生活保護の問題とバス路線の問題について質問

カテゴリー:

135◯3番(寺尾 昭君) 私は、きのうも討論が行われましたけれども、きょうは生活保護の問題とバス路線の問題について総括質問をいたします。

生活保護の受給者数は、きのうもありましたように、205万人、148万世帯を超えるということになったわけです。これは、現行の制度が始まって以来、最多ということになっております。財政支出も3兆4,000億円を超えるということであります。人口比による保護率は、1.6%だそうです。日本の相対的貧困率が16%ということが言われております。その点から見ると、1.6%というのは、いわゆる捕捉率という点では、そのうちのまだ1割と、こういう状況になっております。憲法等を厳密に適用すれば、理論的には生活保護はこの10倍になるわけです。

今後、受給者が減ることは考えられないと、こういう状況も常識になっているわけです。諸外国の例などを見ますと、ドイツ、フランス、イギリスなど、他の先進国の捕捉率は日本の数倍ということになっているという報道がされております。日本の生活保護行政のあり方そのものも問われるということになるわけです。

そこで、自立・自治へ向けての、とりわけケースワーカーの役割ということが大きいわけでありますが、質問の第1は、この生活保護における受給者、受給世帯の現状、とりわけ、各区ごとのケースワーカーの職員数、そして、担当のケース数、こういうものがどうなっているのか、お伺いします。

2番目は、このように受給者がふえ続けるという状況になっておりますけれども、その原因をどう考えておられるのかということであります。

次に、市民の足を確保するために、市内のバス路線について伺います。

次世代型の交通の華といいますLRTの可能性調査ということも進められているわけでありますが、現在、副市長を初め、静鉄の専務、あるいは商工会議所の会頭など、有識者による検討が行われております。先日、新都市拠点整備及び公共交通対策調査特別委員会における報告では、費用負担など、実施に向けての課題が多く、早期実現はそんなに簡単ではないという印象を持ったわけであります。

平成14年2月に道路運送法の改正ということがありまして、規制緩和の動きの中で、バス路線の廃止ということも、いわば原則自由化されるというような状況になっておりまして、それにより、全国で、いわゆる不採算路線というようなところの廃止が進んできている。山間地など、本市においても、住民の足が制限されるというような状況が生まれております。

そこで、静岡市の場合どのようになっているのか、平成14年2月の道路運送法の改正から今日までのバス路線数の推移、あるいは、バス路線の現状、これがどのようになっているのか、お聞きします。

次に、駿河区役所アクセスバスは、現在試験運行ということで継続されております。区役所への足の確保という点で、これまで、駅、あるいはセノバといいますかね、今度はセンター中心の放射状の路線でなくて、駿河区を横断する路線ということで、これは注目をされたというふうに言っていいと思いますし、評価をするものであります。

そこで、この路線の利用状況、現在はどのようになっているのか、伺います。

1回目であります。

 

 

◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) それでは、生活保護に関します2点の御質問にお答えをいたします。

最初に、各区におきますケースワーカーの職員数と担当ケース数についてでございますが、各区の生活保護担当職員の人数は、平成20年度末から平成22年度末までの間に、葵区におきましては18人から20人に、駿河区では12人から15人に、清水区が9人から12人、合計で39人から47人に増員をしております。また、1人当たりのケースワーカーが担当する世帯数でございますが、葵区では102世帯から112世帯へ、駿河区では121世帯から130世帯へ、また、清水区では122世帯から124世帯へと推移をしております。なお、現在の職員数でございますが、葵区は22人、駿河区が20人、清水区15人の合計57人でございまして、また、本年8月末時点での担当世帯数は、葵区が101世帯、駿河区と清水区はそれぞれ103世帯となっております。

次に、受給者がふえている原因についてでございます。

本市の生活保護受給者も平成20年秋以降急増しておりまして、とりわけ、高齢や障害、傷病などの就労阻害要因を持たない世帯の増加率が著しく高いことから、全国の動向と同様、いわゆるリーマンショック後の景気低迷による雇用情勢悪化が主な原因と考えております。特に、非正規雇用の増加によりまして、雇用保険を受給できない方や給付が終了しても就労先が見つからない方が生活に困窮した結果、最終的に生活保護を申請をしています。

このほかにも、高齢化の進展、精神疾患などによる失職者の増加、生活保護制度の制度自体の認知度の向上などによりまして、生活保護を受給する方がふえる一方で、就労や増収などにより生活保護が不要となる方、こういった方がふえないことから、しばらくの間は現在の状況が続くものと考えております。

以上でございます。

 

 

