◯4番(鈴木節子君) 私は、日本共産党市議会議員団を代表し、市長の施政方針について質問していきます。
来年度予算は、田辺市長就任後、初の予算編成となり、いかに暮らしを守り、安心・安全を保障するのか、その基本姿勢が問われています。私ども党議員団は、暮らしや地域経済が閉塞感にとらわれた中、基礎自治体がいかにして住民の暮らしを守る防波堤としての役割を果たすのか、打開策を提案しながらただしていきます。
1回目は、第1の柱、市長の市政運営の基本方針について質問します。
まず、第1の項目、暮らしを守る基礎自治体の役割の観点から、国政にどう向き合うかを質問します。
今、地方政治は、国による市場原理主義のもとで、民営化や財政締めつけが進められ、住民福祉の切り下げ、地方財政の悪化、地域経済と地域社会の疲弊が加速しています。国が住民の暮らしを脅かす仕打ちをしたら、それに立ちはだかり、住民の命、暮らし、福祉を守る防波堤としての役割を果たす、これが基礎自治体本来の仕事です。本市が国に追随するのか、それとも福祉と暮らしを守る原点を貫くのか、基本姿勢について5点伺っていきます。
1点目に、社会保障と税の一体改革について。
政府の目的は、社会保障費に対する国の負担を軽減するため、国民には負担増と社会保障の給付削減を求める、増税と切り捨ての一体改悪がその正体です。老齢年金、障害年金の給付削減、年金の支給年齢先延ばし、医療費の窓口負担をふやす、子育て新システム導入など、社会保障のあらゆる分野で、高齢者、現役世帯、子供にまで負担増と給付削減という連続改悪です。暮らしを守るべき基礎自治体として、どう受けとめ、どう国に要請していくのか、姿勢を伺います。
2点目に、消費税増税について。
消費税増税は、無駄遣いを続けたままの社会保障切り捨てと一体であり、日本経済をどん底に突き落とすものです。以前、1997年に3%から5%に増税したときも、ようやく上向いた日本経済をどん底に突き落とし、税収が落ち込み、国と地方の借金は4年間で200兆円も膨らんだことからも明らかです。
今、日本経済の長期低迷、雇用破壊、働く貧困層の増大、中小企業の経営難など、地域経済が深刻な疲弊にあるさなかの大増税です。国民の暮らしにはかり知れない打撃を与え、財政破綻も一層ひどくする消費税増税には断固反対を貫くべきですが、どのように受けとめているのか伺います。
3点目に、原発の再稼動を許さず、原発からの撤退と自然エネルギーの本格的導入について。
昨年の福島第一原発事故から約1年が経過しました。全国54基の原発のうち、運転中は2基となり、4月にはすべて運転停止となります。
原発事故の原因究明さえ進まず、原発技術は未完成で、安全な原発などあり得ないことが明白となり、放射能汚染対策も責任ある具体策が示されないままです。原発の再稼動を許さず、原発からの撤退について、これまで市長は、原発にかわるエネルギーの確保や脱原発に向けた諸課題の確保が重要と、態度を明言してはきませんでしたが、国が再稼動に執着したら市民を放射能から守ることはできません。地方から主体的に原発からの撤退を表明すべきです。その見解を伺います。
また、自然エネルギーの本格的導入とは、原発に依存しないでもやっていけるエネルギーと経済の仕組みづくりです。地域の農林漁業や中小商工業と結びつけて仕事を起こし、雇用拡大につなげ、原発に頼らなくても地域経済を活性化させる方向を目指すことが求められています。
施政方針の地域エネルギー政策について、都市経営の観点から調査・検討に取り組むとはどういうことか。自然エネルギーを爆発的に普及させる方針について、基本姿勢を伺います。
4点目に、TPP参加についてです。
政府はTPPへの参加を表明していますが、農産物輸入自由化などにとどまらず、非関税障壁の撤廃の名のもとに、食の安全、医療、金融、保険、官公需・公共事業の発注、労働制度など、国民生活のあらゆる分野での規制緩和をねらい、国のありようが根本から問われている問題です。農協中央会、日本医師会、農林漁業団体など、幅広い団体が反対を表明し、自治体からの反対決議は44道府県、意見書は1,425議会から上がっています。TPP参加表明に対し、市長の受けとめと対応を伺います。
5点目に、地域主権改革について。
政府が進めようとしている地域主権改革が、住民福祉、暮らし、地方自治に何をもたらすのかという問題です。地域主権改革の中身は、1つは、住民の暮らしと福祉のための自治体独自の仕事を切り捨て、社会保障や教育など、国が定めた最低基準さえ取り払い、自治体の機能と役割の弱体化です。2つ目は、官から民へのかけ声のもと、保育園、学校給食などの民営化や民間委託など、国と地方自治体の公的責任、公共サービスの投げ捨てです。3つ目は、道州制の導入など自治体の大規模化です。
住民の福祉を守る基礎自治体の原点を壊そうという本質を持つ地域主権改革について、受けとめと対応を伺います。
続いて、第2の項目、行財政運営についての基本姿勢で質問します。
まず、市長の施政方針についての感想です。
