども人事委員会事務局長からお答えがありましたけれども、時間外勤務の削減などについて触れております。メンタル疾患は仕事や人員配置との関連、これがやっぱり否定できない事実ではないかというふうに私は思います。時間外労働は年間360時間以下にすべきだというのが、国の基準として示されています。正規職員で360時間を超えたのはどのくらいいるのか、現在、メンタル疾患で長期休暇をとっている職員は何人いるのか、この点についても明らかにしてください。

さらに、このメンタル疾患対策としてこれからどのような対策を進めていくのか、これについてもお聞きいたします。

5番目は、人事評価制度であります。

結局、生産効率の向上につながらないという結論で、既にこの評価制度を廃止した民間企業さえ生まれているわけです。公務の職場に成績主義を適用するということについては適切でない、こういう意見も少なくありません。第一に、製造や販売などのいわゆる企業とは異なって、公務の内容は数値ではあらわしにくく、評価する側の主観が入りやすい、そういうようなことで評価のいわゆる客観的な基準を設定することが非常に難しいわけであります。また、チームやグループということでお互いに支え合って、補い合って仕事を進める、こういうことが多いわけでありまして、個人の評価を導入するということが、結局職場のまとまりを欠くというようなことにもつながるということであります。

以上の点から、人事評価制度の一般職員の導入については、拙速に進めるべきではないというふうに考えますけれども、今後の客観的な評価基準や職員の納得性を確保していく必要があると思いますけれども、どのように考えておられるのかお聞きいたします。

以上、2回目であります。

 

 

◯人事委員会事務局長(川口晴郷君) 勧告では時間外勤務が増加していることに関して、人員配置とのかかわりについて触れていないが、どのように考えているか。また、労働基本権を制約された職員の立場に立った代償機関としての役割を果たした内容になっているかという御質問ですけども、人員配置につきましては適正に行われているものと考えておりまして、勧告の中では時間外勤務の縮減について、より実効性のある取り組みを管理監督者を中心に強力に推進していくことが重要であると義務づけをさせていただいております。

また、公正中立な第三者機関である当人事委員会は職員に対し、社会一般の情勢に適用した適正な給与、勤務時間、その他の勤務条件を確保するために勧告を行っておりまして、労働基本権制約の代償機関としての役割は十分に果たしているものと考えております。

公務員制度改革大綱によれば、地方公務員制度についても国のスケジュールに準じて進めることになっているが、どのように考えているかという御質問ですけども、現在、国におきましては公務員制度改革大綱を踏まえた国家公務員制度改革基本法が施行され、これに基づく工程表により公務員制度改革が進められているところでありまして、これらの動きを注視しているところでございます。

以上でございます。

 

 

◯総務局長(村松 眞君) 初めに、職員研修における全体の奉仕者の位置づけと、それから、住民サービスの向上に向けた職員研修のあり方についてお答えをいたします。

憲法第15条第2項には、公務員はすべて全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないと規定されておりますが、このことにつきましては、新規採用職員研修や採用2年目から4年目の職員が受講する研修の中に、地方公務員法のカリキュラムを設けまして、その中で公務員の基本である全体の奉仕者としての地位と責任について自覚をさせておるところでございます。

また、平成21年3月に改定いたしました静岡市人材育成ビジョンにおきまして、市民の目線を大切にする、よりよい行政経営を目指し、人材開発や人材育成に取り組んでいくことを明記するとともに、職員が目指す人材像の1つとして、市民感覚を持って、常に市民や地域のために貢献しようとする住民指向型人材を掲げておりまして、このような職員になるために必要な能力の開発及び育成は非常に重要であるとの認識のもと、現在の研修体系を構築し、事業展開しているところでございます。

次に、市民ニーズの複雑化に対応するための人事異動の考え方についてお答えをいたします。

本市の職員につきましては、政令指定都市の職員として、複雑化する市民ニーズに対応するとともに、各分野において、これまで以上に高度な行政遂行能力が求められております。これらのことから、職員の人事異動につきましてもバランスのとれた育成を基本としつつ、専門性の高い業務に継続的に従事する職員も意識的に育成、配置をし、複雑、高度化する行政課題に対応する必要があると考えているところでございます。

