原発からの撤退と自然エネルギー普及について質問

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131◯4番(鈴木節子君) 通告に従い、質問します。

まず、原発からの撤退と自然エネルギー普及について質問します。

福島原発事故以来、国民の間には原発依存のエネルギー政策を切りかえ自然エネルギーに転換すべきという流れが大きく広がっています。先月の26日には、浜岡原発の地元浜岡で、永久停止、廃炉と原発に頼らないエネルギー政策への転換を求め、4,000人が集いました。今こそ抜本的な政策転換と、そのための国民的討論と合意形成が求められています。

今回の質問は、行政が率先して自然エネルギーの本格的導入を実践する姿勢を質問します。

まず、市長に伺います。

11月5日付朝日新聞で、県内35市町の首長に浜岡原発の今後のあり方を尋ねるアンケートでは、2人が無条件で永久停止を求め、14人が確実な安心・安全が将来にわたって担保されない限り永久停止と答えています。牧之原市長も「福島の事故の収束のめどがつかない中、現状では安全性の担保や市民の安心感を持つことは極めて困難」と答え、下田市長も「どんな対策をとっても完全な安全・安心は担保されない気がする。国は原発以外のエネルギー確保に全力投球すべきだ」と表明しています。

県内首長や県知事の原発再稼働に関する意思表明が続いていますが、田辺市長は、朝日新聞には「安全・安心に絶対はない。私の立場は、このまま再稼働せず永久停止にすべきだという立場に近いが、国の議論を見つつ、中電の真剣な安全対策を見きわめたい」と国や中電待ちの姿勢です。浜岡原発周辺自治体の首長の意思表明について市長はどのように受けとめているのかを、まず伺います。

2点目に、先日の静岡女性の会連絡会に市長もおいでになりましたが、参加者から脱原発宣言を明確にすべきと迫られる場面もあり、市民意識は原発からの撤退が主流になりつつあります。浜岡原発から50キロ圏内にある自治体の首長として、国の政策待ち、中電の安全対策待ちでなく、主体的な意思として、原発依存からの脱却についての意思表明をお聞きします。

次に、国民健康保険について質問します。

本市の国保料は、政令市移行から毎年値上げを繰り返し、賦課限度額は61万円から77万円に、収納率は平成20年より9割を下回り続け、滞納世帯は今では4世帯に1世帯へと広がっています。滞納額は56億円、その他の税金や介護保険料など、公共料金すべての滞納総額のうち3分の1を国保が占めています。毎年の値上げが暮らしを脅かし、収納率低下、国保財政悪化、滞納制裁、また値上げと、悪循環から抜け出せなくなっています。こうした国保の危機的状況は全国の市町村国保に共通し、一刻も放置できない非常事態です。

こうした背景には幾つかの要因があります。

1つは、国が1984年から国庫負担を削減し、本市の国保財政に占める割合は48%から22%に大きく削減されました。皆さんにお配りした資料1)をごらんください。国庫負担削減と反比例で、保険料がウナギ登りで急上昇していることがおわかりだと思います。

2つには、これらの後退が国保加入者の貧困化と一体に進んだことです。資料2)のように、国保世帯の所得は300万円以下が8割を占めていますが、景気の悪化により失業や非正規労働者が大量に国保に加入し、自営業者も倒産、休廃業が続出しています。財政悪化と国保料値上げの悪循環に歯どめがかからない状況に陥っています。

こうした状況下、本市の国保運営協議会に提出された数字は、本年度の財政見通しを8億5,000万円の赤字、来年度は不足分33億円を保険料で穴埋めするため調定額47億円を上乗せをする、巨額な負担増というものです。市民からは、今以上の値上げでは到底払えない、暮らせないという不安、怒りが頂点に達し、煮えたぎっています。保険者の姿勢として、保険料値上げは断じて避ける。そして、保険料引き下げに向かう政治的決断が求められています。

質問の1点目は、国保財政悪化の原因をどのように分析するのか、見解を伺います。

2点目に、国保加入世帯の所得に占める保険料の割合について、他の医療保険の協会健保は所得の4.0%、健保組合3.1%に対し、国保は全額加入者負担のため、重い負担が暮らしを苦しめています。資料3)は、所得250万、3人世帯の場合、14%もの負担を示していますが、加入世帯平均で所得に占める保険料はどの程度か、本市の過去からの推移と実態に対する当局の見解を求めます。

以上、1回目です。

 

 