社会の成熟化と言いますが、現実は不安定雇用の広がり、所得減、貧困と格差が拡大し、生活保護被保護世帯が急増するなど、市民生活は悲鳴を上げています。こうした現実に対する分析も打開策も思いやる言葉も残念ながら見受けられません。静岡市を世界に輝く都市にしたいと、前小嶋市政を継承し、地域主権改革を進め、特別自治市を目指すことは、国の責任・責務を後退させ、住民の安全確保を自治体に肩がわりさせる責任転嫁論に乗じるものです。
また、新しい公共経営の実践とは、民間の経営手法の取り入れで、本来、行政が担うべき役割の放棄を合理化するものです。
来年度予算編成のうち、子ども医療費助成や学校司書配置の拡充など、市民要望を前向きに取り入れたことは高く評価しています。しかし、国保料の3割もの負担増は、懸命に暮らしている市民に冷や水を浴びせ、敬老祝い金の80歳、90歳の支給廃止は、長寿をたたえ、ねぎらうことを切り捨てる仕打ちです。まちみがきで財源をつくる成果がこれでしょうか、余りにお年寄りにひどい仕打ちです。
来年度予算について、党議員団が独自に政令市より入手した資料により比較分析しました。民生費は土木費を抜いて29%と伸びていますが、市民1人当たりで比較をしますと、本市は11万2,000円、政令市中下から2番目です。平均16万8,000円の67%にすぎません。一方、土木費19.5%は高いほうから2番目、災害復興のため最も高い仙台市より2.3ポイント低いだけです。1人当たり土木費7万5,000円は、上から仙台、広島に次いで3番目に高い額です。
では、5点質問します。
1点目に、暮らし、福祉最優先の市政について。
閉塞感にとらわれた市民生活を応援し、福祉最優先の市政を貫くことが求められています。市長もマニフェストでは、こうした文言を大いに掲げておられましたが、来年度の予算を見ますと国保料3割負担増というものもあります。どのような観点で予算編成を行ったのか、その基本姿勢を伺います。
2点目に、市債について。
市債依存度17.7%は政令市中最も高い水準です。市債残高は204億円増加して4,332億円に上り、特別・企業会計も含めれば市民1人当たり借金は90万に膨らみます。合併特例債が市債発行の推進役になり、建設事業の増加が財政硬直化の原因となっています。このような借金依存体質になった原因を分析し、市債発行を抑える方向へ改めるべきではないか、見解を伺います。
3点目に、大企業への法人市民税の超過課税についてです。
他政令市で実施している超過課税を、本市は景気が下がると固辞し、実施に踏み切ろうとしません。市内に本社がある資本金10億円以上の企業17社の内部留保の合計金額は7,532億円もあります。暮らしに苦しむ市民から搾り取るより、財力に応じた負担を求めたらどうか提案します。見解を伺います。
4点目に、定員管理計画について。
平成17年から5年間で職員を420人減らし、26年度に向け、さらに276人削減しようとしています。集中改革プランにより、全国の自治体職員が削減されましたが、東日本大震災時、多くの住民が犠牲になる中、自治体職員がみずからの犠牲を顧みずに奮闘しました。大震災で行政機能が麻痺しても、住民の命と暮らしを守ることは当たり前の仕事です。庁舎や住民データがなくなろうが、住民がいる限り、自治体は住民を守る責務があります。被災地応援に駆けつけるにも、限られた職員構成では行政サービスを低下させずに派遣するのは困難です。
財政効率化最優先の自治体づくりを進めた結果、住民の命、暮らしが守れないことがあってはなりません。東日本大震災を受け、正規職員の役割と重要性について、認識はどう変わったのか、必要な部署への増員の必要性をどう見るか、また、定員管理計画を改め、見直すべきではないか伺います。
5点目に、特別自治市構想について。
県と市の二重行政を廃し、県の事務も一元的に特別自治市が担い、国、地方間の税源配分の是正により地域の活性化を進めることと、バラ色のように説明しています。しかし、これは結局、国、県、基礎自治体がそれぞれ補完し合って果たしている役割を壊すことになり、二重行政問題は、県、市が話し合い、役割分担を明確にすることで解決できます。道州制を視野に入れた特別自治市構想は、住民に身近な自治体を壊す自治体リストラを進めるものです。
質問の1点目に、特別自治市になって、何がどう変わるのか。メリット、デメリットを住民の前に明らかにすべきではないのか。
2点目に、現在の自治体をめぐる諸問題は、行政システムに原因があるのではなくて、国政や市政がその問題を解決できていないところに根本的問題があり、原因があり、問題のすりかえではないのか。
3点目に、財政の硬直化、市債増加が特別自治市で解決、打開できる保障はあるのか伺います。
以上、1回目の質問です。
◯市長(田辺信宏君) 私からは、施政方針のうち、暮らしを守る基礎自治体の役割として、国政とどう向き合っていくのかという観点から2点、お答えをいたします。
私は施政方針のときに、歯を食いしばって前向きに頑張っている市民に報われる社会をつくるということについて申し述べました。その意味では、頑張っている市民の暮らしを守るためなら、国と断固闘っていきます。
