◯2番(寺尾 昭君) 私は、災害防止対策にかかわりまして2つのテーマで質問をいたします。
まず、静岡県の第4次地震被害想定に基づきます本市における地震防災対策についてお聞きいたします。
静岡県は、第4次地震被害想定第1次報告を本年6月に出しました。先月29日になるわけですけれども、タイミングよくというか悪くというか知りませんですけれども、第2次報告というのも出されたということであります。東日本大震災の教訓を生かして、レベル1、レベル2の地震、津波を想定し対策を講ずるということになっております。
レベル1の地震、津波はマグニチュード8.0から8.7、駿河トラフ、南海トラフ沿いで発生する地震として東海地震というものを想定して、相模トラフ沿いではマグニチュード8.0、大正型関東地震、関東大震災を想定しているようであります。地震動は震度7の地域が344平方キロメートル、震度6強の地域は2,042平方キロメートルに及ぶと言っております。駿河湾沿岸で1センチ以上の津波が押し寄せてくる地域は28.8平方キロメートル、2メートル以上が9.0平方キロメートル、建物被害は、県中部から西部を中心に、全壊・焼失が26万棟、死者は1万6,000人を想定しております。うち津波による死者は9,000人ということで、大変な被害になるわけであります。
レベル2ということになりますと、さらに広がりまして、駿河トラフ、南海トラフ沿いではマグニチュード9ということですから、東日本大震災と同じぐらいの巨大地震になるのではないかと思います。これは、発生頻度は極めて低いけれども、発生すればあらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震、津波だと言っております。地震動は場所により変動があり、震度7は344から732平方キロメートル、震度6強は1,276から2,042平方キロメートル、どのくらいかちょっと見当がつかないんですけれども、大変な広さの地震動ということになるわけであります。1センチ以上の津波が押し寄せてくる地域が158平方キロメートル、2メートル以上であっても68.5平方キロメートルに及ぶと言っております。レベル1の約5倍、県土の2%が浸水するという被害想定であります。建物についても、県内の約2割の30万棟が全壊・焼失、死者は約10万5,000人という、とてつもない事故といいましょうか、震災になるわけであります。そして、そのうちの津波による死者というのが約9万6,000人ということになっております。
この第2次報告は、先月29日に出されましたけれども、今度は、水道、電力、電話などのライフラインの被害、あるいは、医療機関の対応力、避難者の数、経済活動への影響、孤立集落の発生というようなことが被害想定として発表されております。
今回は、第2次報告が出された時点では、既に通告を出してあったものですから、質問の中に入っていませんけれども、地震の被害はさまざまな形で非常に広範にわたるということであります。この震度の問題、液状化の問題、津波、そしてもう1つ、あえて言うならば、福島でありましたような原発事故による放射能被害というものも、新たな困難をもたらすということが予測をされるわけであります。
このように、第4次想定は、東海地震を前提にしたレベル1、そして、レベル2ということで分けて被害想定をしているわけであります。
さて、県の被害想定は出ているわけですけれども、本市においてはどうなのかということをやっぱり問題にしなければなりません。とりわけ長い海岸線と港湾を抱えている静岡市でありますから、関心が高まるのは当然であります。
そこで、第1にお聞きをいたします。第4次想定は第3次想定とどこがどう違うのか、どのような特徴があるのかということをはっきりさせていただきたい。
2番目は、第4次想定では、静岡市における震度、津波、液状化、そういうものの被害想定はどのようになっているのか。
まず、ここの2点について確認をしておきたいと思います。
◯副市長(山本克也君) 静岡県第4次地震被害想定について、第3次地震被害想定との違い及び特徴についてでございますが、第3次地震被害想定では、約100年から150年に1回発生し、大きな被害をもたらす東海地震を対象としておりましたが、第4次地震被害想定では、発生頻度は極めて低いが、発生すれば甚大な被害をもたらす南海トラフ巨大地震を対象としております。
第4次地震被害想定では、第3次想定に比べ、揺れの大きな範囲が拡大し、揺れの時間は4分程度と長くなっており、津波の浸水域も広がっております。また、特徴といたしましては、津波により死者数など人的被害が増大していることでございます。
