私は2つの問題で質問します。
第1は、原発災害にかかわる問題です。
福島原発の事故による放射能汚染が本市も含めて11都県に及び、40キロ圏の飯舘村でチェルノブイリを上回る放射能が観測されるなど、広範囲、大量に広がる未曾有の大災害となっています。終息のめどの立たない先日、政府が原発の再稼働を自治体に要請したことに対して、23日、日弁連の会長が事故原因の解明もできていない段階で甚だしい安全軽視だと声明を出しました。これは当然です。今、原発災害から住民の命と安全、財産を守り、地域と産業を守ることは全国共通の問題です。これは、市長と同じ認識だと思います。
私は阪神・淡路大震災を受けて、1995年11月議会で東海地震によって浜岡原発が過酷事故を起こすと、40キロ圏の本市が放射能被害を受けるおそれがあるので、検知器やヨウ素剤の配備などを求めました。当時の議会答弁では、国が多重防護の安全対策をとっているから大丈夫という認識でした。今回の福島の事故では、地震動が耐震設計上限を上回って、すべての外部電源を喪失させ、津波で非常用内部電源もすべて喪失し、1、2、3号機ですべての圧力容器、格納容器が壊れるという事態です。こうした過酷事故の想定は、これまで国会や地方議会でも学者研究者の間でもアメリカでも広く指摘されていたにもかかわらず、政府も電力も絶対安全だと言って対策をとってきませんでした。明らかに人災です。
加えて、ベントや海水注入による冷却措置のおくれなど、判断ミスも重なりました。その結果、10万人が今なお避難し、住民がふるさとに住めなくなり、産業も地域社会も自治体そのものも存続の危機に直面するという、いわば本当に取り返しがつかない原発災害になっています。このような原発災害の特徴や人災という点について、またこれまで安全だと市が言ってきた原発の危険性について、16年前の議会答弁の認識を、この際改める必要があると思いますが、こうした諸点についての認識をまずお聞かせいただきたいと思います。
第2は、静岡市版事業仕分けについてです。
市長の所信表明では、市民の暮らしや地域経済など市政全体の課題や問題について、どうかじを切るのかという点については、具体的にほとんど語られませんでした。取り組む市政課題の第1に、新しい公共経営手法による行革の推進を上げ、事業仕分けで税金の無駄遣いを洗い出すと宣言しました。私は、これまで合併政令市のもとで本市の行財政が大型箱物、開発などに優先されて、借金も短期間に1,000億円以上ふえ、そうした結果、政令市の中で民生費の構成比は最低レベルになり、地域経済の落ち込みもとめられない、こういうゆがんだ行財政運営になっていると考えています。これは、市長が、市民の求めることが反映されていないという打破すべき現状なのではないでしょうか。市長は打破すべき行財政運営の現状について、どのような課題や問題があると認識しているのか、具体的に述べておいていただきたいと思います。
以上、1回目です。
◯副市長(清水喜代志君) 原発災害についての認識、それから人災としての認識、安全性に対する従来の考え方を改めることについてでございますが、福島第一原子力発電所の事故を見ますと、原発震災は世界じゅうにはかり知れない影響を与えるものであることは強く感じました。また、本市のお茶農家の皆様が被害を受けたことにつきまして、大きな憤りを感じております。しかし、謙虚に反省すると、今回の原発震災は科学を過信していることを思い知らされたことも事実であり、その意味ではまさに人災であると感じております。
またエネルギー政策と日本人のライフスタイルを見直す機会ともなったと考えており、静岡市としまして省エネルギーなどにより一層取り組んでまいります。福島第一原発の事故については、国や東京電力は事故の直接的な原因究明と、その対応の評価を徹底的に行い、今後の安全対策の確立を図っていただきたいと考えております。
以上です。
◯経営管理局長(小長谷重之君) 現状の行財政運営の問題点と課題についてのお尋ねにお答えをいたします。
従来より、本市では行政と民間との役割分担、協働による行政運営を目指し、効率的な自治体経営と多様な市民ニーズにこたえる取り組みを行財政改革を通して進めてまいりました。しかし、東日本大震災を含む社会情勢の大きな変化に伴い、本市においても市民の不安を安心に変える施策の推進が差し迫った大きな課題であり、そのための新たな財源の確保が必要な状況にあります。したがいまして、一層の生産性、効率性の向上と成果重視の行政スタイルへの転換を促進し、経営資源の選択と集中を図るため、さらなる行財政改革を推進する必要があると認識しております。
以上でございます。
〔31番山本明久君登壇〕
◯31番(山本明久君) 2回目です。市長の考えを求めたんですが、答えられませんでした。
まず、原発災害についてです。