その大前提を申し上げた上で、しかし、これも施政方針のところで大局的に、大きな時代認識を共有させてほしいということも申し上げました。そこでは、国、地方とも慢性的かつ厳しい財政状況にあるということ、しかも高齢化社会、人口減少が続いていて、社会保障関連経費が増大して、投資的予算を圧迫しているということ、こういう厳しい時代認識の中で、地方の行政運営をしていかなければならないというところであります。
社会の成熟化が進行し、大きな経済成長が見込めない時代だからこそ、今回、社会保障、税の一体改革大綱というものも出てきたと認識をしております。
さて、1つ目の社会保障と税の一体改革についてでありますが、この改革は世代間、世代内の公平性を維持しつつ、社会保障の給付水準に見合った負担を国民全体で担うための改革であり、それが将来、先ほどの厳しい社会状況の中で、持続可能な社会保障制度を構築するための改革であると理解しております。
しかしながら、そこで本市の立場から、これまで指定都市市長会などを通じて強く要請をしていることが3点あります。
1つ目は、この社会保障制度が本当に充実するものになるのかどうか、国と地方の協議の場を設けてほしいということ。2つ目は、医療、介護、年金、生活保護及び子育て支援施策など、幅広い社会保障行政について議論を行った上で、安定した財源を振り向けてほしい、確保してほしいということ。さらに3つ目は、地方自治体の厳しい実情を踏まえた持続可能な社会保障制度を確立すること、財源的にきちっと下支えをしてほしいということなどについて強く要請しておりますけれども、今後も必要に応じて要望を継続していくつもりです。ぜひ、御支援をよろしくお願いいたします。
次に、消費税の増税についてでありますが、これも同じ脈絡の中で私はとらえております。消費税は、税収が経済の動向や人口構成の変化に左右されにくく安定していることに加え、勤労世代など特定の者へ負担が集中せず、経済活動に与えるゆがみが小さいという特徴を一般的に有しております。高齢化社会における社会保障の安定財源としてはふさわしいものであると私は理解しております。
さきの大綱において、社会保障の機能強化、機能維持のために、安定した社会保障財源を確保し、同時に財政の健全化を進めるため、消費税について平成26年4月に8%、27年10月に10%、段階的に地方分を合わせた税率の引き上げを行うことが示されたところであります。
しかしながら、消費税を含む税制抜本改革の実施については、経済状況を好転させることを条件としており、懸念される経済への影響などを配慮した、こういう段階的な数字だととらえております。
本市としても、消費税の税率の引き上げについては、地域経済への影響を配慮することが不可欠の条件と思いますが、持続可能な社会保障制度への安定期な財源確保に不可欠なものと認識しております。ただし、これも将来、地方財源の充実に資するものであるかどうか、今後の論議を注視していきたいと思っております。
次に、市の行財政運営についての基本姿勢のうち、市民の暮らし、福祉最優先の施策が必要であるが、どのような視点で当初予算の編成を行ったのかという質問であります。
私も最優先とは言わないまでも、市民の暮らし、福祉優先でいきたいなという気持ちはございます。しかし、入りを量りて出ずるを制すという中で、ぎりぎりの予算編成をしたつもりであります。災害に強く、安心・安全に人が暮らせるまちという福祉サービスの充実に向けた虫の眼の都市ビジョンのもと、子育て世代やお年寄り、障害のある方々に配慮した施策、セーフティネットの整備などに対して重点的に予算を確保したと自負しております。
社会保障関係経費が増大する中、福祉サービスの予算を確保し、子ども医療費の中学校卒業までの年齢引き上げもそうであります。その一方で、財源というものをにらみつつ、こういう福祉サービスを継続的に提供するためには安定的な財源の確保が地方にとっても必要なこと、そんな視点から国政を見てまいりたいということを重ねて申し上げて、私の答弁とさせていただきます。
以下は副市長及び局長に答弁させます。
◯副市長(清水喜代志君) 私からは、原発と自然エネルギーについてお答えいたします。
国においては、平成22年6月に策定したエネルギー基本計画を、東日本大震災を機に、本年夏をめどに見直しを進めております。
本市は、まず、原子力発電について、あらゆる危機に対して100%安全であると言い切れない状況下では、市民の安心・安全のために、エネルギーの多様な組み合わせにより自給率の向上を図り、最終的には原子力に頼らず必要な電力を賄える社会を構築すべきと考えます。
次に、そのため1つとしては、自然エネルギーの普及が必要であり、静岡市地球温暖化対策実行計画で、次世代エネルギー推進プロジェクトを位置づけ、例えば平成27年度に太陽光発電システムを、戸建て世帯の12%に設置する目標を設定し普及に努めております。
今後、本市における自然エネルギー普及に関する基本方針につきましては、国のエネルギー基本計画も踏まえ検討していきたいと考えております。
以上です。
◯副市長(高鳥明保君) 施政方針の特別自治市についてお答えいたします。
