子ども・子育て支援新制度について質問

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DSC_0842◯13番(西谷博子君) 私は、子ども・子育て支援新制度について質問を行います。
昨日も我が党の鈴木節子議員が質問しましたが、政府の鳴り物入りの新制度は、その内容の全容がいまだ明らかにされず、保護者や保育士の間では不安と疑問がいっぱいです。
つい最近も、来年4月から3歳児保育を希望しているお母さんから、近くの保育園に問い合わせをしたところ、園長先生からまだどうなるのか、市から説明をされていないので答えられないと言われ、困っていると相談がありました。
市民団体は19日、市長に宛て、1万2,240筆の署名を提出し、保育内容の充実とともに、静岡市の公立保育園、幼稚園を幼保連携型認定こども園へ移行することの中止を求めています。余りに拙速だとの声はますます強くなっていると思います。
幼保連携型認定こども園について、7項目の質問をします。
初めに、新制度での障害がある子供の優先利用について伺います。
保育の必要性の認定は、保護者の就労状況により保育短時間あるいは保育標準時間に区分されることになります。現在はパート労働の場合でも、子供の療育などのため、保育園の開園時間、朝7時から夕方6時まで利用できていたのが、保護者の就労時間を理由に、これまでより保育時間が短くなることはないのか、伺います。
2番目に、保育時間について、条例案では、保育時間を原則8時間としていますが、内閣府の資料では保育の必要量を保育標準時間最長11時間、保育短時間最長8時間と説明しています。現在は11時間の保育を各園とも行っています。保育時間は、最長11時間であることを条例案に規定していないのはなぜか、伺います。
3つ目です。パート勤務で保育短時間認定となった場合について伺います。
各園で保育の時間を決めることになっていますが、園が定めた保育時間に勤務時間帯が合わない保育利用の扱いはどうなるのか。例えば保育短時間は午前8時から午後4時と園で決めた場合、8時の勤務開始に合わせるためには、8時前に預けなければなりません。こうした場合、延長保育として保護者の負担がふえることになるのか、伺います。
4番目、学級編制の基準についてです。
3歳以上の園児は35人以下を原則とするとありますが、3歳児以上を35人以下とすることは、子供の保育環境からも適切ではありません。少なくとも現行の3歳児20人、4歳児以上30人の基準をもとに学級編制を行うべきではないでしょうか。
5番目、保育室の設置階数を4階以上も認めていますが、3歳未満時の保育室は地震、火災など、容易に避難できることが前提です。少なくとも3歳未満時の保育室は、3階以上は認めるべきでないと考えますが、どうでしょうか。
6つ目、給食についてです。
乳幼児期の給食は、健やかな成長を保障するために特段の配慮が必要です。自園での給食は給食室からのにおいで食欲をそそり、調理されたもので、つくる人を間近に感じられ、五感を発達させる重要な役割があります。これまで保育園の給食は自園調理で行っています。特例を設けて、園外で調理し、搬入することを認めるのは、保育内容の質の低下につながることになります。自園調理を原則とし、調理員と調理室の設置を義務づけるべきではないでしょうか。
7番目、保育料についてです。
現在の保育料は、国の基準をベースに市町村が設定します。国の基準が高過ぎるため、静岡市も助成を行い、保育料を引き下げています。市民の所得が同じなら、どの認可保育所でも保育料は同じです。ところが、新制度では、所得に応じた負担を基本としながらも、ただし、施設は一定の要件のもとで、市町村が定める額よりも必要経費を上乗せして徴収することも可能としています。この上乗せ徴収の具体的な内容は何か、伺います。また、私立園での上乗せ徴収はどうなるのか、伺います。
次の項目の家庭的保育事業についてです。
1つ目に、小規模保育事業は、A、B、C型があり、A型の保育士は全員有資格者、B型の保育士は2分の1、C型は研修のみでよく資格は問わないという基準になっていますが、保育基準に格差を発生させてはなりません。保育者は全て保育士資格者とするべきではないか、伺います。
次です。家庭的保育事業の給食についてです。
ゼロから2歳までの保育を受け持つ小規模保育事業だからこそ、給食規定を重視すべきです。ゼロ歳児の離乳食、1歳児の固形物への移行、2歳児の好き嫌いなく何でも食べられるようになるための保育が発達保障のかなめになっています。
給食は外部搬入を認めるのではなく、衛生面、アレルギー児対応など、自園調理を必須とし、調理員を配置すべきではないでしょうか。
3点目の項目です。
市立園の具体的な役割についてです。
公立保育園、幼稚園を解体し、静岡市認定こども園に移行するとなると、市立園としての役割はどのようになるのか、伺います。
小規模保育園の園児が3歳で別な園に移行する際の連携園の確保など、具体的にどのような役割を担うのか、伺います。
以上、1回目の質問です。

