◯31番(山本明久君) 私は2つのテーマで質問をいたします。
1つは、先日、国会で成立した補正予算に盛り込まれた住宅・建築物の耐震化緊急支援事業についてです。
本市議会にも追加上程されてますけれども、この事業のポイントは、耐震化を緊急に進めるために、個人住宅の耐震補強工事に対して国が30万円の助成をすることです。既に制度がある本市については、現行の助成制度にこの部分を上乗せできるというものです。
日本共産党は、阪神大震災以来一貫して国にこの助成制度を求めてきました。私も95年6月の初質問で、この問題を取り上げました。
これまで国は個人の資産形成には助成しないという牢固とした立場をとってきましたけれども、ことし10月に静岡県の共産党が国交省に要請した際に、今回の補正でこの事業を創設するということを明らかにしていました。この30万円は静岡県の制度を参考にしたと。ですから、全国に静岡県の制度を広げたいというのが国交省の決意でした。非常に大きな前進の一歩だと思います。
ですから市当局には、まずこの事業の概要について、できるだけ詳しく市民に説明をしていただきたいと思います。
また同時に、この事業は、残念ながら今回の補正予算限定ということになっています。ですから、本市として、市民が積極的にこの際耐震化を進めるために、今回の事業をどの程度の規模でどういうふうに対応していくのか、考えをお聞かせいただきたいと思います。
もう一点目は、高校新卒者の就職をどう支援するかということについてです。
政府も新卒者の雇用については、この秋から緊急対策をいろいろメニュー化していますけれども、大卒者等のサポートが主になっていまして、高校新卒者では、例えば3年以内既卒者トライアル雇用奨励金というのがありますけれども、これは正規雇用につなげる試用期間中に事業者に対して奨励金を出すというもので、高校生の未就職をなくすという点にはさらなる対策が必要じゃないかというふうに思いますし、厚労省のホームページで、新規学卒者向け求人情報のインターネット提供という点についても短大卒以上ということになっていまして、高校新卒者には、学校とハローワークが連携して職業紹介をしてほしいという程度になっています。
増員されるジョブサポーターについても、マッチングというのが中心になっています。労働行政そのものは、県やハローワークの取り組みが基本ですから、政令市としてもなかなか思うように施策展開ができないという現状はあろうかと思います。
そうしたもとでも、高校卒業生には、これは主に地域の雇用を担う宝でありますから、自治体としても全力を挙げて就職支援に取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
そういう立場から、厚労省の9月末の直近の資料を見ると、高校生への求人倍率というのは、ここ3年連続前年比でマイナスと、毎年6月の最終就職決定率というのも前年比で3年連続マイナスというふうになっています。
ですから最初にまず、こうしたもとで、市内における来春の高校新卒者の就職内定状況について、市はどういうふうにとらえて認識しているのか、お聞かせいただきたいと思います。
以上、1回目です。
◯都市局長(藤浪芳朗君) 住宅・建築物の耐震化緊急支援事業についての2点にお答えします。
まず、国が創設する事業の概要でございますが、国の耐震化緊急支援事業には、昭和56年以前に建築された木造住宅の耐震改修に対します30万円の上乗せ補助と、耐震化が必要な学校、病院などの建築物への補助事業がございます。これらの事業は、緊急総合経済対策として実施するものでありまして、議員御指摘のとおり、今年度限りということになっております。
本市での対応でございますが、現在、木造住宅の耐震改修に対しまして、一般世帯に30万円、高齢者世帯に50万円を補助し、さらに耐震評点が低い住宅には15万円の補助を上乗せしております。今回の事業は、これらに30万円を上乗せするというものでございまして、一般世帯の場合には60万円、高齢者宅につきましては最高95万円までの補助ということになりまして、この事業に対応するために、11月補正予算の追加議案として上程を予定しているところでございます。
以上でございます。
◯経済局長(鈴木 孝君) 来年度の市内高校卒業者の就職内定状況についての御質問にお答えをいたします。
来年3月に市内の高校を卒業する者の就職内定状況は、22年10月末現在、ハローワーク静岡管内においては、就職内定者441人で、内定率は58.3%、前年同期と比較いたしまして0.5ポイント下回っています。
