静岡市が抱える借金問題と、その中身、借金の仕方に問題について質問

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105◯31番(山本明久君) 私は、静岡市が抱える借金について、借金が膨らんでいる問題と、その借金の中身、借金の仕方に問題があるという点で質問していきます。借金すべてが悪いというわけではありませんが、これから人口の減少がさらに進んでいく中で、借金の歯どめをかけなければいけないという問題意識です。

本市の借金である市債残高は増嵩を続けて、市債調書によると、23年度末において、一般会計で4,170億円、企業会計を含めた特別会計が2,300億円、合計6,470億円と、市民1人当たり92万円に大きく膨らんできました。日本全体の借金はというと、先日の日経に載っていましたが、この直近の5年のペースで地方と政府の債務がふえ続けると、2016年にはGDPの277%と。IMFの資料がある19世紀以降の先進国で最悪の水準になると言われていました。これまで第二次世界大戦後の1946年のイギリスが、GDP比269%と資料で最悪だということです。

巨額の債務を抱えた場合に、進む道は2つしかないと。1つは超ハイパーインフレで借金の価値をなくす。もう一つは債務不履行だと、そういうふうに言われています。もともと自民党政治のもとで、禁じ手である赤字国債を特例で発行し続けてきましたけれど、さらにそのやり方が、この10年間、地方自治体にも押しつけられて、地方財政法第5条に違反して、これも特例で財源不足の穴埋めに赤字地方債である臨時財政対策債が押しつけられてきました。このやり方は民主党政権でも引き継がれています。自治体はやむなく受け入れざるを得ないわけですが、これまで地方分権改革とか地域主権改革とか言われていますけれど、地方自治体にとって必要な財源を借金に頼らせるというのは、憲法と地方自治法に逆行する中身だと、重大な問題だというふうに私は思います。

そうした国のゆがんだ財政政策のもとで、本市では国策に沿って合併・政令市を進めてきましたが、それ以降、借金が急速に膨らんでいるという事実があります。そうしたことを踏まえてお聞きしていきます。

まず、23年度の当初予算歳入において、市債依存度が17.1%に増嵩している点について、また、今言いましたように、市債残高が増嵩を続け、23年度末には、一般会計で4,170億円になることについて、企業会計の場合は、借金をして、収益を得るという仕組みですから、これはちょっと除くとして、それぞれどういう認識でいるのか、財政当局の考えを示していただきたい。

もう一点お聞きしておきたいことは、今述べた臨時財政対策債についてです。これが市債のうち43%を占めるに至っています。比率が非常に高まっている。これについてどういう認識でいるのかということです。23年度当初予算における実質的な地方交付税総額、これは308億円と計算されていますが、そのうち地方交付税は106億円、臨時財政対策債が202億円と3分の2を占めているわけです。

臨時財政対策債は、この10年間で、静岡市で増嵩を続けて1,100億円にかさんできているわけですね。これは、返済の際に、元利とも面倒を見る、交付税で手当てするというふうに言われていますけれど、実際には需要額に入れ込んで交付税を減らすということですから、その額がそっくり交付税に上乗せされるということではないわけです。この臨時財政対策債の償還について、まず21年度の決算額と22年度、23年度、24年度程度の見込み額を示していただきたいと思います。

以上、1回目を終わります。

 

 

◯財政局長(中井幹晴君) まず、市債依存度が17.1%に増嵩している点について、どういう認識かという御質問がございました。

平成23年度の市債の当初予算額は471億円であり、市債依存度は17.1%でありますが、そのうち地方交付税の振り替えである臨時財政対策債、前年度33億円の増ということでございますが、それと地域総合整備資金貸付金、これは新静岡センターへのふるさと融資でございますが、その財源となる市債23億円、これを除いた額は246億円となります。この額によって市債依存度を計算してみますと8.9%となりまして、前年度の9.6%よりも減少しているということは言えるわけでございます。

次に、市債残高が一般会計で4,170億円になることについて、どういう認識かという御質問でございます。

平成23年度末の市債残高見込みは、通常債の建設事業債で2,254億円、合併特例債で622億円、退職手当債で110億円、臨時財政対策債1,184億円となり、4,000億円を超える見込みとなっております。この市債残高見込みが増加し4,000億円を超えることとなったことは、臨時財政対策債の残高が増加していること、合併特例債の残高が増加していることが主な要因でございます。