◯子ども未来局長(池谷眞樹君) まず、障害のある児童の保育時間に関する御質問についてですが、子ども・子育て支援新制度における保育の必要量は、保護者の就労等による家庭において、必要な保育を受けることが困難な状況に応じて、いわゆる保育標準時間、または保育短時間に区分して認定するものであり、これにつきましては障害のある児童の場合も同様であります。
その上で、障害のある児童の場合などは、優先的に保育が受けられるよう市が利用調整や利用要請を行うことになります。
こうした新制度における認定及び利用調整等により、保育を必要とする児童が必要な時間分の保育を受けられる仕組みとなっております。
次に、幼保連携型認定こども園の基準条例における保育時間についてですが、この条例は市が幼保連携型認定こども園の設置の認可をするに当たり、適合すべき基準を定めるものであります。
したがって、保育時間につきましては、現在の保育所に係る基準と同様に1日につき8時間を原則としております。
なお、子ども・子育て支援法における認定制度では、保護者の就労状況等に応じて保育の必要量としての利用時間が定められることになります。これは、同法による施設型給付等の対象となる保育の時間であり、本条例による認可の基準とすべき性質のものではないと考えております。
次に、保育短時間認定を受けた児童の保育時間などについてです。
保育の必要性の認定における保育必要量は、施設型給付費等の支給対象として、それぞれの家庭の就労状況等に応じて、その範囲の中で利用することが可能な最大限の枠として設定されるものです。
こうした考え方を基本として、保育短時間認定を受けた児童は、各園が定めた8時間の利用時間帯を超えて保育を利用するときは、それぞれの園が定めるところにより、必要な負担をしていただく場合があります。
次に、学級の編制の基準についてですが、学級は満3歳以上の園児に対し、教育課程に基づく教育を行うために編制するものです。
幼保連携型認定こども園において、教育を行う時間帯は、保育を必要とするお子さんも教育のみを必要とするお子さんも、同じ学級において等しく教育を受けることになります。
1学級35人以下を原則とする基準は、文部科学省が定めている幼稚園設置基準と同一のものであり、教育を適切に行う観点から、上限とすべき人数であると認識しております。
実際には、児童1人当たりの保育室の面積基準が定められていることから、保育室の面積により個々の学級の児童数の上限が決まってきます。
そして、その児童数に応じた職員配置がなされることから、適切な教育、保育環境が確保できるものと考えております。
次に、保育室等の設置階についてですが、まず、園舎を3階建て以上にすることができるのは、地形の特殊性、土地利用の現況、その他の特別の事情がある場合に限定しております。
その上で、現在の保育所に係る基準と同様に、防火上及び退避上、有効な一定の設備を備えている場合に限り、3歳未満時に係る保育室等の3階以上の設置を認めることとしております。
具体的には、調理室の防火措置、壁などの不燃材仕上げ、避難用の階段または屋外傾斜路の設置、園児の転落防止設備の設置等の義務づけをしており、これらにより園児の安全が確保できるものと考えております。
次に、自園調理を原則とし、調理員と調理室の設置を義務づけるべきとの御意見についてですが、現行の保育所における基準では、満3歳以上の児童に対する食事の提供について、一定の要件を満たす場合には外部搬入によることができるものとし、その場合には調理室を設置しないことができることとしております。
幼保連携型認定こども園につきましても、食事の提供に関して保育所と異なる事情はないことから、条例案のとおり現行の保育所における基準と同様としているものでございます。
保育料における上乗せ徴収についてですが、特定教育・保育施設等の基準条例上、日用品、文房具等、実費徴収のほか、教育、保育の質の向上を図る上で、特に必要と認められる場合には上乗せ徴収ができるものとしております。
具体例としましては、職員配置の充実や平均的な水準を超えた施設整備などの経費が考えられます。
また、上乗せ徴収の実施に当たっては、あらかじめ利用者に対して、その目的や金額等を書面によって明らかにするとともに、その説明を行い、文書による同意を得なければならないこととしております。
さらに、私立保育所については、当分の間、上乗せ徴収の実施に対して市の同意を得ることを義務づけております。
次に、小規模保育事業B型等の職員の保育士資格についてですが、家庭的保育事業等の基準条例は、国の基準を踏まえ、事業者が適合すべき基準として定めているものでございます。
小規模保育事業B型については、乳幼児の数において通常要する職員配置基準に1人を加えた人数とし、その半数以上を保育士とすることで、保育の質の確保に配慮しております。
また、その他の家庭的保育者にあっては、市長が行う研修を修了した保育士、または保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市長が認める者であることを要件としておりますので、これにより適切な保育が行えるものと考えております。
次に、家庭的保育等における自園調理についてですが、家庭的保育事業等に関する基準条例においては、食事を外部から搬入する場合の搬入施設について、一定の要件を定めるとともに、事業者には加熱、保存等の調理機能を有する設備を備えることのほか、衛生面、栄養面等、必要な注意を果たせる体制の確保や乳幼児の発達段階に応じた食育に関する計画に基づく提供努力等の要件を満たすことを求めております。
これらの条件を課すことにより、外部搬入であっても適切な食事の提供体制が確保できるものと考えております。
最後に、小規模保育事業の連携施設としての市立園の役割についてですが、まず、連携施設の設定に当たっては小規模保育を行う事業者みずからが認定こども園や保育所等との間で調整を行うことになっております。
また、その調整が困難な場合には、事業者からの求めに応じて市が調整を行うこととされており、私立施設のあっせんや市立園みずからが連携施設になるなどの対応をしてまいります。
具体的な役割としましては、合同保育、行事参加、園庭開放、合同の健康診断、アレルギーや発達障害等に関する助言等が考えられます。
このように市立の認定こども園には、必要に応じて小規模保育事業の連携施設となることにより、地域全体としての安定的かつ円滑な保育の提供を支援する役割も求められているものと考えております。
〔13番西谷博子君登壇〕