少し前進、余り深まっていないという印象ですが、今、危険なので運転をとめている浜岡原発をどうするかというのが焦点です。浜岡原発から静岡市が入る50キロ圏では、210万人を超える人口が集中しています。さらに、東名や新幹線などの大動脈、産業集積を見れば、もし浜岡が事故を起こせば日本全体が動かなくなるという危険があります。昨日、議論もあった救援活動すら入れないという事態が起こり得ます。その浜岡原発では、東海地震の震源域の真上にある世界で一番危険な原発だと言われています。注目の3連動地震にとどまらず、さらに大きい沖縄にも及ぶ西南日本大地震の危険性も指摘されています。これは、定説にはなっていないが否定する学者もいないと、先日東海大学の長尾年恭教授が議員研修の後、話していただきました。地質学が専門の新潟大学の立石雅昭名誉教授も、6月に来静された際、講演を聞きましたが、御前崎半島は1,000年から2,000年ごとに2メートル前後の隆起が3回繰り返した巨大地震による地質上の証拠があると講演されました。これは、産業技術総合研究所のボーリング調査で、原発近くに2.8メートルの隆起を確認しています。非常に危険だということです。
浜岡原発敷地内には、H系断層が4本走っているという問題もあります。ちょうど、原子力建屋、タービン建屋の間の5号機で走っていると。巨大な地震動で冷却系の配管システムや耐震性が弱いタービン建屋、それから原子炉建屋そのものも破壊される可能性は否定できません。東日本では、2,000ガルを超える地点がありました。浜岡の耐震設計は1,000ガルですから、これはもう想定すべきです。私は、こういうふうに思いますが、本市から50キロ、福島で言えば非常に放射線量が高い福島市や飯舘村とほぼ同じ距離ですけれども、この浜岡原発の危険性について、市自身はどのように認識しているのか、お聞かせいただきたい。
次に、静岡市版事業仕分けについてです。
私は、事業仕分けでどんどん削れと言っているわけではありません。もともと無理筋だということです。事業仕分けの手法では、今の行財政の問題というのは解決しないということです。市長はニューパブリックマネジメント手法に頼っているという所信表明はありましたけれども、私は平成15年11月議会で総務省がこの手法で公共の民間化の名で自治体に事務事業の徹底した洗い出しを強要して、公共の空洞化が全国で起きているという問題を取り上げました。あのとき、ちょうど公共を民間に移した場合、耐震偽装というような問題があったと、民間が公共をチェックできないという事態を生んだということがありました。
また、現在の行革大綱は同じNPM手法で、行政と民間の協働で新しい公共空間をつくるということで策定されて、22年から26年までに洗い出しを徹底して、現に200事業で190億円削減するという計画が進んでいます。市長が言う事業仕分けで、これに位置づけると言いますけれども、マニフェストで打ち出した4年間80億円の無駄遣いの洗い出しというのは、これに埋没してしまうのか。大綱に、どの程度上乗せできるのか、第一にやるというにしては、成果がほとんどないのか、まぼろしか、どういうことなのか、お聞かせいただきたいと思います。
以上、2回目です。
◯危機管理統括監(望月俊春君) 浜岡原発の危険性について、お答えをいたします。
浜岡原子力発電所については、現在、中部電力が安全対策の強化を図っているところであり、その安全性については、今後、中部電力みずからが説明していくべきものと考えております。
以上でございます。
◯経営管理局長(小長谷重之君) 事業仕分けについての2点のお尋ねにお答えをいたします。
まず、事業費削減のための強引な評価になってしまうのではないかということでございますが、静岡市版事業仕分けは事務事業見直しの手法として、行政では気付きにくい市民目線の視点による評価を取り入れることが大きな目的であるため、市民の皆さんの率直な御意見をもとに評価結果を出すものでありまして、強引に廃止や削減といった評価に導くものではございません。
次に、新たに生み出す80億円の財源と現実施計画の経費節減計画との関係であります。
現行の行財政改革推進大綱実施計画の経費節減効果額に加えて、静岡市版事業仕分けのほか、事務事業評価や業務改善提案など、新しい公共経営の手法を活用して、市民目線やコストに対する意識を高めるなど、職員意識改革を図り、事務事業の見直し、廃止統合やコスト縮減により80億円以上を経費節減しようとするものであります。
以上でございます。
〔31番山本明久君登壇〕
◯31番(山本明久君) 浜岡原発の危険性ですが、これはもう本当に甘い、当局の認識はそんなレベルじゃ困るんですね。100万キロワットの原子炉内には、1年間運転すると広島型原爆1,000発分の放射性物質、死の灰がたまると言われています。どんな事故でも、これを内部に完全に閉じ込めるという技術は今人類は持ってないんですね。これが、最大の危険性です。浜岡は、これに加えて震源域での地震動と液状化の危険というのもあります。ですから、津波対策をとれば安全だとはもう絶対に言えないわけです。
今、企業不安が言われていますけれども、これはとめておれば安全だということです。浜岡原発は静岡市民を守る上で永久停止から廃炉にすることが不可欠です。これを政府と中部電力に対して要請すべきではないか。本市は、中部電力の400万株もの株主です。今こそ、物を言うべきです。仮に廃炉を決めても、崩壊熱によって核燃料や、今言った死の灰の処理などに20年以上かかります。現に、東海村が今途中です。浜岡には、使用済み核燃料の集合体が現在6,200体、1体で燃料棒70本程度を収容されているということですから、莫大な量があると。これを巨大地震のもとで安定的に安全に冷却し続けるという技術が、本当に可能かどうかという問題もあります。浜岡原発が東海地震などで事故を起こして放射能汚染がもし広がれば、風速5メートルの南西の風で50キロ圏ですから、3時間で静岡に、ちょうどこの市役所は50キロですから到達します。ですから、50キロ圏の本市も原子力防災計画に入れ込むように、国・県に対して、しっかりと要請すべきではないか。この考えについて、お伺いします。