特別自治市は、国や県が行っている行政分野まで本市が担うことから、そのメリットとして、市民の利便性が向上すること、行政全体のコストが削減できること、地域の実情に応じた行政が推進できること、財政が自立できることなどが挙げられます。
一方、都市間に格差の生じる可能性が懸念されますが、逆に、各都市が競争することにより、日本全体の活性化につながることも期待されます。
次に、行政システムを変える発想についてですが、現在、これまでの中央集権型行政システムを地域主権型に変えることは、地域の課題に、地域が自主的、自立的に取り組めるようになります。また、財政上の問題につきましては、特別自治市は包括的な権限と、それに見合った十分な財源を有するので、財政の健全性を保つことができると考えております。
以上でございます。
◯経営管理局長(小長谷重之君) 基礎自治体の役割及び定員管理計画についての御質問にお答えいたします。
まず、TPP参加交渉に対する本市の対応についてであります。
現在、国においては交渉参加に向け、関係国と事前協議を行っていると伺っております。この問題は、交渉参加に当たって自由化例外品目を提示しての参加は認められないことから、我が国における主要な輸出品である自動車、産業機械などの輸出においては有利に働く一方、安価な農水産物の輸入や単純労働者の受け入れ、公的医療保険制度の変更などを求められるのではないかとの報道もあり、我が国の国益にさまざまな影響を及ぼすものと認識しております。
本市といたしましては、TPPが本市に与える影響について、引き続き情報収集に努めるとともに、今後の国の動向を注意深く見守っていきたいと考えております。
次に、地域主権改革に対する本市の受けとめと対応についてであります。
地域主権改革は、地方が自主的、自立的にまちづくりに取り組めるようにするための改革であります。
そこで、市長の施政方針にもありましたように、みずからの手で、みずからの地域をマネジメントする3つの「ゲン」、すなわち権限、財源、人間を備えれば、本市が真に自立した都市になることから、市民に最も身近な基礎自治体として弱体する懸念は決してないものと考えております。
これにより、国の画一的な基準にかえて、地方が地域の実情に応じた基準を設定できるようになり、一層のきめ細かい住民福祉の向上につながるものと認識しております。
次に、定員管理計画についての御質問です。
まず、正規職員の役割と重要性についての認識ですが、被災地での活動状況を見ると、地域住民が自治体職員に寄せる信頼や期待は、非常に大きいことを改めて感じました。そうした信頼や期待に十分こたえるためには、すべての職員が通常の業務能力に加え、大規模災害が発生した際に発揮する危機管理能力、すなわち被災した地域の実情を把握し、的確に対応する能力が非常に重要であると認識を持ちました。その認識の上で、職員はその所属に関係なく、日常から必要な情報収集に努め、職場内外の訓練に積極的に参加し、あるいは被災地支援の経験を職員間で共有して生かすことが必要であると考えます。
職員一人一人が持っている現在の能力にさらに磨きをかけ、市民の皆さんからの信頼や期待にこたえるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、職員の増員と定員管理計画の見直しについての2点でありますが、定員管理計画を着実に実施することは、職員という貴重な経営資源を効果的、効率的に配置し、最小の経費で最大の効果が図られるようにする、まさに市民サービスの向上につなげていこうとするものであります。
本年度行った緊急津波対策室やまちみがき戦略推進室の設置は、現在の定員管理計画において、限られた職員を柔軟かつ迅速に配置する中で実現いたしました。今後も定員管理計画を推進し、めり張りのある適正な職員配置を行い、より質の高い市政運営に努めてまいります。
以上でございます。
◯財政局長(中井幹晴君) まず、市債についてのお尋ねでございます。
議員御指摘のように、市債残高は年々増加傾向にございますけれども、今後の市債管理については、さきにも答弁したとおりでございまして、投資的経費の抑制を行うとともに、引き続き静岡市版事業仕分けを初め、市民目線の成果を重視した不断の事務事業の見直しなどの歳出の削減といった行財政改革推進大綱実施計画の着実な実施により、臨時財政対策債を含め、市債の発行総額の抑制に努めてまいります。
次に、財力に応じた応分の負担をすべきではないかという御指摘がございました。ただ、これにつきましては租税、そもそも公平負担の原則が重視されるべきものであるとともに、超過税率の採用ということになりますと、財政上その他の必要がある場合に限って行うべきものであることから、そのような負担を求めるに当たっては、税の体系的な均衡も含めて慎重な検討を要するものと考えます。
また、現下の経済情勢や先行きのリスクを踏まえ、景気の下振れを防ぐという観点から、景気を下押しする効果が懸念される法人市民税の超過課税を新たに実施する環境にはないものと考えているところでございます。
以上です。
〔4番鈴木節子君登壇〕
