静岡市生涯学習施設条例の一部改正について、反対の討論

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120◯31番(山本明久君) 私は、日本共産党市議団を代表して、議題となっております議案のうち、第110号静岡市生涯学習施設条例の一部改正について、反対の討論を行います。

この条例改正は、来年度から清水区の生涯学習交流館21館において指定管理者を導入しようとするものです。指定管理者による管理については、私たち党議員団は、一つ一つの公の施設について、公共サービスにふさわしい水準が確保され、かつ効率的で合理的かどうか。また、労働条件が低下しないかどうかなど、一つ一つについて判断しており、一律に反対するというものではありません。

この間、指定管理者が管理する施設において、県内だけでも平成21年に草薙総合体育館で利用者が死亡し、22年には三ケ日青年の家で中学生が死亡するなど、あってはならない重大な事故が続く中で、総務省が22年末に指定管理者制度の適切な運用の留意点について、通知を都道府県政令市に出しています。その中では、公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスの提供者を指定するために、価格競争で安ければよいというものではないこと。つまりコスト削減のみを目的としないこと。また、複数の申請者に事業計画を出させること。さらに、指定管理者のもとで働く労働者のワーキングプア状態について、行政の責任を問う国会での追及を受けて、労働法令の遵守や雇用労働条件への適切な配慮をすることなどが指摘されています。

ですから、本条例改正案がこうした指摘に照らして問題がないかどうかが問われています。同時に、清水区におきましては、この間、指定管理者の導入を前提にして連合自治会を中心に、住民と市が協議を進めてきたという流れがあります。その協議内容に照らしても、問題がないかどうかが問われています。

そうしたことを踏まえて、反対する理由の第1は、これまで清水区民が職員とともに歴史的に築き上げてきた公民館の役割、つまりまちづくりの拠点や生涯学習という社会教育の拠点としての役割が今、市が進めようとしている指定管理者制度の内容や実態から見て、大きな後退、サービスの低下になるおそれがあるということです。

もともと従来の公民館は、社会教育法や地方教育行政組織法に位置づけられて、教育機関として生涯学習の振興に寄与すること。住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与すること。さらには学校、家庭及び地域住民など、関係者相互間の連携及び協力の促進に資するという役割がそれぞれ法律で明記されていました。ですから、それにふさわしく館長を置いて、専門の主事や必要な職員を置くことができるということになっていました。

しかし、平成20年度から本市において、清水区の公民館はこの位置づけから外され、所管が教育委員会から市長部局に移されました。これは指定管理者を導入して経費削減をねらうものだとして、私たちは反対いたしました。名称が生涯学習センターや生涯学習交流館になりましたけれど、生涯学習施設省令で規定する設置目的や事業というのは公民館とほぼ同じです。例えば設置目的は、市民の自発的な学習活動を支援することにより、学習活動を通じて、地域の交流及び連携を図り、もって市民主体のまちづくりを推進するとなっており、事業についても、生涯学習に関する各種講座、講演会の開催、市民主体のまちづくりを推進する人材の育成、生涯学習に関する情報の収集及び提供並びに相談ということになっています。

形の上で名前は変わっても、清水区におきましては、交流館の実際の活動というのは住民と職員が本当に努力されて、社会教育、公民館の機能を現に担ってきています。実際、清水区の公民館はこれまで優良公民館として、国からも何度も表彰されてきたと伺っていますし、今、各交流館で20から30の講座が開かれているということになっています。そうした状況で、地域防災におきましても、館長が防災の地区支部の副支部長の重責を担っています。

しかし、こうした交流館が名前が変わって位置づけが変わったという矛盾が今回の指定管理の導入によってはっきりあらわれたと言えます。市はこれまで住民との協議の中で、指定管理になっても生涯学習交流館は何も変わらない。住民サービスは低下させないと説明してきました。ところが、実際は指定管理者導入をにらんで、22年度は、館長は21館中14人が正規職員で、再任用職員が7人でしたけれど、既に23年度から、正規職員が7人、非常勤職員14人になって、これらの人たちは給料も半分に引き下げられているという現状です。

重責を担っている館長が24年度の指定管理者導入から、館長という職名も外していくということになろうとしています。これでどうして重責が果たしていけるでしょうか。これはまちづくりにとって大きな後退です。こうした指定管理者の導入は容認できません。

第2に、今述べたことと一体の問題ですが、指定管理者導入の目的が明らかに人件費削減になっており、重要な公共サービスを担う労働者が劣悪な労働条件になるおそれがあります。これは先ほど見た総務省の通知にも背くものです。この点においても容認することはできません。

第3は、住民の理解と合意が得られないまま市が強引に進めようとしていることです。自治会の役員の中でも理解が得られていませんし、これはとりもなおさず、区民全体に説明が十分されていないというあらわれでもあります。

市長は、清水区で住民が歴史的に築いてきた公民館機能と役割を軽視しているのではないかと思わざるを得ません。主人公である住民を無視することは最大の問題です。これが市長が所信表明で述べた現地現場主義、官民協働という姿でしょうか。こんな状況で強引に条例改正を強行することは拙速であり、認めることはできません。市長はもっと丁寧に住民と協議すべきです。

以上、3点について述べたことは、公の施設の管理運営とサービス提供における市の責任の明らかな後退です。そうではいけないと思います。私たちは生涯学習交流館を従来の公民館が果たしてきた役割と機能をさらに発展させる必要があると思います。そのために市がそれにふさわしい職員配置の充実と労働条件の向上、住民主体のまちづくりを支援するという責務をしっかりと十分に果たすことを求めて討論を終わります。