◯市長(田辺信宏君) 原発からの撤退と自然エネルギー普及についてお答えをいたします。

牧之原市長は、私が県議会議員時代、常に同じ会派で行動をともにしてきました。また、大学教員時代も、時々の政策イシューについて議論を交わし、親交を続けてまいりました。その点で、浜岡原発永久停止に言及した牧之原市長等の意見表明については、福島第一原発の事故と周囲への影響、住民の安全に関する懸念を抱いているということなどを考えれば、十分に理解できることであります。

また、使用済み核燃料処理と浜岡原発再稼働に関する知事の発言についても、原子力発電所が抱える1つの課題を浮き彫りにしたものとして、適切なものであると考えています。

脱原発の意思表示という点について、脱原発を進めるためには、電力需要と代替エネルギーの確保の問題、立地自治体や隣接自治体における雇用や経済への影響が懸念されるなど、総合的に解決すべきさまざまな課題もあります。しかし、前議会でも言及しましたとおり、20世紀が科学技術の発達の時代とすると、21世紀、今回のことを通して、私たち人間は、科学技術に対する信奉ということを、いま一度、十分に、謙虚に振り返ってみなければならないというふうに思っています。

原発事故の発生が100%ないと言い切れない現実を見た以上、中長期的には原子力発電からそれにかわるエネルギーの確保、さらにはライフスタイルの転換が必要であるということは明らかであり、脱原発に向けた諸課題の解決のために、我が国全体が英知を結集していくべき時期だと考えています。

以上です。

以下は局長に答弁させます。

 

 

◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) それでは、国民健康保険に関します2点の御質問にお答えをいたします。

最初に、国保財政悪化の原因についてでございますが、我が国の公的医療保険制度は、設立の経緯などによりまして複数の保険制度がありますが、御承知のとおり、すべての国民がいずれかの制度に加入をする、いわゆる国民皆保険制度をとっております。会社員などの被用者保険の加入者も退職後は市町村国保に加入をするため、市町村国保は必然的に高齢者を多く含むことになります。国民健康保険は、他の医療保険と比べ、高齢化の急速な進展に伴う医療費の増加の影響や低所得者の加入割合が高いことなどから、その財政基盤は極めて脆弱でありまして、国民健康保険制度の構造的な問題となっております。

このような状況の中、多くの保険者は、一般会計からの多額の繰り入れや保険料の引き上げを行うなど、事業の健全な運営に向けて懸命に取り組んでおります。このほか、昨今の厳しい経済情勢もあり、保険料収入の伸び悩みと収納率の低下及び医療費の増加は、市町村及び国民健康保険事業の財政をさらに圧迫しています。国におきましては、制度の改正を順次実施してきておりますが、いまだ制度が抱える問題の解決には至らず、事業の運営は一段と厳しい状況となっております。

次に、所得に占める保険料の割合は、平成17年度は11.05%でしたが、ここ3年間の推移を申し上げますと、平成21年度は11.65%、22年度は12.54%、23年度は13.01%と、徐々に上昇傾向にございます。この背景には、国保制度が抱えます構造的な問題に加えまして、近年の経済状況の悪化による所得の減少、医療の高度化による医療費の増大などの影響があるものと考えております。

以上でございます。

〔4番鈴木節子君登壇〕

 

 

◯4番(鈴木節子君) ただいま、市長からは、原発については脱原発というお言葉ではっきりと表明をいただきまして、先日の女性連絡会の中でもそういうお言葉がありましたが、その後に続いた言葉で、会場からは納得できないという意見がありましたが、この場で改めて表明をいただきましたので、また、女性の会の皆さんにも報告できると思います。

では、2回目です。

原発から撤退するために、再生可能な自然エネルギーの本格的導入、低エネルギー社会に向けた取り組みは、同時並行で早める必要があります。日本の自然エネルギーは、太陽光、中小水力、地熱、風力だけでも、環境省によりますと20億キロワット以上と推定され、日本にある設備の電力供給能力の約10倍、原発54基の発電能力の約40倍に当たると推定されています。

本市は、地球温暖化対策実行計画、緑の分権改革推進事業など、取り組みを行ってはおりますが、原発が稼働している前提でのストップ温暖化、省エネという側面からの性質もあります。しかし、3.11以降、原発の安全神話は崩れました。原発からの撤退と自然エネルギーの飛躍的普及に向け、大きくかじを切りかえるときです。

福島県知事が県内すべての原発を廃炉にすると宣言しましたが、このように、原発依存から脱却し、自然エネルギーへの転換を正面に据えて政策転換することが求められています。原発から脱却し、必要な電力をどうやって確保するのか、自然エネルギーの本格的導入推進、低エネルギー社会に向けた姿勢やプロセス、方針はどのようなものか伺います。