◯4番(鈴木節子君) 1回目で、国とどう向き合うのかという質問をさせていただきました。市長のお気持ちはわからないでもないんですが、静岡市民は信頼を寄せて市長へ投票されているんです、多くの市民はね。そういう意味では、おれに任せろと、そのぐらいの大きな気持ち、度量をこの場でも示してほしかったと思います。また機会があれば、ぜひそうしたお答えはしていただきたいと思います。
法人税の超過課税についてですが、政令市では多くやっていまして、県内でも例えば藤枝市でやっていて、これまでに合計5億円の税収があったようですが、それを市民生活に生かす活動に充てております。ホームページでも公表されておりますので、ぜひ参考にしていただきたいし、そうした取り組みをほかの市でやっていて、なぜ静岡市が固辞するのかと、理由にならないと思いますので、また違うところでやらせていただきたいと思います。
1回目で主張しました社会保障と税の一体改革については、我が日本共産党としては中央で発表しましたが、社会保障の段階的な充実と財政危機打開のための提言を行い、消費税増税に頼らなくても打開できる方策を発表していることを申し述べておきます。
2回目からは、基礎自治体が憲法と地方自治を守り、住民福祉の増進という使命を果たす仕事に最優先で取り組む姿勢について、大きく6つの柱について積極的な提案を行いながらただしていきます。
第2の柱は、福祉、社会保障の充実についてです。
最初の項目は、国民健康保険料について。
来年度の国保料の大幅値上げ案は、市民や医療関係者の間で驚愕とともに不安がわき起こっています。今回の値上げを当局は平均で17.5%と説明しますが、実質は、所得300万未満の世帯は3割前後の増額となります。例えば所得100万2人世帯で増額は4万4,900円、30%の値上げになります。200万円2人世帯では増額7万7,700円、29.4%の値上げとなります。来年度は最高限度額の引き上げはないため、一定以上の所得のある世帯は頭打ちになり値上げはありませんが、所得300万未満の世帯に値上げが集中しています。高過ぎて払えない、払ったら暮らせないという声が8割を占め、悲鳴を上げる市民の暮らしをますます直撃し、暮らしを破壊するこの値上げを押しつけることができるのかという問題です。
田辺市長就任後、初の予算編成において、政令市の中で一気に2番目の金額になるこの大幅な値上げが許されるのか見解を伺います。
2点目に、この値上げが健全な国保運営と言えるのかという問題です。
収納率は9割を切ったまま、滞納額は56億円、滞納は4世帯に1世帯、収納率低下、国保財政悪化、また値上げと悪循環を繰り返すだけです。値上げは健全財政に逆行し、国保制度の崩壊に直結しますが、認識はどうか伺います。
3点目に、減免の考え方について。
今回、低所得世帯に対し、市独自で1割軽減制度を導入し、対象は生活保護基準の1.3倍を含む6,800世帯で約8,900万円が軽減されます。本市のもともとある申請減免は、低所得世帯は対象としていません。災害や失業、疾病により所得が激減した場合に限り減免の対象としてきました。
今回創設した1割軽減制度導入の基本的な考え方と、申請減免をより拡充して、低所得世帯の負担を軽減することの重要性、必要性を伺います。
次に、2つ目の項目、生活保護行政について。
今、雇用破壊や失業率の増加、非正規雇用の拡大に加え、年金制度改悪、家族間の希薄化、無縁社会、相次ぐ孤独死など、貧困と格差社会のもと、最後のセーフティネットとしての生活保護行政を根幹として位置づけ、充実させることが求められています。この重要性、役割についての認識を伺います。
2点目に、本市の生活保護予算は、来年度135億円を超え、被保護世帯は6,000世帯に達しています。ケースワーカーが担当する被保護世帯は、標準数の80世帯に対し、最高では120件を超え、限度をはるかに超えています。相談者への親身な対応、手厚い支援を実施するためにも、担当職員の増員は必要不可欠です。一定の人生経験を積んだ職員や専門知識を有する正規職員を増員すべきです。見解を伺います。
3つ目の項目、保育行政について。
政府は、子ども・子育て新システム関連法案の骨子を決め、今国会提出をねらっています。この新システムの目的は、待機児童解消ではなく、ふえ続ける保育需要に対して、公費をなるべく支出しない仕組みを構築することです。
児童福祉法を改悪し、市町村の保育の実施義務をなくし、利用者は就労時間などに応じて保育の必要量の認定を受け、自分で保育所を探し、保育園と直接契約となる、制度改悪です。市町村が保育の実施に責任を持つ現行の公的保育制度を解体し、企業参入による保育の市場化、営利化が柱です。反対の声は広がり、意見書は24道府県に上っています。
1点目に、このような問題が噴出する新システムに対し、市の公的責任、関与がどのように変えられるのか。また、国に対し保育の質を確保するため、どのような要請を行っているのか伺います。
2点目に、保育士の配置基準について。
市が定める条例案は、国の基準どおり1歳児6人に対し保育士1人となっています。しかし、本市は国の基準以上の4対1の保育を現在実施しています。せっかく国の基準以上の保育を実施しながら、後退にならないのか疑問です。保育の質を低下させない保障を示していただきたい。あわせて現行どおり4対1の保育を確保すべきですが、見解を伺います。