この合併特例債は、その元利償還金の70%が基準財政需要額に算入される財政措置の厚い起債であり、その残高が増加していることは、合併による新市建設計画を着実に実施してきた結果でもあるというふうに考えております。また、通常の建設事業債の残高は減少しておりまして、市債の一定の管理はなされているというふうに認識しております。

それから、臨時財政対策債についてでございますが、この臨時財政対策債は、平成23年度の地方財政計画において、財政力の弱い地方公共団体への配慮の観点から、配分方式の見直しがなされたところであります。この見直しによりまして、臨時財政対策債は、本市など財政力が比較的高く、資金調達能力の高い指定都市への配分が高くなることになっております。この結果、本市において市債に占める臨時財政対策債の比率が高まっていると認識しております。

臨時財政対策債の償還額は、平成21年度決算額は30億円、今後も臨時財政対策債を発行するものとして、財政中期見通しでは、その償還額を平成22年度で35億円、23年度で46億円、24年度で60億円と見込んでおります。

以上でございます。

〔31番山本明久君登壇〕

 

 

◯31番(山本明久君) 答弁いただきました。

自治体の借金を見る場合に、今も答弁がありましたが、地方財政計画との関連をやっぱり見る必要があるというふうに思います。23年度の地方財政計画では、交付税をふやして、一般財源総額を確保したというふうに説明されています。しかし、問題は、社会保障関係費の自然増などを中心にして、一般行政経費というのは1兆4,000億円増額されていますけれど、それに見合う歳出規模の拡大が行われておらず、一般財源というのは全国で実質180億円しかふえていないということになっています。どうしてそうなったかといいますと、ざっくりですけれど、歳入では地方税や譲与税収入が1兆円増加したと。その分について地方交付税を5,000億円ふやしたけれど、臨時財政対策債を1兆5,000億円マイナスにして、帳じりを合わせているわけです。

歳出のほうでは、地方再生対策費、給与関係経費、投資的経費など1兆円削って、本来、歳出規模をふやすべき社会保障関係費の自然増の伸び、こういうものも全部のみ込んでしまって全体の歳出を大きく抑えているということになっているからだと思います。本来なら、少なくとも社会保障の自然増の地方負担分や地域活性化・雇用対策費などを合わせた1兆円規模の歳出を拡大させて、それに見合う一般財源を確保する、増大させるという必要があるわけですが、それがわずか180億円に抑えられている、そういう関係があるわけですね。もともと地方交付税というのは、地方の標準的な支出のための財源を保障するというものですから、必要な分については、その歳出に見合って増加させるべきものなんですけれど、そうなっていないというところに問題があるというふうに思います。

こういう、いわばゆがんだ地方財政計画によって、本市においても、歳入も歳出も非常に厳しく、苦しめられているということになってきていると思います。

そうしたことも踏まえてお聞きしていきますけれど、まず歳入を借金に頼るという市債依存度の問題です。意図的に依存度、臨時財政対策債を除いた比率で述べられましたけれど、政令市で比較すると、全部、臨時財政対策債を含めての話になっていますが、本市は市債依存度が一番高いわけですね。20年度決算で15.88%と1位、21年度決算も16.8%と1位。決算が出ていない22年度は、当初で比べてみると15.9%、これまた1位と。23年度は17.1%で、これは新潟市が伸びましたので2位と。しかし、一番借金に頼っているという点はもう間違いありません。

ですから、臨時財政対策債だからいいんだという話では決してないと思いますが、この市債依存度を抑えるという市民本位の対策がどうしても必要だと思いますけれど、どうしていくのか。この展望を示していただきたいと思います。

そして、市債残高が大きく膨らんでいる問題についてです。合併で非常に効果があるんだというような言い回しでしたが、しかしその合併後の短期間に一般会計でふえた借金というのは1,000億円あります。政令市移行後は、そのうち900億円ふえています。その内訳を見てみますと、特例債が540億円増加して、臨時財政対策債が700億円増加していると。今、答弁にも少しありましたが、その分、建設事業債を300億円程度抑えていると。差し引きで1,000億円ふえたということになっています。

先ほども述べましたけれど、自民党政権も民主党政権も、時の政府のゆがんだ財政政策、誘導策によって、答弁にもありましたが、特例債は事業費の大半を割り当てられると、返済時は交付税で7割見ると。臨時財政対策債は交付税の振りかえで、償還時には全額手当てするというふうに言って、無理やり借金を押しつけてきているわけですね。市も臨時財政対策債は枠いっぱい借りてきている、乗ったわけですね。これが、市の借金の急速な増加の要因になっているわけです。ですから、このように、合併・政令市以降の箱物事業、大型公共事業には、どんどん借金をした結果、その市債残高を増嵩させてきているという事実関係があります。これが市の財政に対してどういう影響を及ぼしているのか。基盤整備ができたからいいんだという側面は言われましたが、大きな問題じゃないかと、その考えについて示していただきたいと思います。

