第1は、国保料の滞納による財産の差し押さえ、そして払えなくなった市民に対する徴収の猶予、減免について、市当局の対応をただしていきたいと思います。
国保は、所得がなくても、低くても、市民だれもが安心して医療を受けられるという社会保障としての役割が国保法でうたわれています。しかし、今、保険料が払えなくなると保険証を交付しなかったり、財産を差し押さえするなど強行的な行政が全国的に進められている。22年度本市決算での国保料の不納欠損額は10億円を超えてきていますけれど、本当に払えない状況のもとでは、取り立てを強化するのではなくて、徴収猶予などの緩和、緩くすること、これが優先されるべきだと考えています。
本来、国税であれ地方税であれ、差し押さえなどの強権的処分は最悪の滞納者を想定している、これは国税徴収法制定の最高責任者であった民法学者の我妻 栄氏の主張です。ですから、分納に誠意を持って努力しているような善良な市民に向けるものではないというのが基本原則です。福祉分野の滞納はなおさらで、行政の福祉の心が問われる問題だと提起しておきます。
国保料の滞納は、今、本市においても、加入世帯の20%を超えるという状況になっていますので、まず、本市の実態として、国保料の滞納による差し押さえの件数と、差し押さえ財産の内容について、また保険料が払えなくなった場合は、今の国保条例では市民は徴収の猶予が申請できるというふうに29条で規定されていますが、この徴収猶予の申請件数と猶予した件数、それぞれここ3年程度の推移を示していただきたいと思います。
そして、これらの実態について市当局としてどういう認識でいるのかということについても、考えを述べておいていただきたいと思います。
第2は、水道新庁舎の建設についてです。
これは、26年度までに第2次中期経営計画で、危機管理センター機能を持つ新庁舎をつくるということが計画されています。これ自身は必要なことだと思います。本来なら建設に当たっては、自前の所有財産の有効活用など効率的な方法をまず優先的に検討して、経費を最大限圧縮するということが必要だと思います。
この間、当局からは、宮竹の4,000平米を超える所有地や、清水庁舎については液状化や津波の危険性があるという問題などが説明されてきています。そうした合理的な理由で、こういうところがだめだということになれば、今提案されている七間町の土地購入ということも検討する必要があるかなというふうに考えます。
東日本の大震災と津波被害というのを考えると、ライフラインで最も重要な、命にかかわる水の供給と確保という点についての災害時の危機管理機能を果たす、こういう点は新庁舎の基本的な立地条件として考慮すべきだと思うからです。
七間町では同時に、にぎわいのまちづくりに貢献をという地域住民や都市計画からの要請がセットになっています。当局から新庁舎の余剰部分を活用するという方針が出されましたけれど、余剰と言われると、可能な限り縮減しなきゃいかぬということになるんじゃないかと思います。七間町が最適だというなら、他都市の例も参考にして、水道庁舎を活用した水道事業の附帯事業、これをやっている都市もありますから、これは水道事業の経営に相当な因果関係を持って収益性を追求できるという事業ですけれど、こういうことをやっぱり考えるべきじゃないかと思いますが、検討しているかどうかについてお答えいただきたいと思います。
以上、1回目です。
◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) それでは、国保料の徴収猶予及び差し押さえの件数とその評価についてお答えをさせていただきます。
徴収猶予の申請及びこれに基づく猶予の実績は、まずございません。
次に、差し押さえの件数でございますが、平成20年度は不動産が16件、預貯金、生命保険を含みます債権が4件の計20件、21年度は、不動産が46件、債権11件の計57件、22年度は、不動産81件、債権28件の計109件となっております。この差し押さえの実績につきましては、法に即して実施をしているものでございまして、公平性の観点からも妥当であるというふうに考えております。
以上でございます。
◯上下水道局次長(佐野 勝君) 水道新庁舎で経営できる水道附帯事業に関する御質問にお答えいたします。
新庁舎建設に伴う水道附帯事業といたしましては、余剰スペースの活用や駐車場の賃貸等を想定しておりますが、今後、他都市における庁舎の利活用の例を参考にしながら検討していきたいと考えております。
以上でございます。
〔31番山本明久君登壇〕
◯31番(山本明久君) まず、国保料の徴収猶予と滞納処分についてです。
国保料の負担が所得の15%前後を占めるという実態というのは広く存在しています。年10回の納期の1期分が3万、4万という人たちが多いわけですけれど、これが今の景気の状況で、売り上げが、あるいは収入が大きく落ち込むという状況が出てくれば、本当にこの額は払えなくなると。今、市内の事業をやったり、商売をやっている方、とりわけ零細な方というのは本当に苦しんでいる、こういう声をたくさん聞きますから、ここを応援する政治が本当に今必要だというふうに思います。
