◯25番(鈴木節子君) 通告に従い、子ども・子育て支援新制度について、一問一答方式で質問します。
新制度は、成立まで何度も改編が加えられ、極めて難解、複雑な制度となり、また、内容は保育現場に深刻な影響が出るとの指摘を受けている制度です。
今議会に、子ども園の制定とセットで公立幼稚園・保育園の廃園が提案されていますが、新制度実施と同時に公立園を廃止するのは本市のみです。審議の行方が全国から注目の的となっています。
先週、市長に対し、公立園をこども園に移行しないことや保育行政の充実を求める要請書1万2,240筆が届けられ、反対の声がいかに大きいかをあらわしています。
本市は、新制度実施と同時にいきなり公立園を廃園し、こども園への意向を保護者や幼稚園、保育関係者の十分な理解、合意を得ないまま、市民不在で強引に進めようとしています。今議会への提案も唐突で拙速だと考えます。
私は、公立園廃止について市民の理解を得ず強行すること、また、法律面から合法的ではないことをただす立場で質問します。
1点目に、こども園の学級編制、職員、設備、運営などの基準を定める条例案について、パブリックコメントを4月、5月に実施をいたしましたが、市民からの件数、問題意識はどのような内容か。また、市民意識をどのように受けとめているのか伺います。
2点目に、昨年を含め、2回のパブコメから、新制度や公立園のこども園移行について、市民意見は、保育行政の後退や子供の不利益にならないかなどの批判が渦巻き、市民の納得、合意、理解は得られてはいません。市はどのように判断するのか、伺います。
3点目に、職員配置についてです。
パブコメには、職員配置をより手厚くすべきという意見が6割を占めました。市は、条例は国基準と同じにするが、運用は、1歳以上3歳未満の国基準6対1に対して市は現行の4対1を、3歳児も、国基準20対1に対して15対1を実現するよう努力していくと回答しました。いずれも国基準を上回るものですが、その実現のための基本方針と具体策をお答えください。
4点目に、保育料についてです。
現在、本市は、保育所の保護者負担を軽減するため、13億7,000万円、保育料全体の35%を市が単独軽減しています。新制度で保育料増額では市民は納得しません。現在の軽減策を新制度でも実施するのかが問われています。軽減についてどのような方針か、伺います。
以上、1回目です。
〔25番鈴木節子君質問席へ移動〕
◯25番(鈴木節子君) 今、公立園の移行ありきで猛烈な過密スケジュールが強引に進められています。このままでは、保護者と子供たちは置き去りにされ、現場は大混乱となり、不安だけが増大します。市民や関係者への十分な理解、合意を得られないまま押しつけることは許されません。市民への説明の手法とスケジュールを伺います。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 新制度につきましては、これまでも、市の広報やホームページ、事業者への直接説明などを通じ周知に努めてきたところですが、今後も、計画的にさまざまな手法で丁寧に説明してまいります。
具体的には、在園児や入園予定の保護者に対しては、市広報紙7、8、9月号による周知のほか、今月以降、リーフレットや園を通じての定期的なお便りなどを配布するとともに、支給認定等の手続の詳細が決まる本年夏以降に説明会の開催を予定しております。
また、私立園の事業者に対しては、各園が移行後の施設形態を選ぶに当たり、制度の内容を十分に理解した上で主体的な判断が適切になされるよう、随時説明会を開催してまいります。
さらに、子育て家庭の支援に携わる方々に対しましては、子育て支援センターや子育て支援団体の皆さんなどに周知を図ってまいりました。今後は、さらに、児童委員などにも対象範囲を広げて周知を図ることで、正しい情報が広く行き渡るようにしてまいります。
◯25番(鈴木節子君) 今、周知を図るとおっしゃいましたが、一方通行だけでは何の意味もないのです。しっかりと市民の意見を聞いて、やはり合意を得るというスケジュールが欠落しているのではないかと思います。
質問ですが、制度施行の来年4月実施は、このままでは全国的に危ぶまれています。日程も定かではありません。公定価格も示されたばかりで、決定すべき事項は山積みです。
こうした中で、新制度は子供たちにストレートに弊害が及ぶ欠陥があり、まだまだ十分な検証が必要です。
そのような中、公立園の移行の義務づけはありません。本市はなぜ制度施行と同時に公立幼稚園・保育園全てを廃止し、こども園に移行するのか。拙速で勇み足、強引なやり方です。