◯13番(西谷博子君) 最初に、障害児の保育についてですが、優先的利用で調整を行う。障害児は基準同様に認定区分には値しても、市が優先的な利用調整を行う役割を果たすということで、これまで認められていた保育時間は確保できると確認していいんでしょうか。
それをあわせて、障害児の対応についてですが、これまでは特別な保育が必要な子には、保育士が加配をされています。新制度でこの保育士の配置基準はどうなるのか伺います。
そして、職員配置についてです。
3歳児に対する職員配置基準は、現在の20対1を15対1に改善することが行政の判断でできるようになりました。静岡市も積極的に取り組むべきだと考えます。
また、現在少子化が進む中、4歳、5歳の児童については25対1とし、どの子にも発達保障ができる、そういった体制にすべきだと考えますが、どうでしょうか。
給食についてです。
食育については、子供の発達保障のためにも、乳幼児からの取り組みが非常に重要です。だからこそ、公・私立を問わず、保育所では自園調理を行ってきました。今回の認定こども園に移行するに当たって、今までの条例をそのまま踏襲していると言いますけれども、全く新しい認定こども園にする以上、条例については、よりよい内容を条例に組み込む、これは必要な観点ではないかと考えます。給食の外部搬入は認めないということをしっかり打ち出すべきだと考えます。改めて聞きます。
次に、保育料の上乗せ徴収です。
保育を受ける施設によって、保育料に格差が生まれることになり問題です。保護者の合意を得て徴収を行うと言っていますが、上乗せ徴収を求められても払えない保護者の場合、同じ園にいながら同じような保育内容を受けられないというようなことも起きかねません。
また、私立保育園の場合は、これまでどおり市町村の合意がなければ保育料の上乗せ徴収はできませんが、認定こども園は各園で上乗せ徴収ができるという基準になっています。そういう点では、認定こども園に対する上乗せ徴収、これは行うべきではないと考えます。
家庭的保育事業についてです。
提案されている保育者の資格の基準や給食の外部搬入など、これらを認めていけば保育の質が低下することになります。現状では、先ほど言いましたように自園調理を基本としています。保育者の有資格や自園調理を基本とするよう条例に書き込むべきだと考えます。御答弁を求めます。

