◯4番(鈴木節子君) 通告に従いまして、医療、福祉など命と暮らしにかかわる分野で質問します。
まず、大変切実な問題となっている国保行政については、今年度は毎議会取り組みたいという決意でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。これまでも、高過ぎる国保料引き下げの観点から質問してきましたが、今回は滞納世帯に交付される資格証と窓口負担減免の2つの項目で質問します。
今、国民の暮らしは疲弊し続け、高過ぎる国保料が払えない、分納でやっと短期証をつないでいる、病気になっても医療費が払えないため受診できないなど、国保をめぐる状況は深刻です。先週、今年度の国保料の通知が送付されたばかりですが、やりくりも限界、支払いのめども立たないなど、高過ぎる国保料に悲鳴が上がっています。
こういう現状の中、滞納世帯には正規の保険証を交付せず、現在2,200世帯に資格証を、7,700世帯には短期証が交付されています。発行の理由を、滞納世帯との折衝の機会を確保するため、収納率向上のためとしています。しかし、正規証でも窓口負担が重く受診を控える世帯が多い中、資格証では窓口負担が10割負担となるため、病気になっても受診をあきらめ、医療を受ける権利まで奪っているのが実態です。
質問の1点目に、医療を受ける権利を奪ってでも収納率を向上させることが最優先の課題だということか、行政の役割として住民の命・健康を守ることと収納率向上と、どちらが重要と考えるのか見解を伺います。
2点目に、昨年厚労省が実施した医療費窓口一部負担金の減免のモデル事業について質問します。
これまで、制度があっても適用実績はゼロ件でした。半年のモデル事業の間の実績、件数と金額、そして市や医療機関から住民への紹介や周知方法はどうだったのか、相談体制や生活支援のための福祉行政との連絡はどうとり合ったのか、総括と課題を伺います。
次に、2つ目のテーマ、子宮頸がん対応について伺います。
昨日から質問が続いていますが、女性の間では関心の高い切実なテーマです。子宮頸がんは、日本の20歳代の女性では乳がんを抜いて発症率が一番高いがんですが、唯一ワクチンで予防できるがんです。日本産婦人科学会や小児科学会が、11歳から14歳の女子にワクチン接種を公的負担で接種するよう求めていますが、3回の注射で4万円から6万円が自己負担となり、公的援助が不可欠です。お配りした資料にあるとおり、国内では東京都、名古屋市を初め県内では三島市、川根本町など多数の自治体が独自助成に踏み切り、国内の自治体、そして海外の助成はますます広がりつつあります。
質問の1点目に、ワクチン接種の公費助成に対する有効性、必要性について、どのような見解か伺います。また、公費助成した場合の試算は、昨日の答弁では1学年で1億3,500万円、財源は確保できるとしても、あとは副作用に対するさまざまな考え方をどうクリアするかです。予防接種部会の議論では、5割から7割が有効性があると十分高い数字です。本日の報道でも、川根本町は自己負担5,000円で高校生まで補助に踏み切りました。希望者が多く、予防に力を入れるという姿勢です。
守れる命はしっかり守るというのは行政の責任ですので、公費助成に踏み切るべきではないか、見解を伺います。
ワクチン接種とあわせ検診も重要です。昨年度より無料クーポン券が20歳から40歳までの5歳置きの女性に送付されていますが、送付者2万2,800人に対し検診受診者は約5,000人、22%の人しか受けていないのはなぜでしょうか。医療機関に申し込んでも予約がいっぱいで数カ月待ち、また個人では検診になかなか踏み切れないなどの声も聞こえています。解決すべき課題について、どのようにお考えか伺います。
続いて、3つ目の難病対策について伺います。
難病とは、原因が解明されていないなど治りにくく、経済的にも非常に負担となるような病気で、病気が慢性化し、障害を残して社会復帰が極度に困難、もしくは不可能な病気と言われています。病気の種類は5,000から7,000もあると言われ、難病や長期慢性疾患の患者やその家族は、苦しい病気と闘いながら医療の負担軽減、内部障害者としての福祉利用、雇用や教育の保障、拡充などを求めています。
患者さんからは、大変希少性の高い難病を診断できる専門医がいない。医療面でも福祉面でも公的支援の対象にされないなど根本問題の上に、市の事業が大変使いにくい、改善を求める。また、市の独自策をもっとふやしてほしいという指摘があります。本市の難病対策事業、この利用状況と解決すべき課題をどうとらえているのか、また、今後どう取り組んでいこうとしているのか伺います。
以上、1回目の質問です。
◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 最初に、国保の資格証明書による受診抑制についてということでございますが、住民の命・健康は他と比較すべきものではないと考えます。国民健康保険は、被保険者の相互扶助で成り立つ制度であり、その財源となり得る保険料の収納確保は制度の維持及び被保険者の負担の公平を図るという観点からも極めて重要でございます。
資格証明書などは法令の規定によって交付するもので、当然、法の定める要件に当てはまる被保険者には資格証明書等の交付をすべきものと考えております。