◯都市局長(杉浦 進君) 市内バス路線についての2つの質問につきましてお答えいたします。

まず、平成14年の道路運送法改正から今日までのバス路線数の推移とバス路線の現状はどのようかということでございますが、本市における路線バスは3事業者により運行されており、路線数の推移といたしましては、平成14年度末、合計で54路線あったものが、22年度末には47路線となっております。これは、それぞれのバス事業者が行政との協議の中で、効率的な運行を図るため、路線の統合や廃止など、利用実態に合った路線の再編を行ったものであります。

バス路線の現状でございますが、市民の足となる生活交通を確保するため、バス事業者の不採算路線に対して補助金を交付するほか、廃止代替路線として自主運行バスを運行するなど、バス事業者と協力して路線の維持に努めております。

また、中山間地域における交通弱者の交通手段の確保として、則沢地区の需要に応じて運行するデマンドバスの運行や清沢地区のNPO法人による過疎地有償運送が実施されております。

さらに、高齢者や子供など交通弱者の方が利用しやすいバス環境の整備を図るため、バス事業者へ超低床ノンステップバスの導入に対する支援も行っております。

次に、駿河区役所バス試験運行のこれまでの利用状況はどのようかということでございます。

駿河区役所バス試験運行の利用状況につきましては、運行を開始した平成19年11月から20年10月までの利用者数は、1便当たり平均4.9人、運行時間の延長と増便を行いました20年11月から22年3月までの利用者数は、1便当たり平均6.1人、運行ルートを一部変更した22年4月から23年3月までの利用者数は、1便当たり平均6.8人となっております。利用者数は、わずかではありますが、増加傾向にあります。

以上でございます。

〔3番寺尾 昭登壇〕

 

 

◯3番(寺尾 昭君) 2回目です。

生活困難者への対策をどう進めていったらよいか、これが生活保護の課題であります。生活保護は最後のセーフティーネットと言われるものでありますけれども、問題は、これに至る前の過程、この制度を整備するということが求められるわけであります。

受給者がふえ続ける原因についての回答が今ありましたけれども、高齢化社会が進んでいる現状の中で、年金制度が改悪される。今も、また年金が下げられるというような話が出ておりますけれども、また、この格差社会の広がり、貧困の拡大、雇用情勢の改善が見られない、こういうことが、受給者の増大、これが避けられない原因になっているというふうに言えると思います。こういう問題を基本的に解決をしない限り、いわゆる生活困難者の対策は進まないというふうに言わざるを得ないわけであります。

そこで、この生活困難者への対策をどう進めていったらいいのか、この点について伺うわけであります。特に、雇用、年金、医療、こういうところとのかかわり、これが特にどのように進めていったらよいか、こういう問題であります。自立に向けた受給者への指導、援助、現状の問題点などとあわせてお答えをいただきたいと思います。

先ほど、各区におけるケースワーカーの職員数と担当ケース数についての担当世帯といいましょうか、回答がありました。基準とするのは、ワーカー1人について80件という基準があるわけでありますけれども、これは明らかに超えているというふうに言っていいんではないかと思います。保護申請に見えた方に調査をして、保護に該当するかどうかを決定したら、これで一件落着というわけではもちろんないわけであります。受給者を保護の状態から自立に向けて、言ってみれば、ワーカーの仕事はここから始まるといってもいいわけであります。

最近、窓口の対応や職員の対応等々が、指導が改善されたというような声を聞くということもあります。その努力は評価をするわけでありますが、また、一部には、心ない言動に対しての不信の声も聞くこともあるわけです。せっかくの評価が無にならないように、指導体制についての努力を一層要望するものであります。

11月22日付で、生活保護ケースワーカー業務に従事する任期つき短時間勤務職員の採用についてということで、私たちのところにも文書が配布されました。採用人員は10人程度、任用は来年4月から3年間、勤務時間は8時半から午後3時半まで、1日6時間という、いわゆる短時間勤務ということになっております。

本年8月現在の保護の世帯数は、先ほどもありましたとおりです。ケースワーカーは現在57人ということで、先ほどもお話がありましたけれども、10人採用すると、単純に67人ということになるわけです。そういうふうになった場合であっても、この基準の80人というところには、やはり及ばないということになるんではないかと。私の計算ではそういうふうになります。

せっかく採用するというならば、正規職員ということで採用できないかと、私は率直に思います。短期の時間が制限された方にではなくて、しっかりと、8時間勤務の正規職員ということで採用できないかというふうに思うわけです。ますます雇用情勢も厳しさを増しているという状況もあります。3年間採用したら、そこで生活保護が減るということも、現状ではちょっと考えられないわけです。

定員管理計画というふうなこともあって、なかなか増員できないというようなこともあるのかもしれませんけれども、やはり、ケースワーカーという仕事柄、時間にどうしても制約をされるということになりますと、十分な対応ができないということも考えられます。そこで、任期つき短時間勤務職員の採用、この考え方についても明確にしていただきたいというふうに思います。