また、ハローワーク清水管内におきましては、就職内定者109人で、内定率は48.7%、前年同期と比較して3.4ポイント下回っております。いずれの管内も、前年度と比べて厳しい状況であると認識をしております。
以上でございます。
〔31番山本明久君登壇〕
◯31番(山本明久君) まず、住宅の耐震補強への国の助成事業についてです。
この間、県全体の取り組みとしても、11月は防災強化月間ということで、主に高齢者の住宅の耐震化に力を入れ取り組まれました。
県がこの間、耐震補強の助成を始めてから、助成事業の実績というのは約1万棟、本市でも年間120件前後で推移しているという状況です。
昨年8月の駿河湾地震を体験してもなお、住宅の耐震補強についての県民意識というのはまだ高まっていないというのが、先だっての議員研修で、県から報告されました。
住宅が倒れなければ、当然、阪神のような、圧死も生き埋めからの救出活動も大幅に減るわけですし、火災も起きないし、避難所生活も必要なくなるということですから、住宅の耐震化というのは、東海大地震の対策の第一義的な課題だというふうに私は思います。しかし一方では、なかなか進まない。
そこへ国が、限定ではあっても30万円の助成を上乗せするということですから、本市としても最大限これを使って、当初予算で計上した枠を上回って、市も必要なら財源を打って取り組む必要があるというふうに私は思います。
どのくらいの規模でというのは、この後、説明があろうかと思いますが、当初予算の従来枠で対応しようというような程度ではだめだと思います。短期間の限定ですから、いかに市民への周知を徹底するかということが、かぎになってくると思います。
ですから、今回の事業について、市民への周知をどうするかということについて、お聞かせいただきたいと思います。
次は、高校新卒者の未就職対策についてです。今、厳しい状況は説明がありました。11月末に日本高等学校教職員組合と全国私立学校教職員組合との共同調査結果で、ことしの特徴というのが、全国的に男子が66.9%に対して女子が52.8%と、この間10ポイント以上の差が固定化してきている、これは静岡県では12.6ポイントの差になっています。定時制・通信制の内定率が29.3%と、昨年を下回っていて、さらに地域間の格差が広がっているというふうに指摘されています。
同様に、11月末発表された厚労省の労働力調査でも、15歳から24歳の完全失業率が9.1%、約50万人と、昨年から改善されず同水準となっており、学校を卒業して就職できずにいるという人が全国で14万人ということですから、これも昨年と同水準、つまり、若者の失業者の4人に1人が学校を卒業しても職につけないという実態があるということです。
これは、地域経済においても、中小企業というのは雇用の8割を担っているわけですから、市内の2つのハローワークの求人倍率を見ても、静岡では正規職員の求人で0.66、清水で0.45という厳しさですから、雇用をふやすというためには、自治体としても中小企業の仕事づくりを応援するとともに、正規雇用の確保・拡大というのを経営者にも要請することが非常に大事になってきていると思います。
政府において、当然、内需拡大策を抜本的に強化するということと同時に、中小企業への雇用面での直接支援というのも、本当に真剣に取り組まなければいかぬという状況だと思います。
県の共産党としても、県の経営者協会について、来年、高校新卒者の採用枠を広げてほしいという申し入れをしてきたところです。
ですから、本市としても、高校新卒者の厳しさ、これはもう明らかですから、これを打開する支援活動をこれまで以上に、昨年以上に進めることが求められているというふうに私は思いますけれども、市としてどのように取り組みを強めているのか、あるいは、取り組んでいる成果などがあれば、お聞きしたいと思います。
以上で2回目です。
◯都市局長(藤浪芳朗君) 耐震化緊急支援事業につきましての市民への周知についての御質問でございますが、国の予算が決まったことから、木造住宅の耐震改修に対します30万円の上乗せ補助事業の検討をしていることをホームページや受付窓口でお知らせをしております。
今後、本市議会で承認をいただければ、事業実施について、ホームページ、広報紙への掲載、建築関係団体への周知等、広く市民に対し積極的にPRを行っていくとしております。
以上でございます。
◯経済局長(鈴木 孝君) 高校生の就職支援についての御質問にお答えをいたします。