なぜ今議会に提案するのか、その必要があるのか、なぜ急ぐのかを伺います。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 今議会に提案させていただいたのは、新制度へ移行する平成27年4月からの入園申し込みを、公立・私立のいずれにおきましても、例年どおり10月から受け付けを開始できることを最優先に考えたからでございます。
そのためには、利用者に対しては適切に施設を選択できるよう、また、事業者に対しては新制度においてどのような施設形態とするのかの判断に資するよう、早期に市の方針を示す必要があります。制度の大改革に際し、スケジュールの遅延により市民の皆さんの混乱を招くことのないよう、円滑な移行に努めてまいります。
◯25番(鈴木節子君) まだまだ本当の意味での保護者や子供たち、保育関係者には、この制度は理解はされておりません。
それで、大事なポイントを伺います。
市町村が担う保育の実施義務について、ここがポイントですが、新制度でも確実に保育の実施義務は維持されるのかが重要なポイントとなります。改正前の児童福祉法第24条第1項、保育に欠ける乳幼児について、市町村が保育所において保育しなければならないという義務づけについて、内閣府は、新制度のもとでも引き続き現在の制度と同様に、市町村が保育の実施義務を担うことにしたと説明しています。第24条第1項で、保育所において市町村の保育の実施義務を担うこと、第2項で、認定こども園においては保育を確保するための措置を講ずるととどめたため、保育の実施義務は保育所でのみ担うことになります。
本市は、公立園を全て認定こども園に移行すれば、私立保育所しか保育の実施義務を担わなくなるのではという危惧が生じます。
当局は、今後も従前どおり保育の実施義務を果たす、市の保育に関する責任が後退することはないと説明しています。
それでは、市町村の保育の実施義務について、いわゆる理念や解釈ではなくて、根拠として位置づけられる根拠条文、根拠規定であるという解釈かを確認します。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 児童福祉法第24条第1項は、保育を必要とする児童に対し、同条第2項により、認定こども園等による必要な保育の確保措置を講じるほか、保育所において保育を実施する義務を課した根拠規定であると認識しております。
◯25番(鈴木節子君) 今、局長のお答えで、保育の実施義務は根拠規定であるということでいいんでしょうか。とあれば、確認します。
市町村の保育の実施義務について、権限が定められ、維持されていることになります。保育所への入所もこの規定に基づき、同様に行われなければなりません。
よく聞いてください、皆さん。
現在、公立保育所に在園している子供について、市は、保育の実施期間満了まで、つまり小学校就学前まで保育を実施する義務があり、保護者、子供にはその権利があります。となれば、市は、在園児がいる限り公立保育園を廃止できないということになりますが、どう説明するのか、伺います。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 保育所条例の廃止により、施設の位置づけは保育所から認定こども園に変わりますが、園児に対する保育は、これまでと同様に市が責任を持って実施してまいります。
◯25番(鈴木節子君) 皆さん、よく聞いてください。
この問題は、本市だけが公立園の廃止にという条例を出しています。これは全国的には驚愕の目を持って大分注目をされているものなのです。ここで、安易にこの静岡市議会が、何の議論もなくすんなりと認定こども園移行を許してしまうことになったら、全国に対してどういう説明責任を果たすのか、私はこれを危惧しております。
ですので、皆さん、しっかりとお聞きいただきたいと思います。
では、質問します。
園児に対する保育は、これまでと同様に市が責任を持つということでした。
保育所と認定こども園は明確に異なる児童福祉施設です。保育所からこども園への移行をいとも簡単に淡々とお考えですが、児童福祉施設の位置づけは、この両者は全く異なる施設として法整備がなされています。
また、保護者、子供たちにとっては、1日の生活リズムや友達とのかかわり方も変わり、大きな変動となり、子供の権利にもかかわります。