次に、本市における震度、津波、液状化による最悪のケースでの被害想定でございますが、震度につきましては、震度7の範囲が69.1平方キロメートルで市域の約4.9%、また、震度6強の範囲が488.2平方キロメートルで市域の約34.6%となり、揺れにより約4万7,000棟の建物が全壊し、死者数については約1,700人と想定されております。津波につきましては、最大で高さ12メートルの津波が沿岸部に到達いたします。浸水面積の範囲は17.7平方キロメートルで市域の約1.3%となり、約3,000棟の建物が全壊し、死者数につきましては約1万2,600人と想定されております。また、液状化の範囲につきましては70.9平方キロメートル、市域の約5.5%となり、約370棟の建物が全壊すると想定されております。
以上でございます。
〔2番寺尾 昭君登壇〕
◯2番(寺尾 昭君) 今、お聞きのように、大変な被害状況、あるいは被害の範囲、死者、こういう大変な状況が予測されているわけです。
地震、津波は来ることを防ぐことはできないわけですけれども、いざ来たときに、被害を最小限に食いとめることは可能であるし、また、その対策を今、進めているということであります。ハード面、ソフト面の両面で対策を講じていくことが求められるわけであります。
防災対策の効果としては、建物の耐震化を現状の80%から90%に引き上げることにより、5,500人の死者を3,200人に減らすことができると言っておりますし、家具の転倒落下防止を現状の70%から100%にすれば、死者700人の予測を300人、半減以下にすることができると言っております。津波に対しても、早期避難、避難ビルの活用等々により、先ほど言いました9万5,000人という死者の数を4万8,000人と、約半減ということにすることができると言っております。
県は、第4次被害想定に基づき、地震・津波対策アクションプログラムというものを示しております。地震、津波から命を守ることを目標に、市町を実施主体とし、今後10年間を計画期間として重点施策を進めると言っております。
そこで、静岡市として、この第4次想定を踏まえて、今までの防災計画を見直していく必要があると考えるわけです。市民レベルでも理解をより深め、自主防災訓練などを生かしていくということも求められるわけです。きのう、皆さんも防災訓練に参加をされたと思うんですけれども、そこで質問であります。この新想定を踏まえて、今後、どのような防災対策を進めていくのか。
そして、新想定を踏まえて、地域防災計画が今あるわけでありますけれども、この見直しも必要になってくると思います。これをどのようにしていくのか。
そして、3つ目は、新想定を踏まえて、きのう行いましたような地域防災訓練などについてもどのようにこれを生かしていくのか、指導していくのか、この点についても質問しておきたいと思います。
次は、土砂災害の問題であります。
近年の異常気象が地球温暖化というようなことに原因があるということが、最近はもう通説になっているわけであります。フィリピンのレイテ島で起きた風速105メートルという大変なこともあるわけでして、沿岸に起こった高潮は大変な被害をもたらしたわけであります。また、国内でも、昔では考えられなかった竜巻というような状況もある。そして、伊豆大島の土石流による悲惨な災害、これも近年の異常気象と、火山灰土に覆われているという事情はあったわけですけれども、大変な被害を起こして、これがまた大きな教訓を示していると言っていいと思います。台風などの大雨のたびに各地でこの土砂災害が発生しているということも皆さん御承知のとおりであります。そして、集中豪雨、ゲリラ豪雨というようなことも全国各地で起こっているわけであります。
本市は、御承知のように、その多くを中山間地が占めているということで、土石流の災害の危険に常にさらされているわけであります。しかし、その対策になると、どうなっているかということなんですが、資料を見せていただきますと、静岡市の土砂災害危険箇所として、土石流が919カ所、地すべりは11カ所、急傾斜地は1,783カ所、合計2,713カ所の危険箇所があるわけであります。しかし、その中で土砂災害警戒区域として指定されているのがそれぞれ385カ所、0カ所、718カ所ということになっておりまして、この土石流の対策が必要なところというのは、さらにそれを下回るということになるわけであります。これらの事業は、残念ながらといいましょうか、県の事業でありますが、そうはいっても、市民の安全を守るという立場から市に責任がないとは、言えないわけであります。
そういうことで、この災害を起こさないための対策、中小河川の整備、崖崩れ対策、堰堤や擁壁などの整備、こういうものを急ぐ必要があると言えますし、また、住民の避難体制の確立はどうしても必要だということになるわけであります。避難勧告や避難指示がおくれたことで命にかかわるというのは、当然のことだと思います。避難場所が適切でない箇所に設定されたことで、避難した方が避難所ごと流されてしまったということもあったわけであります。また、きのうも防災訓練の中で多くの方が言っておりましたが、同報無線が聞こえないというような問題もありました。避難のタイミングを失ってしまうということになるわけであります。
そこで、質問ですけれども、近年のこの異常気象の発生について、市はどのように対応しようとしているのか。