夫婦で事業をやっているという方の実態を聞きますと、妻がパートでダブルワークをして、食費、生活費を最大限削っても国税、地方税、国保が払えず滞納がふえていくと。これは、税と国保料も延滞金税が14.6で、サラ金並みにかかってきますから、本当にもう滞納のスパイラルという状況から抜け出せないということで、本当に懸命に頑張っても払い切れない。その上に、売り上げ収入がさらに落ち込んでいけば、滞納の分納計画を当然当局と相談して立てるわけですけれど、これが本当にもう崩れてこざるを得ない。増大する。こういう市民が悪質とは言えないと思います。国保料が払えなくなったら、条例を使って徴収の猶予をまず市民は申請して、一定期間払うことを猶予してもらう、これは延長も可能です。延滞金の半額あるいは全額の免除ということも可能になってきます。
さらに言えば、これは税の場合ですけれど、新たな滞納処分というのもされない。そんな徴収猶予が、答弁によると、この間、申請も認可もゼロという事態は、これは何を意味するのか。一方では本当に払えない人が広がっていて、条例でしっかりそれを救う規定があるのに活用されていない。これは制度が知らされていないのか、当局が使おうとしないのかということだと思います。この点について、徴収猶予すべき場合に、それを行わないことは違法だ、これは憲法25条に反するという学者の指摘もあります。ですから、今後、市民の権利が行使できるように、市当局として、この制度の周知や活用を図ることが必要だと思いますが、どういうふうにするのか、答えていただきたいと思います。
先ほども言いましたように、一生懸命事業に努力しても滞納がふえていく、そんな場合でも、分納計画が実行されていかなければ、差し押さえるという誓約書が強要されるという実態があります。しかし、払えない個々の実情をしっかり把握して、どうすれば事業が継続できるのか、どうすれば払えるようになるのかということで、事業をつぶすんではなくて生かしていくという、こういう対応が今本当に必要だと思います。
差し押さえ財産については、債権、預貯金を含めた、債権と不動産で109件ということで22年度、これは全国的にも急増してきているわけです。これについて、国税庁のほうは、仕入れ代金、人件費、借入返済金など事業の継続に不可欠な資金は納税可能な資金には入らないという考えを示しています。これは個々でも当然準用すべきだと思います。
数字しか説明がありませんでしたけれど、預貯金や財産が本当に今言った差し押さえてはいけないという中身になっていないかどうかというのも精査する必要があるんじゃないかと思います。ですから、国保にも生存権的な財産や事業継続に不可欠な財産、店舗、運転資金ですね、こういうのは差し押さえないということを明確にうたう必要があるんじゃないかと思いますけれど、その点について考えを示しておいていただきたいと思います。
次に、水道新庁舎の建設についてです。
七間町の映画館跡地、この地区というのは、その昔は大衆演芸場などもあったそうで、今、ここがなくなるということで、オリオン座のモザイク壁画を記念撮影する市民が絶えないということになっているそうです。ですから、ここも残し、にぎわいと文化的な発信力のある活用というのが期待されていますけれど、映画館3館のうちの2館の跡地は民間デベロッパーが購入するということが言われていますので、それが本当に今、市の計画している方向や、市民が、地元が願っているような活用になるかどうかについては、市が都市計画の中身としてしっかりまちづくりの方向性を、こうした民間事業者にも地権者にもしっかり理解を得た上で、相互に連携して進めるということが大事じゃないかというふうに思います。
例えば、その水道庁舎をカルチャー施設だとか小ホールだとか、いろんなものに使えるような複合施設にするのか、あるいは2館を買う民間事業者がそういうのを担うのか、あるいは双方が担っていくのかなどについて、やっぱりしっかり市が連携してまちづくりを進めるという絵を描く必要があると思いますけれど、どのように連携するのかについて考えを聞かせておいていただきたいと思います。
以上、2回目です。
◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) 国保料に関します2点の御質問にお答えをいたします。
最初に、市民への徴収猶予の周知と活用ということでございますが、申し上げるまでもなく、国民健康保険制度は、基本的に被保険者に保険料を納めていただくことで成り立っている制度でございまして、そういった中で、災害など予期せぬ事態が生じた場合の救済措置が設けられております。その1つでございます徴収猶予は、市の国民健康保険条例の第29条に定めれておりまして、世帯主が特別な損害を受けたときの救済措置として、6カ月以内の徴収猶予をすることができることとなっております。