もう一点見逃せないことは、臨時財政対策債を交付税で手当てするというその実態についてです。これは将来の交付税の先食いだとも言われています。今の答弁は政府どおりですが、償還の際、手当てするからいいんだ、赤字ではないんだと。しかし、その実態は、この臨時財政対策債の借金の返済のために、新たな借金、臨時財政対策債を充てるということになっているんじゃないかと。23年度では、先ほどの答弁では約46億円返済する予定だと。今年度、先ほども言いましたように、実質的な交付税総額は308億余、交付税は106億だと。そうした中からその46億を返済していくという関係になるわけですね。お金に色はついていませんから、その46億の臨時財政対策債の返済をどうするかという点では、また新たな臨時財政対策債を借り入れて、そこから返済財源に充てているんじゃないかと。これは、いわば自転車操業、借金返済のための借金になっている実態があるんじゃないか。本当にそれは正しい財政運営じゃないんじゃないか。この点について考えを示していただきたい。

以上です。

 

 

◯財政局長(中井幹晴君) まず、市債依存度を抑える対策あるいは展望でございます。平成23年度当初予算では、市債を471億円、市債依存度17.1%を予算計上したわけでございますが、今後の市債発行額を財政の中期見通しで見ますと、平成24年度で519億円、歳入に対しての市債依存度は18.5%、25年度で430億円、市債依存度15.9%、26年度397億円、依存度14.9%と見込んでおるところであります。平成24年度は、清水駅東地区文化施設の購入、これは市債発行額で77億円になりますが、これらにより市債発行額が増加いたしますが、その後は減少し、市債依存度も低下していくというふうに見込んでおります。

次に、市債残高が合併特例債などを中心に短期間で増嵩していることの財政への影響でございますが、市債残高が増加するということは、当然、後年度の財政負担が増加することになります。合併による新市建設計画に基づく事業を推進してきたこと、また指定都市移行後は、国県道の管理を初めとして、財政需要が増加したことに伴い、合併特例債などの市債発行額が増加しているのは確かでございます。その結果、市債残高が増加し、平成17年度には330億円であった市債の償還が、財政の中期見通しでは平成24年度には400億円を超える見込みとなっております。

このような状況を踏まえまして、市債発行額の適正な管理を行うとともに、償還期間の多様化を図り、公債費の平準化に努めておるところでございます。

臨時財政対策債の発行が、自転車操業になっているのではないか、やり方が正しくないのではないかという御指摘でございます。この点については、いろいろ議論はあるところでございますけれども、この臨時財政対策債、本来は普通交付税として現金で交付されるべきものでありますが、国や地方財政の財源不足に対応するために、地方公共団体において発行できるとされたものでありまして、この点については御理解いただきたいと思います。

以上でございます。

〔31番山本明久君登壇〕

 

 

◯31番(山本明久君) 市債依存度をどうして抑えるかということですが、明確な考えはなくて、これから減っていくでしょうという話でした。確かに、本市の場合、実質公債費比率とか将来負担率というのはそんなに高いわけじゃありません。しかし、他の政令市の市債依存度というのは大体10%前後で、1けた台というのも多いわけです。本市もこれから財政の硬直化が進みますから、市債を管理するという点においては、これ以上は発行しないという上限額を明確に持つ必要があるんじゃないかと思いますけれど、その点どういうふうにお考えか、示していただきたいと思います。

借金を抑えるということについてなんですが、大きく借金する事業を抑えるということがやっぱり必要なんじゃないかというふうに思います。中期見通しでも財源不足が大きくなるということが強調されています。その財源不足になるということと、借金を抑えるということをどう両立させるかということで言えば、借金を大きくする事業、大型の公共事業を抑えるということが必要なんじゃないかというふうに思います。その点について23年度の地方財政計画を見ますと、直轄事業と補助事業を伸ばして、地方の単独事業を大きく削るという中身になっています。国の考えは、大型公共事業を全国で進めますよという考えで、それを地方にも押しつけているという関係があるんですが、この地方財政計画を受けた本市の23年度の予算では、市の単独事業は前年比で67億円減らして、補助事業を75億円ふやしているという関係になっています。