次に、国保の一部負担金減免のモデル事業の実績と課題についてでございますが、平成21年度に実施しました国民健康保険における一部負担金の適切な運用に係るモデル事業の実績は1件、約3万円でございます。取り扱い件数が少なかったこともあり、課題の検討までには至りませんでした。
次に、子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成の有効性・必要性、市の方針についてということでございますが、子宮頸がんワクチンは接種費用が4万円から5万円ほどかかるため、公費助成をすれば接種者は増加すると予想されます。また、ワクチンで予防できるがんとして市民ニーズが高まってきているという点も承知しております。
ただし、市として公費助成するに当たっては国内での安全性や有効性の評価が十分なされているとは言えず、健康被害発生時の補償も十分ではないなど、種痘による健康被害を経験し、安全性を最重要視している本市としては課題が多いと認識しております。
次に、子宮頸がん検診制度の課題でございますが、本市では、国の指針を受けまして子宮頸がん検診を2年に一度受診するよう薦めており、さらなる推進策の一つとして平成21年度からは女性特有がん検診推進事業によりまして、節目年齢の方に無料クーポン券を送付しております。この無料クーポン券を直接受け取ることによりまして検診意識の呼び起こしに寄与していると考えております。しかし、受診希望時期が集中することや休日の受診希望などの御意見があることから、検診実施医療機関などと受診しやすい環境づくりを検討してまいります。
次に、難病対策事業の利用状況、課題、取り組みでございますが、難病対策事業の利用状況は年によって増減がございますが、例えば、居宅生活支援事業の利用実績は平成20年度14件、21年度3件と、利用は少ない状況にございます。
課題としましては、特定疾患として医療費助成を受けられる患者さん以外は患者さんを把握することができないことや、患者さんの状況が病状により変化することなどから、実態をとらえた制度化がしにくいことも考えられます。今後も制度の周知やニーズの把握に努めてまいりますが、本年度は市の障害者施策推進協議会におきまして発達障害や高次脳機能障害、難病など、制度のはざまに置かれている人たちの現状と課題について議論していただいているところであり、これらの御意見を参考にしながら検討してまいります。
以上でございます。
〔4番鈴木節子君登壇〕
◯4番(鈴木節子君) 最初に国保についてですが、答弁で相互扶助という言葉が出てきましたが、現在の国保法にはどこにも相互扶助という文言は書かれてはおりません。この考えは戦前の考え方ですので、参考までにもう一度確認をお願いします。
では国保ですが、これまでの非情な国保行政に対し国民から批判が集中した結果、国は従来の手法を手直しする通達を出しています。09年1月には、経済的に困窮し医療の必要を訴える人には大人でも短期証を交付するという通達、09年9月には経営難や失業など特別な事情がある場合は資格証を出してはならず、滞納理由を丁寧に把握するよう自治体に要請しました。ことし3月は、払えるのに払わないと証明できた場合以外は慎重な対応をと、長妻厚労相が答弁しています。
では、本市の対応はどうか。資格証の人が受診したい、しかし医療費が払えないと申し出た場合でも分納させ、完納の誓約書をとり、1カ月ごとの短期証を出し、毎月窓口に来て現金を支払わなければ短期証を交付しないというのが実態です。資料にあるように、短期証の交付はふえています。先ほどの答弁では、法令に従ってという答弁でしたが、国の通達とは矛盾した答弁です。
政府は、短期証発行について滞納している保険料の納付は必要ないと08年11月に答弁していますが、本市は分納しなければ短期証を出していません。これも政府の見解と矛盾しています。一連の政府の通達に従えば、資格証発行は出さず、経済的負担を押しつけることなく、せめて短期証を出すべきだと考えます。見解を伺います。
2点目に、医療費の一部負担金の減免について、これまで静岡県内の適用実績はゼロ件でした。モデル事業の間、本市はたったの1件です。三島市は2件、袋井市1件、計4件の適用になると思いますが、本市の1件は市民団体が本当に困って必要とする人を窓口に引き合わせた結果であり、行政からの働きかけではありません。医療費が払えないため受診を控える、あるいは途中で中断し病気が悪化、重篤化するケースが後を絶ちません。
本市は、窓口一部負担金の減免を規則で定めていますが、適用できるのは保険料を完納した者及び完納の誓約をした者と限られ、滞納者は対象外です。4世帯に1世帯の滞納世帯がいる現状に対し、これは一体何のための制度でしょうか。保険料を払えないほど困窮し、経済的理由で受診もできない世帯にこそ、この制度を適用させるべきです。
当局は、減免は例外的措置のため公平の観点から慎重に対応するとか、条件緩和は他都市の状況を見て研究すると、さきの議会では答弁をされました。それでは、政令市の実態をお知らせをいたします。札幌市65件、390万円、横浜市82件、2,500万円、京都市162件、2,700万円、神戸市250件、2,300万円、広島市1,883件、7,360万円に対し、くどいようですが本市の実績1件、金額は3万1,737円という実績です。浜松市も同じように横並びでございます。大変残念です。制度の適用者を広げるためにも、保険料完納という条件を削除すべきです。お考えを伺います。