3点目に、認証保育所制度導入について。
認証保育所は、子ども・子育て新システムの先取りとも受け取れます。待機児童は、毎年秋以降には250人程度に増加し、保育所入所率も130%を超える園も出ています。認証保育所制度で実効ある待機児童解消策となり得るのか伺います。
4つ目の項目、児童クラブについて。
児童クラブ緊急3カ年整備計画後、クラブ数は増加しましたが、子供たちの放課後の生活を保障するという視点から、まだまだ課題は残されています。例えば入所の対象年齢、高過ぎる保護者負担、指導員の待遇改善、大規模クラブの解消、開設時間の延長など、さまざまな改善を求め、保護者からは毎年陳情が提出されています。
1点目に、現在の課題と今後取り組むべき方針をどうお考えか伺います。
2点目に、保護者負担について、負担金の考え方は公費と保護者負担を1対1と決め、葵区、駿河区は月9,500円、清水区は7,400円と、他の政令市より高額です。若い子育て世帯には重い負担となっていますが、減額や、せめて所得の低い世帯への減免など実施すべきではないか方針を伺います。
3点目に、施設ハード面は一定整備されましたが、学校施設内のため制限があります。例えばトイレが遠く、1年生など低年齢の児童には大きなストレスとなっています。トイレに行きたくても行けずに我慢をしているという実態がまだまだ残されています。環境整備についての方針を伺います。
5つ目の項目、高齢者施策、介護保険についてです。
介護保険が始まって11年、負担増やサービス切り捨ての改悪の中、支給限度額の6割しかサービスが使われないなど、低所得者が必要なサービスが受けられない事態が続いています。介護保険の制度改悪により、在宅強化の名のもと、コストのかかる施設、医療機関の利用抑制を進め、サービスを共助から、自己責任の自助、ボランティアの互助へと役割分担させようとしています。要支援1・2の人は介護給付から外し、自治体が行う総合事業に移しかえることができるようになりました。この事業は、施設や人員など、国による統一した基準はなく、ヘルパーの訪問による生活援助を、民間業者の見回りや配食など低コストサービスに置きかえることも可能です。また、介護職員によるたんの吸引、経管栄養など医療行為も合法化され、医療の知識が不十分な介護職員に、わずかな研修だけで医療行為を認めていいのか、人の命にかかわることが拙速に取り扱われています。
1点目に、このような介護保険制度改悪に対する問題点の認識を伺います。
2点目に、介護保険料の基本料は、来年度、月額4,150円から5,000円に大幅に負担が重くなります。階層を現在の11段階から12段階にふやし、低所得者に配慮と言いますが、大幅値上げに対する認識はどうか。また、財政安定化基金、介護給付費準備基金など、基金を取り崩して負担軽減するのか、負担軽減策を確認します。
3点目に、特別養護老人ホームの待機者は2,000人を超え、何年も待たなければ入所できないという状況です。市長は、マニフェストで高齢者の待機ゼロを掲げましたが、待機者の推移と施設整備の方針を伺います。
次に、3つ目の柱、防災対策について。
東日本大震災で示された教訓を具体的な防災まちづくりに生かす取り組みが急務です。課題は、実効性ある津波対策、公共施設や福祉施設、個人住宅の耐震補強の促進、自主防災との密接な連携、防災教育をきめ細かく行うなど課題は山積しています。その他、障害者、難病を抱える方、高齢者など、どうやって災害弱者の命と安全を確保するのか。また、避難所のあり方など本格的な取り組みはこれからです。防災対策課だけでなく、局間の連携、全庁を挙げた取り組みが求められ、その姿勢が問われています。どういう体制をとろうとしているのか、方針を伺います。
2点目に、東海、南海、東南海の3連動地震の可能性は、30年以内に87%と危険性が叫ばれています。国や県の被害想定は地震動、津波高はことしの夏、人的・物的被害想定は来年3月に公表予定ですが、国や県の想定を待つだけではなく、自主的に被害想定を暫定的につくり、そのための体制を先に整備し、対策を急ぐべきと考えます。その方針を伺います。
次に、4つ目の柱、原発、放射能対策についてです。
浜岡原発の再稼動を許すのか、廃炉かという問題です。本市は浜岡原発から50キロ圏内に位置し、浜岡原発の地震、津波対策を、自覚的に早急につくる必要性を突きつけられています。先日、県が発表した浜岡原発事故を想定した放射線量予想図によると、南西からの風が吹いた場合は、本市の市域はすべて被曝エリアに入っています。浜岡原発周辺の自治体が危機感を持ち、再稼動に慎重、反対意見を主張しているのに対し、本市の市長は、その意見表明は理解できると、人ごとのような表現でございました。本市の住民が外部被曝の可能性があると公表された今、住民の命、暮らしを守るべき立場として、浜岡原発が今後どうあるべきか、はっきりと意思表明をすべきです。方針を伺います。
2点目に、地域防災計画に盛り込む浜岡原発の事故に関し、安定ヨウ素剤について伺います。