今は10キロ圏だけです。アメリカは50マイル、80キロ圏が重点対策地域になっています。今、市民が集まれば原発と放射能の話です。市の教育委員会は昨日、県が葵区で1カ所はかっていて、問題ないから大丈夫だという考えを示されました。しかし、地表3メートルで1カ所だけですから、現に市民はお茶の被害を目の当たりにしていますので不安なんです。わからないから不安ということですから、市長は不安から安全へと言う以上、この市民の不安にこたえて、保育所や公園などで地表面と1メートル地点を測定して公表すべきじゃないか。
また、原発災害を受けて原発依存から新エネルギーへの転換や省エネ、低エネ社会というのが切実に求められているということですから、市の省エネ導入促進というのは、従来の計画をさらに大きく上回る対策が必要だと思いますけれども、どうするのか、お聞かせいただきたいと思います。
次は事業仕分けです。
答弁を聞いていると、現状打破じゃなくて現状維持になっている、これでいいのかと。市長が言う事業仕分けで、市民が願う無駄の洗い出しというのは本当にできるのか。この新しい公共経営の論理というのは、小泉構造改革のもとで競争原理で民間開放を進めて社会保障を切り捨てて、格差と貧困を生み出し、社会的には既に破綻した古い政治手法であり、これを行政管理版、自治体版に当てはめただけです。これは、財政の悪化の厳しさなど、真の要因を追求する財政分析というのは必要としないんです。なぜなら、民間化を進めて無駄を削ると言えばいいだけですから、そういう手法でこれは市民本位の真の行革とはまた別物です。そういうことですから、行財政の課題や問題にメスを入れることができないんじゃないか。入れるためには、予算化する際に予算編成過程を公表して透明化を図る必要があるんじゃないかと、この考えをお聞かせいただきたいと思います。
◯危機管理統括監(望月俊春君) 浜岡原発の永久停止、廃炉の要請、本市を原子力防災計画に入れ込むことの要請についてお答えいたします。
原子力発電所に関しましては、今後のエネルギー政策を見直す中で検討されるべきものと考えております。
以上です。
◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) 保育所の園庭の放射線の測定についてのお尋ねでございますが、県が実施、公表しております環境放射線等測定では、現在のところ、震災前と測定値に変化が見られず、健康への影響を心配する必要がないレベルと発表されておりますので、引き続き県が実施しております調査結果に注視をしていきたいというふうに考えております。
以上です。
◯都市局長(杉浦 進君) 公園の放射線の測定についてでございます。
ただいま酒井局長が申したとおり同様の理由でございます。引き続き、県が実施しております調査結果を注視してまいります。
以上でございます。
◯環境局長(杉山浩敏君) 新エネルギーの導入促進についてのご質問でございます。
現在、昨年度策定いたしました静岡市地球温暖化対策実行計画で掲げるリーディングプロジェクトの1つであります次世代エネルギー推進プロジェクトに基づき、住宅用太陽光発電システム設置に対する助成など、新エネルギー設備の導入促進を図っているところであります。こうした中、浜岡原子力発電所の全面停止を受け、新エネルギーへの関心が高まってきているため、さらなる新エネルギーの導入促進を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯経営管理局長(小長谷重之君) 事業仕分けは、課題や問題にメスを入れることができるのかといった御質問ですが、今回実施する静岡市版事業仕分けによって、行政では気付きにくい市民目線の視点によって、事務事業の見直しが行われると期待をしているところであります。これにより、職員の意識改革が図られ、より多角的な事務事業の見直しが不断に行われ、経費節減につながるものと考えております。また、これらに合わせて、より一層行政経営の透明性や説明責任の確保につながるものと考えております。
以上です。
◯財政局長(中井幹晴君) 予算編成の透明性についてお答えいたします。
市民と市が行政情報を共有し、市民の理解を得て公正で民主的な市政運営を行うために、積極的な情報公開を進めることは大変重要なことであると認識しております。そのため、平成23年度当初予算編成時より予算編成方針や局別当初予算の要求、決定状況を速やかにホームページに掲載したほか、予算関連の資料について市民にわかりやすく工夫し公表するなど、情報公開に努めてきたところでございます。今後も引き続き改善を図り、より透明度を高めてまいりたいと考えております。
以上でございます。