本市の投資的経費というのは、これまた政令市の中で一番多いですね、普通建設事業、特に補助事業が多い。そういう中で、急がなくてもいいような大型公共事業を削れば、全体の投資的経費を抑えながらも、その分が市単独の生活密着型の公共事業をふやせると。全体を抑えながらも、市民に役立つ業者の仕事づくりになるんじゃないかということで、提起したいのは、この間、借金を増嵩させてきた大きな要因であり、重点として聖域化されてきた大きな公共事業、箱物、それをやっぱり見直して、最大限抑えるということが、これから市債管理上必要じゃないか。この点についてどう考えるのか、お聞かせいただきたいと思います。

最後は、臨時財政対策債についてです。

いろいろ議論があるということを言われました。確かに、政府の言い分と地方財政を専門にする学者の間では大きな違いがあります。しかし、現に地方交付税の振りかえという点では、自治体はそれを活用するしかないということになっています。しかし、これが交付税と違うのは、需用額を積み上げたということじゃなくて、逆に、その分、需用額を減らして入れ込んで、交付税を減らすという仕組みそのものですから、これは、もう政府の裁量でつくられた財源不足を小手先の借金であてがうということになっているんじゃないかというふうに私は思います。

 

 

◯議長(石川久雄君) 発言はあと1分で終了してください。

 

 

◯31番(山本明久君)(続) 後から交付税で手当てされるから赤字じゃないんだという言い分なんですが、それはそうじゃないんですよ。手当てされるのは借金だということになるということからいえば、明確な赤字市債なんだということが必要じゃないかと。

ですから、本来、臨時財政対策債の廃止をやっぱり政府に求めて、基本は、本来の交付税率の引き上げ、それで交付税額を確保すると。交付税というのは地方独自の財源ですから、それをしっかり確保するということが、本市の財政の健全化あるいは市債を抑えるという点でも、地方自治にふさわしい財源保障をするという点でも、やっぱり必要じゃないかというふうに思いますけれど、この点をどういうふうに考えて、これからどういう対応をするのか、展望をお聞かせいただいて、質問を終わります。

 

 

◯財政局長(中井幹晴君) まず、市債発行限度額を明確にする必要があるのではないか、どういう基準で管理するのかという御質問でございます。地方債は、通常は建設事業の財源として発行されますが、退職手当債や臨時財政対策債など地方財政法において地方債の特例として発行が認められているものもあるわけでございます。いずれの地方債も、地方公共団体のそれぞれの財政需要に対応するために発行が認められているものでございます。

現在、本市の健全化判断比率は、早期健全化基準を大きく下回っており、また財政運営はその時々の財政需要に対して柔軟に対応していくことも必要であることから、現段階では、市債発行限度額などの基準を設けて財政運営を行っていく考えは持っておりません。引き続き、後年度への影響、健全化判断比率など財政指標の推移などを注視し、市債発行額全体を管理していきたいと考えております。

次に、大型箱物、開発事業などの投資的経費を抑えることが市債管理にとって必要ではないかという御質問でございます。平成23年度の当初予算では、投資的経費の財源となる建設事業債について243億円を計上してございます。また、今後の建設事業債の発行額を、財政の中期見通しでは、平成24年度で317億円、25年度239億円、26年度216億円と見込んでいるところであります。

先ほども御説明いたしましたとおり、平成24年度には、現在、建設を進めている大規模な清水駅東地区文化施設の購入などがございまして、投資的経費、建設事業債は増加いたしますが、その後は、投資的経費、建設事業債の発行額は減少していく見通しとなっているところでございます。

次に、臨時財政対策債の廃止を政府に求め、交付税率の引き上げで交付税額を確保することが必要ではないかという御質問でございます。これも繰り返しになりますが、臨時財政対策債は、本来は普通交付税として現金で交付されるべきものであり、国や地方財政の財源不足に対応するために、地方公共団体において発行できるとされたものであります。

この地方交付税の改革等については、指定都市市長会といたしましても、大都市財政の実態に即応する財源の拡充についての要望において、国・地方を通じた歳出削減努力によってもなお生じる地方財源不足額の解消は、臨時財政対策債の発行等による負担の先送りではなく、地方交付税法定率引き上げによって対応することと、国に対して昨年11月にも要望を行っているところであります。

ただ、いずれにいたしましても、地方財政の財源不足が臨時財政対策債の要因となっておるわけでございまして、この財源不足の最大の原因は社会保障費が増加していっているということでございますので、持続可能な社会保障制度を構築するために、国と地方全体の税と社会保障の関係について考えていく必要があると、そのように考えております。

以上でございます。