市の実際の対応といたしましては、納付困難な方に対しましては、国保の納付相談の際に数カ月間の納付の延期や分割納付相談で対応しているため、現在は特段の周知を行ってはおりませんが、今後、国保のしおりなどを通じて周知に努めてまいります。
次に、納付の誓約書の取り扱いと事業に不可欠な財産などの差し押さえをしていないかという御質問でございますが、納付の誓約書につきましては、債務者に納付すべき債務の額と納付計画を確認いただき、その履行を求めているもので、納付計画につきましては、納付義務者と協議の上、個々の生活状況を十分に把握し、納付可能なものとして提出をいただいております。
また、事業に影響のある資産や生活に欠くことのできない財産などにつきましては、国税徴収法で差し押さえが禁止されておりますので、差し押さえはしておりません。
以上でございます。
◯都市局長(杉浦 進君) 七間町への水道新庁舎建設についてでございます。
地元の関係者にとりましては、七間町への新庁舎建設については大変喜ばれ、まちづくりに大変貢献できるのではないかということで期待されているところでございますが、新庁舎の用地以外、オリオン座以外の2館跡地の新しい地権者に対しましては、市で設置を予定しておりますまちづくり方針を策定するための検討組織へ参加するように呼びかけ、地権者、地域の関係者、行政などが一緒になって七間町映画館跡地周辺地区のまちづくり方針を検討していきたいと考えております。
以上でございます。
〔31番山本明久君登壇〕
◯31番(山本明久君) 国保料の徴収猶予などについてです。
周知と活用については、一定取り組んでいくということなんですけれど、税の場合でも納税の猶予というのは、かなり国も地方自治体も申請させないという動きが全国的にあるんですね。なぜかというと、何とか取りたいということで、本当は申請する権利があるのに、それすら教えずに、提出があったときに、それを取り下げれば一定期間延ばしますよというような対応をやっている自治体もあるというふうに聞いています。
しかし、本当に努力しても払えないという人に対しては、これは放置すれば、それは行政の不作為になって、違法な状態になるわけですから、そこはきちんと行政には自覚していっていただきたいというふうに思います。
それで、本市の国保条例を徴収猶予で活用するとすれば、今、第29条、適用条件が非常に狭く限定されていて、猶予を受けたい人が使えないという問題があります。これは事業を休業するか廃止をした場合が猶予の対象になっているわけです。これじゃ事業を進めたいという人については適用されません。ですから、条例で営業不振あるいは経営環境の悪化というような経済的な理由も適用対象にするように検討できるかどうか。猶予されると滞納している人でも新たな滞納処分がされないという取り組みが恐らくされると思いますから、事業の継続に役立っていくと、こういう条例の見直しについて答えいただきたい。
同時に、払えなくなれば保険料の申請減免というのも同時にできるわけですが、申請減免も年間300件程度しか使われておりませんので、事業の休廃止に加えて、同様の見直しをすることもあわせてお答えいただきたい。
さらに、今は事業者について聞きましたけれど、本当に……
◯議長(石川久雄君) 発言はあと1分で終わりにしてください。
◯31番(山本明久君)(続) 所得の低い人、こういう人たちも徴収猶予あるいは申請減免の対象にするように条例改正をしていただきたいと思いますけれど、その考えを聞かせておいていただきたいというふうに思います。
苦しんでいる市民に対して徴収行政を緩和するというのは、市の債権管理条例でも、法令の定めるところによる処理ということに基本的には合致するというふうに思います。これは国税庁の通達で、納税猶予等の取扱要領、ここでは実情を十分調査し、納税者に有利な方向で納税の猶予等の活用を図るよう配意する。これを国保料の場合も実践すべきだというふうに思います。
払えない市民と払える市民を対比して不公平だというそういう議論じゃなくて、滞納解決のために、本当に福祉の心を持っていくということが必要だということを提起しておきます。
以上です。
◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) 営業不振や一定基準以下の低所得者世帯なども申請減免と徴収猶予の対象にしてはどうかというお尋ねでございますが、営業不振であるかどうかの判断が非常に難しいため、現在は減免の対象とはしておりませんが、納付が困難な方につきましては分割納付などの相談に応じているところでございます。
また、減免制度につきましては、短期的かつ急激な変化に対応した措置につきましては、引き続き検討していきたいと考えております。
以上でございます。