保育所とこども園は異なる施設ではないのか。また、現在の保育所保育指針と幼保連携型認定こども園教育・保育要領は同じと言えるのか。異なるとしたらどう異なるのか、内容をお答えください。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 保育所は児童福祉法に基づく児童福祉施設であり、幼保連携型認定こども園は認定こども園法に基づく学校及び児童福祉施設であるという違いはありますが、いずれも保育を行う児童福祉施設としての位置づけに変わりはありません。
現行の保育所保育指針と幼稚園教育要領には基本的な考え方に大きな相違はなく、これら2つの基準の整合性を図った上で定められた幼保連携型認定こども園教育・保育要領では、保育所保育指針を踏まえた上で、特に配慮すべき事項として、小学校教育との円滑な接続などが定められています。
◯25番(鈴木節子君) いわゆる法的な解釈が全くなされていないと考えます。言葉のあやで、同じ保育を行うからいいとかと、そういうことではなくて、法律的に子供を処遇する施設ですので、児童福祉施設としては全く異なる施設なのです。そこをしっかりとお考えの上で対処しなければなりません。全国の笑い物にならないように、そうした議論をしっかりするべきだと思います。
今、お答えのように、保育所と認定こども園は違いがあり、別の施設であるとお答えになりました。となると、公立園の子供全てを強制的にまず退園させて、そして、強制的に違う施設に入所させるということになりますが、こんな乱暴なことが許されるでしょうか。
現在の在園児には、保育を必要とする要件が消滅しない限り、皆さんよく聞いてください、大事なところです。現保育所での継続更新が前提です。更新を拒否することはできません。これが法の解釈です。現在の在園児には、保育所での保育を小学校就学前まで継続して行う義務が市町村にはあります。
先ほども、この実施義務は根拠規定だとお答えになったばかりです。こうした立場でしっかりとお答えいただきたいと思いますし、対応もしていただきたいのです。一方的な保育園の廃止は違法となり、保育所での保育を受ける権利の侵害に当たるのではないか、見解を伺います。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 幼保連携型認定こども園に移行しても、これまでと同様に必要な保育を受けることができますので、保育を受ける権利の侵害には当たらないものと考えております。
これまで幼稚園で行われてきた幼児期の学校教育と、保育所で行われてきた保育の質を確保しながら、教育・保育の一体的な提供を行い、市としての保育責任をしっかり果たしてまいります。
◯25番(鈴木節子君) なかなか言葉のあやというか、内容としては、これまでと同様に保育を受けることができるから権利侵害に当たらないという答弁ですけれども、今、ここで問われているのは、一方的な保育園の廃止です。保育の実施の解除です。これについては、市の規則がありますが、第3条で、保育の実施期間は小学校の就学の始期に達するまでの間とするとあります。つまり、保護者からの申し込みを受けて、市町村が保育の実施を決定したら、保護者、子供には決定された保育所で保育を受ける権利が成立します。この決定によって、保育の実施期間、つまり小学校就学前まで、決定された保育所において保育を受けることができるというものです。
この公立園、保育園の廃止は一方的で、保護者や保育園関係者には、まだ理解も合意も得られていない段階で一方的な保育園、幼稚園の廃止になりますが、これは権利侵害、法律違反に当たらないか。これは、過去の最高裁判決でもこうした判決が出ておりますが、最高裁の判決に抵触するのではないか、見解を確認します。
また、仮にですが、強制的に廃園とされた園の保護者が認定こども園に入所を希望しない場合はどう対応するのかを伺います。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 改正児童福祉法では、幼保連携型認定こども園は保育所と同様に保育を行う児童福祉施設としての位置づけがなされていることから、保育はこれまでと変わらず提供されるものであり、権利の侵害には当たらないものと考えております。
在園児の保護者が認定こども園への入園を希望せず、他の保育所への入園を希望する場合は、希望者のお子さんの保育の必要性に応じて市が利用調整を行うことになります。
◯25番(鈴木節子君) なかなか議論がかみ合っていないのですが、皆さん、よく聞いていただきたいのは、来年の制度施行に伴って、いきなり公立保育園・幼稚園の廃止というのは、全国で我が静岡市だけなのです。この制度にはまだまだいろいろな問題点、解決すべき課題がたくさん含まれていて、施行してからでも、まだ解決しなければならない問題点があるのに、その前にいきなり同時に公立園を廃止し、こども園に移行するのは、余りに拙速だし勇み足過ぎると思います。