33校に上る就職指導担当教諭と144社の企業採用担当者とが意見や情報を交換する、新規学卒者就職説明会をハローワーク静岡・清水と共催するほか、就職を希望する生徒等を対象とした事業所見学会を開催しております。
また、昨年度から、厳しい雇用環境を勘案し、市長、教育長、静岡・清水のハローワークの所長との連名で、生徒の採用の要請を行っておりまして、今年度は、7月に従業員30名以上の市内の事業所約1,800社に対しまして行ったところであります。
今後も、市内の雇用状況や緊急雇用対策事業について情報交換や意見交換等を行うため、ハローワーク、静岡県、商工会議所等と共同で組織しております雇用対策関係機関連絡会議を活用するなど、積極的な対応を図っていきたいと考えております。
以上でございます。
〔31番山本明久君登壇〕
◯31番(山本明久君) 国の住宅耐震補強への助成事業ですけれども、国は経済対策として、今回予算枠を十分とったと、どんどん使ってくれというふうに言っていますから、今回の市民への30万円上乗せについても、大いに徹底して宣伝していただくとともに、国に対して、今回限定ではなくて継続事業として制度化してほしいというのを要望していただきたい。市単独で言いにくそうですから、議会も一緒になって、国に継続を要望しようではありませんか。
次に、高校生の未就職対策ですけれども、静岡県の来年高校新卒予定の9月末時点での求人倍率は0.89、5,750人の求人に対して6,425人の求職ですから、もしこのままの状態でいけば、県内で700人が未就職になるおそれがあります。県内でことし3月に卒業した高校生のうち200人程度が未就職だということも言われています。静岡市内は少しよかったようですが、来年はもっと厳しくなるという見通しです。
せっかく技術と知識を身につけて学校を卒業して、社会に出たとたんに就職がない、これでは夢と希望を奪ってしまうような状況ですから、これはもう本当に社会全体で解決していかなければいけないというふうに思います。
しかし一方で、公務職場でも民間企業でも、正規労働者を減らして非正規雇用に切りかえ、目先の人件費を削減するということが当然のように行われて、残った正規労働者は長時間・超過密労働という現状があります。
1つの企業にとって、人件費削減で経費削減でしょうが、社会全体がこれをやれば、大きな雇用減退、所得減のマイナス効果になりますから、これは経済学で合成の誤謬というふうに言われているそうです。ですから、こういう雇用政策というのは、抜本的に切りかえることが本当に切実です。
答弁にありましたように、市もいろいろ努力されていることはわかりますけれども、もっと強力に、昨年度以上の取り組みをしていただいて、全力を挙げて、全員が就職できるように取り組んでいただきたいというふうに思います。
しかし、本人も最大の努力をしたけれども、なおかつ、卒業後の就職できないという事態が生まれた場合、本市で、企業などへの就職活動もできるまでの一定期間、希望者を行政の補助職員として臨時にでも雇用して、支援できるような取り組みができないかということをお聞きしていきたいと思います。
もし使える制度があれば、学校にも連絡して大いに活用できるよう周知していただきたいというふうに思いますが、見解をお聞かせいただきたいと思います。
和歌山県では同じような事業が導入されておりまして、当然、全員が就職できればいいんですが、残念ながらそうならない場合に、緊急避難的に、行政のいろんな仕事に臨時に、補助職員的に採用する対応ができないかということです。
◯副議長(栗田裕之君) 残り1分です。
◯31番(山本明久君)(続) 私たちはこういう事例に学んで、共産党として川勝県知事にも同様の申し入れを行ってきました。知事は、確かにいい制度だと、よりいい内容にするために検討したいという、非常に積極的な姿勢を示されました。
ですから、本市におきましても、高校新卒者というのは地域の雇用を支える宝だという立場で、就職への希望の橋渡し、これを積極的に取り組んでいただくよう答弁を求めて、質問を閉めたいと思います。
◯経営管理局長(深津 薫君) 高校新卒者の市臨時職員としての雇用についての御質問にお答えをいたします。
現在、本市では、通年で臨時職員を募集し、必要な所属で雇用しておりますが、高校新卒者につきましても、臨時職員の登録と、本人の希望内容と所属が求める条件とが合致した場合には、雇用することが可能となっております。
企業等へ就職するまでの間に高校新卒者を臨時職員として雇用することは、社会人としての心構えや仕事ぶりを学ぶ上では有用なことであるため、この登録制度を周知していきたいと考えております。
以上でございます。