以上、2回目です。

 

 

◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) 生活保護行政につきまして、2点の御質問にお答えをさせていただきます。

最初に、生活困難者の支援と各関係機関のかかわりということでございますが、生活困難者に対する支援は、さまざまな機関、事務所と連携して行う機会が多くありますが、とりわけ生活保護に関しましては、年金事務所、医療機関、ハローワークとの連携が不可欠と言えます。

年金事務所に対しましては、生活保護受給者の年金開始の可能性照会やその後の遡及請求に際しまして情報提供を依頼をしております。

また、医療機関からは、傷病を理由とした保護申請の審査、生活保護者の就労支援の可否や療養指導の要否の判断、また、障害者手帳の取得や自立支援医療適用の可否の判断のほか、具体的な援助におきまして、医学的判断が必要な都度、文書または直接の面談により意見をいただいております。

また、ハローワークにつきましては、住宅手当制度のように、生活保護以外の支援でも求職申し込みの確認照会を行いますが、とりわけ、生活保護受給者の就労支援につきましては、福祉からの就労支援事業のほか、いずれの支援策でも密接な連携が不可欠でございまして、厳しい雇用情勢ではございますが、今後とも福祉事務所のケースワーカー、就労支援員と連携して、支援に当たっていきたいと考えております。

続きまして、任期つき短時間勤務職員の採用についての考え方でございます。

生活保護という業務は、保護を必要とする方を適正に保護をするとともに、保護を受ける方の自立に向けたさまざまな支援も行うものでございます。昨今は、失業などによりまして生活保護を受けることとなった方の増加が著しく、福祉事務所としましては、就労等の自立に向けた支援を手厚く行う必要があることから、このたび、任期つき短時間勤務職員を採用し、これら職員を有効に活用することで、自立に向けた支援を行っていきたいと考えております。

なお、来年度、採用後の状況を検証の上、その後の採用などについては検討していく予定でございます。

以上でございます。

〔3番寺尾 昭登壇〕

 

 

◯3番(寺尾 昭君) 今、局長から、来年度の採用の状況を見てと、こういうお話がありましたから、先ほど私が申し上げた方向で、ぜひ検討をしていただきたいというふうに思います。

それでは、3回目は意見を申し上げますけれども、市民の足を確保するためのバス路線ということについて申し上げたいと思います。

LRTの検討は、先ほど申し上げましたとおり、まだ始まったばかりということであります。計画コースは、実際上は、まだ今バスが走っている、そのコースということにも当たるわけです。そういう意味では、まず、バス路線をいかに活用するか、これを当面は最大限に検討する必要があるというふうに私は思います。

バス路線への補助が行われている施策に対する静岡版事業仕分けがありました。廃止という結論にはならなかったけれども、改善を求めるという意見がすべてのバス路線について意見として出されたということであります。南アルプスを世界自然遺産にというような話も今出ております。井川線というところも、今は自主運行バスになっております。今後、交通問題も大きな指標になるのではないかというふうに思います。

駿河区役所アクセスバスについては、アンケートの結果もいただいたわけでありますけれども、駿河区役所アクセスというものの、駿河区役所へ用事で来る方ばかりの利用ではない。これは当然のことでありますけれども、そういう意味では、利用者のニーズにこたえる、こういう方向への転換ということもアクセスバスの今後の検討課題だというふうに思います。

憲法第25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」、また、そのために社会福祉や社会保障の増進に国は努めるべきだというふうに規定しております。

生活保護法第1条を見てみますと、憲法第25条の理念に基づいて、生活に困窮するすべての国民に必要な保護を行い、最低限度の生活を保障すること、自立を助長することを目的とするんだということで、規定をしております。この理念に基づいて生活保護行政が進められるということが望まれるわけであります。

私たちのところにも、多くの生活保護の方が見えられます。働くことを怠けて、金だけをもらって楽をして過ごしたいという、そういう方はほとんどおりません。私たちが接しているのは、できたら生活保護は受けたくない、働いて自分の生活費は賄いたい、こういうまじめに考えている方々ばかりであります。非正規労働や病気やけが、高齢などにより、働きたくても働く場所がない、こういうケースがほとんどであります。

生活保護費の4分の1を結局市が負担をしているという状況があります。当然これも全額国の負担ということで、市長も参加をしておられる政令市長会でも主張をされておりますけれども、ぜひ、このことも強く、引き続き要望をしておきたいというふうに思います。高齢者には最低年金制度、働く意欲のある人には正規で雇用、そして、派遣労働の原則禁止、生活できる水準の賃金制を確立、こういうこともあわせてお願いして、私の質問といたします。