次に、この気象状況に対応して、どのように避難勧告、避難指示を出していく構えをとっているのか。
そして、3番目、風雨時には特に聞こえにくい、同報無線の聴き取り困難な地域への対策はどうするのか。
◯議長(井上恒弥君) あと1分で終了してください。
◯2番(寺尾 昭君)(続) そして、4番目、避難所の確保、この点についてはどう考えているのか。
この4点についてお答え願いたいと思います。
あわせて、意見・要望も申し上げておきます。
この問題は、大雨だけでなくて地震による被害想定も必要であります。たくさんの危険防止対策がおくれております。ぜひ急いでいただきたいと思います。
私たちは、11月初めに福島原発の周辺地域を訪問してきました。二本松市は、福島第一原発から約50キロということですから、静岡市と同じ距離にあるわけでありますが、大変な放射能汚染の状況がありました。
ですから、静岡市も、この問題について対策をとっておく必要があるんじゃないかということをし上げて終わります。
◯危機管理統括監(横山孝志君) 災害防止対策について、何点かの御質問にお答えします。
まず、静岡県第4次地震被害想定に基づく地震防災対策についての御質問でございます。
新想定を踏まえて、どのような防災対策を行っていくのかについてでございますが、第4次地震被害想定では甚大な津波被害が特徴となっていることから、その対策を重点とし、津波避難対策計画の策定を進めています。今後、この計画をもとに、津波避難ビルの追加指定、津波避難タワーの整備、津波避難マップの作成などの事業を進めてまいります。また、建築物の耐震化、防災拠点の機能や地域防災力の強化なども引き続き進めてまいります。
これらの対策を積極的に進めるため、今回の定例会に上程いたしました緊急地震・津波対策推進基金を効果的に活用していきたいと考えております。
次に、地域防災計画の見直しについてでございますが、津波被害が特徴的でございますので、津波による被害を最小限とするため、新たに津波対策編を策定いたします。また、避難者の数が増大すると予想されることから、避難所や備蓄なども見直しを行ってまいります。
次に、新想定を踏まえて、地域防災訓練をどのように指導していくのかという御質問でございます。
自主防災組織には、各地域における最大規模の地震被害を想定し、これまで以上に自助・共助に重点を置いた訓練をお願いしております。市政出前講座では、新想定の被害状況を説明し、災害時における自助・共助の重要性を呼びかけており、防災訓練では、地域特有の被害に対応する訓練を行っております。駿河区、清水区の津波浸水区域の自主防災組織においては、5分500メートルでの避難を目標に、津波避難タワーや津波避難ビルを利用して訓練を実施いたしました。また、倒壊家屋の延焼の危険が大きい地域では、消火訓練、救出訓練など、共助の訓練を実施いたしました。
今後、実施状況を検証し、自主防災連絡会などの機会を捉え、工夫した訓練の事例を紹介するなど、防災訓練の支援に力を入れていきたいと考えております。
次は土砂災害対策についての御質問でございます。
近年の異常気象発生に対する市の対応についてでございますが、議員御指摘のとおり、近年、集中豪雨などにより、各地で大きな災害が発生しております。本市では、これらの災害に対応するため、職員参集基準を見直し、体制の強化を図っております。また、関係機関との連携により、土砂災害などに関する必要な情報を収集し、同報無線、静岡市防災メール、緊急速報メールなどにより、安全な避難ができるよう、迅速かつ的確に市民の皆さんに情報を伝達してまいります。
次に、どのように避難勧告・避難指示を出していくのかについてでございますが、災害が発生し、または発生するおそれがある場合において、市民の皆さんの生命または身体を災害から保護するため、必要と認める地域に対して避難のための準備情報の提供や、立ち退きの勧告、または指示を行います。避難の勧告または指示を行うに当たりましては、静岡地方気象台や静岡県などの情報をもとに、総合的に判断してまいります。
次は、風雨時の同報無線放送の聞き取りが困難な地域への対策についての御質問でございます。
同報無線は、土砂災害警戒情報などの緊急情報を一度に多くの市民の皆さんにお知らせする有効な手段ですが、風雨など天候の影響を受けやすいものでございます。そのため、緊急情報をより確実に伝達するため、防災情報電話案内サービス、静岡市防災メール、緊急速報メールを活用しております。さらに、コミュニティFM放送局と連携して、電源が入っていなくても自動起動し、同報無線と同じ内容を聞くことができる防災ラジオの導入を進め、情報伝達手段の多重化を図ってまいります。
最後に、避難所の確保についての御質問でございます。
本市では、避難所として、主に小中学校、高校などの公共施設を指定しておりますが、この中には、土砂災害や浸水害のおそれのある施設も含まれております。そのため、現在、土砂災害や浸水害などのさまざまなリスクを考慮した避難所の確保に向け、民間施設の活用も含め、見直し業務を進めております。
以上でございます。