次に、新定員管理計画の策定に当たって、今後の民営化の推進などについてどのように進めていくかという御質問にお答えをいたします。

来年度からの新定員管理計画の策定に当たりましては、これまで実施しました定員管理計画の状況について、今後、各局等から報告を受けた上で十分な検証を行い、進めていく予定でございます。また、民間活力の活用などの手法を踏まえた、めり張りのある定員管理計画を策定するに当たりましては、市民サービスの維持、向上につながるよう、行革審の答申の趣旨を踏まえ、行政と民間のそれぞれが担うべき役割分担を明確にするとともに、メリット、デメリットを十分に把握した上で進めてまいります。

次に、時間外勤務が年間360時間を超えた職員、それから、メンタル疾患等による長期休暇の実態及び職員に対するメンタル疾患予防についてお答えをいたします。

平成20年度において時間外勤務が年間360時間を超えた職員数は631人でございます。また、平成21年度において30日以上、病気休暇等を取得した職員は21年9月末現在86人おりまして、このうち精神疾患によるものは48人でございます。

職員によるメンタル疾患予防への取り組みにつきましては、相談事業といたしまして、精神科医、臨床心理士などによる心の相談事業を毎月開催しているほか、随時保健師が相談に応じ、職場との連携を図り、状況により産業医などとの面談も行っております。

研修事業といたしましては、メンタルヘルス講演会を管理監督者向けと一般職員向けに分けて、それぞれ毎年実施し、心の健康問題に対する管理監督者の役割や職員自身のセルフケアなどを習得するようにしております。そのほか階層別研修においても、心の健康センターの医師や保健師によるメンタルヘルス研修を行っているところでございます。

また、時間外勤務の多い職員に対しましては、メンタル疾患などの病気につながらないよう、所属だけでなく産業医などの健康管理スタッフも加わり、連携して職員に対応しているところでございます。

次に、人事評価における客観的な評価基準や職員の納得性を確保する仕組みをどのように進めていくかとの御質問にお答えをいたします。

本市の人事評価制度は、職員の能力開発や組織力の向上などを目的として、全職員を対象に実施しているところでございますが、制度を適正に運用していくためには、議員御指摘のとおり評価の公平性と職員の納得性の確保が重要となります。そのため、制度の自己評価や年3回の面談の実施、多段階評価の手法を取り入れるとともに、評価基準や判定のチェックリストを運用マニュアルに掲載するなど、これまでも公平性と納得性の確保に努めてまいりました。

また、今年度からは面談をより充実させるため、これまで所属長が行ってきた面談を統括主幹などの担当の長が実施できるよう制度を改正するとともに、業務の結果だけでなく、その過程の努力を評価するため、業績評価を新たに困難度という考え方を導入したところでございます。

今後におきましても、職員がやる気とやりがいを持って職務に当たることができるよう、制度の改善に取り組んでまいりたいと考えております。

以上でございます。

〔3番寺尾 昭君登壇〕

 

 

◯3番(寺尾 昭君) 時間が少なくなりましたけれども、今お答えいただいた数字を見てみましても……

 

 

◯議長(近藤光男君) 質問はあと1分で終了してください。

 

 

◯3番(寺尾 昭君)(続) 631人の360時間を超える職員がいるという事実、86人の長期休暇者がいると、こういうお話でありますので、これはやはりこの人員の問題と切り離して考えられないということが言えるんではないかと思います。そういう点で、さまざまな対応をしてるということでありますが、これはいわゆる対処療法ということになるわけであります。やはり根本的な問題も、そこに切り込んでいくという必要が私はあるというふうに思います。

今、政権交代で地方政治も変化をしているということがあります。人事委員会の立場、独立中立、そして、代償機関、こういう役割をより一層発揮していただきますことを最後にお願いして、質問といたします。ありがとうございました。