この市の方針については、見過ごせない重要な問題があります。何点か申しますが、1つ目には、今、保護者や幼稚園・保育所関係者は反対し、撤回を求めています。先週の1万2,240筆の要請にもあらわれているように、まだまだこの制度は早過ぎると、もっと改善してほしいという市民の声がありながら、強引な廃止、移行を押しつけており、手法が強引過ぎます。
2つ目として、全ての公立園を対象とし、一方的な保育園の廃止です。これは有無を言わさず、今、在園している全ての子供の権利を保障していません。そして、子供が置き去りになっているということです。今の幼稚園・保育園の在園児全てを根こそぎ強制的に退所させ、そして、強制的に新しい別の施設に入所させるのは、大変強引なやり方です。
3つ目として、この制度には諸問題がまだまだあります。保育行政の後退、保育基準の後退、保育士さんの権利の問題、子供の健やかな成長が保障できない問題など、さまざまあります。この制度には諸問題や致命的な欠陥があるままということです。
4つ目には、保育園の廃止は保育の実施の解除に当たり、一方的な解除は法律違反に当たるということです。
こうしたさまざまな問題がありながら、本市の公立園の廃止が、いとも簡単に、何の議論もなく、淡々と移行、そして廃園がなされてはならないと。全国から、今、驚異の目で見られ、驚愕されて、注目の的となっています。ここで単純な移行や廃止を許してしまったら、将来に禍根を残す先例となりかねません。
今、子供のことを最優先に考えて、子育て応援、そして、働くお母さんたちの就労支援を最優先に考えれば、こども園にかかわる条例提案と公立園の廃止を撤回すべきと考えます。見解を求めます。
◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 今議会に提案させていただいた条例案は、来年4月の新制度のスタートに向け、今後の利用手続を円滑に行うために、今議会で制定しなければならないものと考えております。
市民の皆さんに対しては、周知が必要な部分については、今後、さらに理解が進むよう丁寧に説明してまいります。
新制度において保育を行う形態は、幼保連携型認定こども園、保育所、小規模保育事業等、多様化いたしますが、いずれにしましても、市が責任を持って地域の保育ニーズに対応してまいります。
◯25番(鈴木節子君) 全体で12の質問をさせていただきましたけれども、本市にかかわるこの子ども・子育て支援新制度、それを来年の制度実施と同時に移行し、公立園を廃止することは、大変重い、重大な問題であります。
市長は、先日の議会答弁で、本市が先例となるべく公立園の廃止をするとおっしゃっておりますけれども、その陰には民間の活力も導入すると、そのようなお考えを示されましたけれども、まず、その前に、自治体としての役割は、保育の実施義務に対してしっかりと公立としての役割を担うことが大前提なのです。保育の実施義務を担うことになるのは、児童福祉法第24条第1項、第2項で、第1項では、保育所しかこの実施義務が担えないと。第2項では、こども園で必要な保育をできるように措置をするように努力するとか、講じるとか、こういう文言になっていて、保育の実施義務はしっかりと市町村が担わなければならないとしておりますが、この解釈が大変あやふやなままなのです。
先ほどの答弁では、自治体の保育の実施義務は根拠規定であるという答弁をいただきましたので、この立場で、新制度に移行してもしっかりと静岡市の保育の実施義務を果たすべきだと思います。
さらに、私はもう一度申し上げますが、この制度自体にはさまざまな欠陥がまだ内蔵されていて、改善されていない時点での勇み足は絶対にやめるべきだと考えます。
そして、2つ目には、幼稚園や保育関係者の合意をまだ得ていません。むしろ反対、撤回、改善を求める声がたくさんあります。幼稚園・保育園関係者、保育士さんたち、幼稚園教諭の皆さんも同じ思いです。この思いをしっかりと受けとめていないまま、合意を得ずに強制的な強引な本市のやり方は間違っていると考えます。
そして、重大な問題は、公立園を一旦廃止をし、認定こども園に移行したら……
◯25番(鈴木節子君)(続) もとには戻れないことです。このことを考えれば、安易なこども園への移行や廃止はもっと慎重に、もっと制度の各問題を改善させてからでなければならないという、毅然とした立場を持つべきだと考えます。
そうした立場を主張しまして、質問を終わります。