◯子ども未来局長(池谷眞樹君) 最初に、先ほどの1回目の障害児に関する答弁の確認でございますけれども、保育を必要とする児童が必要な時間分の保育を受けられる仕組みとなっております。
次に、今回の2回目の質問でございますが、障害のあるお子さんに対する職員配置についてです。
現在市立及び私立の保育所におきましては、障害のあるお子さんを受け入れている施設に対し、手厚い職員配置を可能とするよう措置または補助を行っております。
今後もこうした対応をしていきたいと考えております。
次に、3歳児や4、5歳児に対する職員配置につきましては、より手厚い配置が望ましいことは言うまでもありませんが、待機児童の解消が喫緊の課題であること、職員の確保の問題等、諸般の事情を考慮した場合、国の基準を踏まえた条例の基準を最低限守るべき基準としつつ、それを上回る努力を積み重ねていくという、これまでの保育所における職員配置の考え方に沿うことが適当と考えております。
次に、食育の観点から、給食の外部搬入を認めるべきではないとの御意見についてですが、幼保連携型認定こども園の基準条例におきましては、外部搬入とする場合の要件の1つとして、食育に関する計画に基づき、食事を提供するよう努めることと定め、外部搬入であっても食育に関して十分な配慮を求めるものとしております。
次に、上乗せ徴収により保育を受ける施設によって格差が生まれることの御指摘についてですが、さきに答弁したとおり、上乗せ徴収の実施に際しては、その内容について利用者の同意を得ることと、さらに私立保育所に対しては市の同意を義務づけていることから、保護者の意向に沿わない不合理な格差が生じることはないものと考えております。
最後に、家庭的保育事業等の保育の質についてですが、家庭的保育事業等の基準条例は、認可を受けようとする事業者に対し、保育の質を確保するための観点から、最低限適合すべき基準について定めるものであります。
事業者に対しては、保育の質の評価、改善、研修の機会の確保等を義務づけており、市においても事業者に対する必要な指導、助言に取り組むことにより、保育の質の確保に努めてまいります。
〔13番西谷博子君登壇〕

◯13番(西谷博子君) 食事の外部搬入は食育を重視するから大丈夫だと、そのようなことですが、食育そのものは……

◯議長(石上顕太郎君) あと1分です。

◯13番(西谷博子君)(続) においや形など、そういったものを通して食育になるわけです。
最後の要望になりますが、政府も静岡市も認定こども園は、幼稚園の教育と保育所の保育、それぞれよいところをあわせ持った幼保一体化施設と、そのメリットを強調しています。こういう言い方は、幼稚園でなされてきたような教育が保育所ではなされていないのではないかという誤解や不安を与えるものとなります。
しかし、実際には保育所でも幼稚園でも、同じように豊かな教育がされています。もちろん、その中身は園によって多様ですが、幼稚園、保育所という看板で優劣が分けられるものでは決してありません。子供にとって今大事なことは、どの子にも優しく、賢く、たくましく、そういったことが大事だと思います。
以上です。