原発事故発生時、甲状腺がんを予防するため、周辺住民は確実かつ速やかに安定ヨウ素剤を服用する必要性があると言われています。対象は40歳未満、妊婦、子供が優先です。この措置を実践するために、安定ヨウ素剤の備蓄、配布の必要性と方針を伺います。
次に、第5の柱、地域経済振興策について。
本市の地域経済は、10年前と比較して製造業で事業所数は約1,000事業所、従業員数で約1,500人が減少し、地域経済を支える中小企業の経営が危機に瀕しています。雇用の7割を支える中小企業の危機は、地域の雇用や地域経済そのものに直結します。地域の仕事起こし、まちおこしで、雇用や消費の拡大を進めるための自治体の姿勢が試されている中、来年度の商工費は、一般会計予算のたった1.9%と政令市平均の半分です。
ここからは提案型の質問をさせていただきます。
1点目に、住宅リフォーム助成制度について。
全国では40都道府県、330自治体に広がり、工事内容は、内装工事などから外装や塗装などに広がり、リフォームとあわせたバリアフリー、耐震補強とニーズは次々生まれ、経済波及効果は10倍から20倍とも言われています。幅の広い振興策に拡充できる可能性があります。このリフォーム助成制度を創設すべきですが、方針はどうか伺います。
2点目に、小規模工事登録制度について。
競争入札参加資格のない未登録業者に小規模な建設工事や修繕工事などを自治体が発注するこの制度が全国に広がっています。業者にとっては自信を持っていい仕事ができる、自治体にとっても顔が見える業者なので安心と、両者にメリットがあります。この制度創設に向けたお考えを伺います。
3点目に、公契約条例について。
公共工事や公共調達などの公契約は、全国では約75兆円に上り、関連事業に1,000万人が就労しています。しかし、入札による競争激化により、落札価格が大幅に下がり、下請業者の請負単価や労働者の賃金引き下げに直結しています。公契約における適正な価格、単価の確保と、中小業者の受注機会の増大は切実な課題です。公契約に人間らしい労働条件を保障するための公契約条例は、野田市、川崎市、相模原市に続き、札幌市も条例制定を目指しています。公契約条例制定の必要性、課題、方針をお聞きします。
4点目に、中小業者の実態把握について。
昨年の東日本大震災以降、経営は厳しく追い詰められています。実効ある支援を行うためには、まず実態を生の声で把握し、分析し、打開策を打つことが必要です。業者は、震災による低迷、放射能による風評被害、原材料価格の上昇、円高による影響など、苦労ははかり知れません。この苦労、実態をどのように把握し、どのように反映させ、どのように対策を打とうとしているのかお聞きします。
5点目に、中山間地振興策について。
本市の中山間地は、人口は20年前に比べ40%減少し、限界集落も20に及んでいます。少子高齢化の進展、農林業の停滞を食いとめるため、集落ごとの活性化事業や着地型観光、移住促進など、現在、対応策を工夫して展開されていることは承知しておりますが、これからは地域住民も巻き込んだ取り組みを、今後もさらに発展させるためにも、条例制定し、位置づけを明確にしたほうが施策は進みやすいのではないかと提案します。中山間地振興条例を制定する方針についてお伺いします。
次に、第6の柱、教育行政についてです。
今、子供の豊かな成長のために、どのような学校と教育行政が必要か。大阪維新の会が、大阪府議会、市議会に提出した教育基本条例案は、大きな波紋、論議を全国に呼んでいます。首長が設定した教育目標に従わない教育委員を罷免するなど、首長主導のトップダウン教育を目指し、本来、教育委員が作成すべき教育基本計画を知事がつくり、議会に承認を諮るというのは、権力の政治介入ではないのか、教育の政治的中立性を害するものと批判が広まっています。脅しと脅迫、強制、競争、罰則によって教育をコントロールしようという考えは、教育の根幹を揺るがすものです。教員に服従を求める権力統制、競争原理と命令では、子供と人格的に触れ合った教育は成り立ちません。本来は、教育行政は教育委員会の権限で行うべきものです。教育長の見解を伺います。
2点目に、30人学級について。
今、貧困の広がりや社会の変化の中、深刻な悩みを抱える子がふえ、子供への丁寧なケアが求められています。教師は、多忙や長時間労働が常態化していますが、定数増のめどが立たずに正規雇用を手控えたため、教員の非正規率は9人に1人の割合に達しています。今、本市では、少人数授業、チーム・ティーチング、習熟度別授業など実施をしておりますが、ゆとりある教育の保障のためには、本来であれば学級編制を少人数とすることが不可欠です。市独自の裁量で、正規教員配置による30人学級について方針を伺います。
最後に、7つ目の柱、平和行政についてです。
来年1月、本市で国連軍縮会議を開催することが決定し、平和をテーマに軍縮、核兵器廃絶、また原子力政策と放射能被曝など、多方面から平和のための討論が行われます。今後の平和行政を飛躍的に発展させる絶好の機会ですが、単なるイベントや観光行政に発展させるだけではなく、今回の軍縮会議を平和の取り組みとリンクさせて、どのように発展させるのかという視点を持つことが重要です。軍縮会議開催の意義、そしてこの発展方針をどのようにとらえておられるのか伺います。