次に、国保について、保険料の負担軽減策について質問します。

来年度の値上げ案は、所得割、均等割、平等割、すべての料率改定により、どの所得階層も、1人世帯であっても値上げというものです。値上げ案は、1人当たり平均で3万6,359円の値上げ、1世帯では4万6,430円の値上げと、3割もの負担増となる驚愕の数字です。現実的な数字とは言いがたいものです。このような数字をはじき出す前に、市民の困窮した暮らしに対し、負担軽減の工夫、配慮をまず優先して検討する必要が欠けています。

例えば、均等割は1人当たりの保険料で、赤ちゃんでも年間5万9,000円もの負担となっています。生まれたばかりの子供にまで均等割を課すのはいかがなものか、検討が必要です。子育て世帯にとって、せめて均等割の減免措置を行う、その費用は市の負担となりますが、出生率上昇、また、子育て応援として、今後に十分生かされる施策として提案します。お考えを伺います。

2点目に、保険料の減免制度について。

本市は、対象となる要件が大変厳しく制限され、平成22年の実績はたったの305件、1,300万円と、他都市からはけた違いに大きくかけ離れています。要件を、今年度は所得500万以下から1,000万以下と拡大しましたが、保険料を払ったら生活保護基準以下になる低所得層や子育て世帯、高齢世帯なども減免の必要があります。

名古屋市は、市民税非課税、高齢者など、きめ細かく減免規定を設けています。市民の暮らしに寄り添った施策が行われておりますが、本市も要件を緩和し、制度拡充の必要性について、見解と、その拡充に向けた検討内容を伺います。

以上、2回目です。

 

 

◯経営管理局長(小長谷重之君) 本市のエネルギー政策に対する考え方、方針についてお答えをさせていただきます。

これまで、エネルギー政策はすべて国が決めるものという固定化した意識がありましたが、東京電力福島第一原子力発電所の事故と、その後生じた大規模な電力不足を経験して以来、地方自治体も、エネルギーの地産地消、効率的使用と環境負荷低減への転換を柱とする、地域のエネルギー政策を進めていくべきという声が高まっております。

今後は、エネルギーの地産地消、環境負荷の低減、安定的な電力の確保の観点から、太陽光発電や水力など、再生可能エネルギーの利用促進を行うとともに、1つのエネルギーに頼らないエネルギー源の多元化、ベストミックスを推進していく必要があると考えております。

以上であります。

 

 

◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) それでは、国保料の減免措置に関してお答えをさせていただきます。

国保料の減免につきましては、個別具体的な負担能力の判断が必要であることから、それぞれの相談に応じておりますが、子育て世帯の負担軽減のみを事由とした減免措置は考えておりません。

国民健康保険は、被保険者の相互扶助で成り立つ制度でありまして、その際、財源となります保険料の収納確保は、制度維持の上でも極めて重要であると考えております。このようなことから、低所得者世帯への減免制度につきましても、被保険者間の負担の公平性の確保という観点から、慎重な議論が必要であるというふうに考えております。

以上です。

〔4番鈴木節子君登壇〕

 

 

◯4番(鈴木節子君) では、3回目の質問です。

先に原発からの撤退についてですが、自然エネルギー導入について、今お答えいただきました。

本市は、太陽光発電34施設、太陽熱利用が3施設、風力発電1施設、中小規模水力発電3施設など、合計では46の自然エネルギー設備があります。本市の地形は、温暖で日照時間も比較的多く、一定規模の河川があり、傾斜地と安定した水量と豊かな自然に恵まれ、太陽光や中小水力発電など、自然エネルギー活用には適した地域と言えます。自然エネルギーの積極的な活用に向け、太陽光発電、中小水力発電の優位性と解決すべき課題は何かを伺います。

質問の2点目に、太陽光発電設備は、現在では小中学校や図書館など34施設に設置されていますが、公共施設に率先して導入促進することにより、市民に自然エネルギー活用をさらにアピールできます。自然エネルギー導入を飛躍的に進め、市民にも意識づけするためにも、公共施設への設置普及など、その推進策、具体策を伺います。

次に、国保についてです。

今、局長から、国保は相互扶助だと、負担の公平性だという答弁がありましたが、現在の国保法には「相互扶助」という言葉は一言ものっておりません。「社会保障」という言葉が位置づけされておりますので、認識を改めていただきたいと思いますが、来年度の国保財政は、減収により、ますます生活困窮世帯の増加が予想されます。国保の危機的状況が進むもと、収入の不足分を保険料で補うという発想は、そもそも間違いです。国、県、市の財政支援があって、初めて成り立つ医療保険制度であることを再認識すべきです。