子宮頸がんについてですが、ワクチン接種とあわせ検診の充実も重要です。無料クーポン券と市の子宮頸がん検診事業を組み合わせ、検診が受けやすくはなりましたが、国に対し無料クーポン券は継続を、そして5歳置きではなく対象者を拡大するよう要請するなど、検診推進の手だてを伺います。
また、ワクチン接種での公費助成についてですが、これはぜひとも要望を強くしたい問題です。公費助成は不可欠です。国会では厚生労働大臣が予防接種法に位置づけるか否かについて、優先順位の高い部類として予防接種部会でも御議論いただいていると答弁しています。公費助成を国に積極的に要望し、かつ本市でも助成に踏み切る英断をお願いをいたします。
難病対策について。
患者さんは慢性疾患、高機能障害、うつなど数種類の障害を抱え、生活の見通しが見えず、就職できても体調の変化や職場の不理解によりやめざるを得ないなど、困難を抱えています。相談窓口として、医療・療養環境の整備、就労支援体制、家族介護への支援など、総合的に相談できるセンターを設置する、あるいは気軽に相談できるよう体制の強化についてお考えを伺います。
以上、2回目です。
◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 最初に、医療における必要が生じた場合の国保の資格証についてでございますが、国の通知によりまして当該世帯に属する被保険者が医療を受ける必要が生じ、かつ医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には、短期保険証を交付いたします。
次に、国保の一部負担金減免の条件緩和についてでございますが、今後モデル事業の結果に基づきまして国が示す基準に沿って、一部負担金の減免制度を適切に運用していきたいと考えております。
次に、子宮頸がんの無料クーポン券の配布継続実施、それから国への要望についてでございますが、子宮頸がん検診の無料クーポン券配布事業は、未来へつながる子育て支援の一環としてとらえております。本市としましては、全国衛生部長会や大都市衛生主管局長会議で事業の継続実施を要望してまいります。
次に、難病の相談支援センターの設置や相談体制の強化についてでございますが、県では難病団体連絡協議会に委託しまして、静岡市内に難病相談支援センターを設置しております。そこでは、難病患者の各種相談事業、就労支援、関係機関との連携による支援を行っております。
市におきましては、同様の業務を保健所の保健師が実施しておりまして、訪問、電話、窓口相談など合わせますと平成21年度実績で4,214件の相談を受けております。特に困難なケースにつきましては、市や関係機関によるケア会議を実施したり、静岡市難病患者在宅療養支援計画策定・評価委員会に諮るなどして、個々のケースごとに最善の支援ができるよう努力しているところでございます。
今後も、患者団体や障害者協会などと連携しながら、相談体制の一層の充実に努めてまいります。
以上でございます。
〔4番鈴木節子君登壇〕
◯4番(鈴木節子君) 3回目は国保だけですが、国保料の収納率が初めて9割を下回っています。4世帯に1世帯が滞納する。そして、そのうち所得200万円以下世帯が7割を占めています。本日は、皆さんに資料をお配りをしてありますので、じっくりと後でごらんいただきたいと思います。
滞納のうち、給与所得者、無所得者、年金世帯が7割に及びます。倒産や事業休廃止、解雇などが相次ぎ、貧困に直面する世帯に対し、滞納による保険証の取り上げは行わない配慮が必要です。せめて、保険料が軽減されている低所得世帯には、資格証でなく正規の保険証を交付すべきです。見解を伺います。
2点目に、医療費の一部負担金減免について。この制度があることを市民は知らされていませんので、適用できるはずがありません。
◯議長(安竹信男君) あと1分です。
◯4番(鈴木節子君)(続) 国保のしおりにも一切制度紹介はなく、医療機関にも知らせていません。市民がみずから窓口をこじ開けなければ制度が利用できない事態は、行政の怠慢ではないでしょうか。むしろ、行政側から医療機関に利用を促すよう通知したり、ポスターなどで市民に知らせるなど積極的に活用をしていただく、その姿勢をまず行政が示すべきだと思います。その方針を伺いますが、この国保行政、今大変払えないという悲鳴が上がり、本年度もまたさらに値上げになる世帯がふえております。せめて、この払えないという悲鳴に対してどう医療を受ける権利を守るのか、その姿勢をぜひ行政としても強く積極的にアピールする、市民に優しいまちづくりを進めていただくことを要望し、質問を終わりたいと思います。
◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 最初に、低所得世帯に対する保険証についてでございますが、低所得という理由のみで資格証交付世帯に正規保険証を発行する考えはございません。
次に、国保の一部負担金免除の制度の周知についてでございます。一部負担金の減免は、その世帯の生活状況など、個別具体的な事情によりまして判断される例外的なケースでございます。周知につきましては難しい面がございます。今後、モデル事業の結果に基づきまして、国が示す基準に沿ってパンフレットなどにどのような掲載が可能かを検討してまいります。
以上でございます。