国保は社会保障制度としての位置づけを明確にした上で、一般会計からの繰り入れを思い切って増額をし、投入するという決断が必要です。これこそ、市長の政治的決断が求められております。資料4)にあるように、本市の一般会計からの繰り入れは、政令市平均の半分以下、下から4番目です。市は、財政が厳しい、民生費が支出のトップを占めると言いますが、市民1人当たりの民生費は政令市中下から2番目、京都市と比較すると8万円も低い、少ない額です。

国保料の負担軽減のため、一般会計からの財政支援増額の必要性、これについては認識はあるとは思いますが、その増額に向けたどういう努力をするのか、どういう折衝をするのか、その方針について伺いたいと思いますが、今求められているのは、国保料が高いという市民の悲鳴、その願いに寄り添って、財政のどこに軸足を置くのかという、その決断が迫られているときですので、しっかりとしたその立場でのお答えを伺いまして、質問を終了いたします。

 

 

◯環境局長(杉山浩敏君) 自然エネルギーに関します2点の御質問にお答えをいたします。

まずは、太陽光発電や小水力発電などの自然エネルギーの積極的な推進を図る必要があるけれども、それぞれのエネルギーの持つ優位性と課題はどうかという御質問でございます。

昨年度実施いたしました緑の分権改革推進事業調査の結果、市域の自然エネルギーの利用可能量のうち、太陽光発電が全体の43%と最も高いことがわかりました。課題といたしましては、天候に左右されやすく、夜間に発電できないことから、安定的に電力を活用するためには蓄電池が必要となりますが、コストが高いといったことがございます。しかし、最もポテンシャルが高く、市民アンケートの結果からも導入意向が強いことから、今後も太陽光発電の普及を図ってまいります。

また、小水力発電につきましては、利用可能量が1%未満だったものの、急峻な地形で、かつ一定規模以上の河川がある地域が多く存在するという優位性がありますが、発電施設とエネルギー消費地との距離、水利権の調整などの課題がございます。

いずれにいたしましても、今後さまざまなエネルギーによる地域分散型の電源を構築するとともに、エネルギーの自給率を高めることが自治体の役割として考えられます。したがいまして、設置した地域で自給自足できる再生可能エネルギーのメリットを生かすとともに、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法、いわゆる再生可能エネルギー買取法の施行を契機といたしまして、太陽光発電、風力、バイオマスなどのエネルギーの地産地消を促進してまいりたいというふうに考えております。

次に、太陽光発電設備の導入促進に関しまして、市民にアピールすべきだと考えるがどうかということでございます。

緑の分権改革の調査結果を踏まえまして、日射量が豊富な本市におきましては、太陽光発電はすぐれた自然エネルギーでありまして、この導入促進のため、環境大学、出前講座、ストップ温暖化!100万人参加プロジェクトなど、あらゆる機会をとらえ、積極的な普及啓発に努めているところであります。また、太陽光発電のランドマークといたしまして、中部電力株式会社に三保地区へのメガソーラーの誘致を行い、平成26年度には稼働するということになりました。

さらに、住宅用太陽光発電の導入を促進するために初期費用の軽減を図ることが必要であり、補助制度を設けているところであります。今年度の補助件数は1,200件に拡大させていただいたところであります。今後は、再生可能エネルギー買取法が制定されることによりまして事業者が発電した電力を全量買い取りすることで、急速な太陽光発電設備の普及が期待されることから、本市としましても、導入しやすい環境整備を検討してまいりたいというふうに考えております。

以上でございます。

 

 

◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) 国保会計への財政支援についてお答えをさせていただきます。

国民健康保険には保険料に対する事業主負担がないことなどから、他の保険と比べまして所得に対する保険料負担率は高くなっております。しかしながら、市が国民健康保険に財政支援を行う場合には、税の公平性の観点から、他の保険者との均衡にも十分配慮する必要があります。

このようなことを踏まえまして、本市では、国保会計への財政補てんとして、これまで毎年10億円前後の繰り入れを実施してまいりました。繰り入れの額につきましては、都市によって加入者の年齢構成や所得などの状況が異なるため一概に比較はできませんが、昨今の経済情勢の悪化により、限られた財源の中で一般会計からの繰り入れを大幅に増加させることは、どこの都市も厳しい状況にあるというふうに思われます。今後、長期見通しを立てた上で、適正な保険料となるように検討をしてまいります。

以上でございます。