以上、2回目の質問です。
◯教育長(高木雅宏君) 教育に関します2点の質問についてお答えをします。
まず1点目、教育行政に関しての教育長の見解はということでございます。
現行制度のもとでは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律などの法令に従い、教育委員の任命や予算を調製する権限等を持つ市長と、教育行政の執行機関である教育委員会が、それぞれの権限のもと、役割分担をしながら、子供たちの健やかな成長を第一に考えた教育行政を行っていくべきものと考えております。
続きまして、30人学級というお話でしたけれども、本市では、国や県の動きに合わせ、小中学校全学年の35人学級の実施に向け、毎年、対象学年を拡大しているところであります。現在、本市では国の制度による小学校1年生の35人学級と、県の制度による小学校5年生から中学校3年生までの静岡式35人学級を実施しています。
平成24年度には、さらに国の制度による小学校2年生と県の制度による小学校4年生に35人学級を実施する計画で、そのために必要となる教員の配置や教室の確保に努力しているところであります。30人学級の実施につきましては、今後の国や県の動向を注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) 福祉、社会保障の充実に関する何点かの御質問にお答えをさせていただきます。
最初に、国保に関する御質問のうち、大幅な国保料の値上げは市民の暮らしの破壊につながるのではないかという御質問でございます。
国民健康保険は、地域医療の確保と住民の健康増進に大きく貢献し、国民皆保険体制の最後のとりでとして極めて重要な役割を果たしております。しかし、近年増加する医療費や景気低迷による収納率の伸び悩みなど、国保財政は大変厳しい運営を余儀なくされているところであり、今年度の本市国保会計の見通しでも、所得の落ち込みにより保険料収入が減少する一方、保険給付費が予想以上の伸びを示しております。今後も高齢化の進展や医療費の伸びが見込まれますが、それ以上にここ数年の医療費の増加が著しいため、保険制度であります国保事業を中長期的に安定して運営していくため、今回は保険料の大幅な引き上げが避けられない状況となりました。
しかしながら、値上げによる市民の皆さんへの影響を抑えるために、被保険者の所得に占める保険料の割合や、また公費投入のない他の医療保険との公平性に配慮しながら、一般会計からの繰り入れを最大限努力した結果、1世帯当たり平均17.5%の引き上げをさせていただくことになりました。値上げが市民の皆さんの暮らしに影響を与えることは十分に認識をしておりますので、納付が困難な方に対しましては分割納付相談など、生活実態を見据えたきめ細やかな対応をしてまいりたいと考えております。
次に、国保料の値上げは、収納率の低下や制度の崩壊を招くのではないかというお話でございます。
収納率につきましては、保険料の引き上げによる低下が懸念されますが、コンビニ収納の導入により、被保険者の利便を図るとともに、口座振替の利用促進や悪質な高額滞納者に対する滞納処分の強化などにより収納率を向上させる努力をしてまいります。
また、低所得の方々への対策として、本市独自の1割減免制度を創設をいたしました。この1割減免制度を導入する基本的な考え方、また申請減免制度の拡充についての御質問でございます。
低所得の方々に対しましては、現在、所得に応じて保険料が7割、5割、2割と軽減される法定制度がございますが、この法定軽減にわずかに該当しない低所得世帯の救済措置がないことから、今回の保険料改定による激変の緩和策として1割の減免措置を設けまして3年間の時限措置で救済しようとするものでございます。
また、申請減免制度につきましては、これまでも社会情勢に応じて特別な事情を考慮した減免の拡充を図ってきたところですが、被保険者間の負担の公平性の確保という観点から慎重な議論が必要であります。さらなる拡充は現在のところ考えておりません。
続きまして、生活保護に関する御質問でございます。
まず、生活保護行政の重要性をどのように認識しているかというお話でございます。
社会保障制度におきまして、生活保護制度は、他の制度では救済できないすべての生活困窮者に対して最低限度の生活を保障する最後のセーフティネットであり、大変重要な制度であると認識をしております。また、その役割は保護の要件に該当する方を適正に保護するとともに、保護を受ける方の自立の助長に向けた支援を行うものでありますので、これまでと同様、適正な執行に努めてまいります。
近年の少子高齢化といった人口構成の大きな変化や、またリーマンショック以降の厳しい経済状況の中、前向きに頑張っている市民の皆さんが報われる社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。
次に、生活保護担当職員の増員、また専門的知識を有する正規職員とすべきではないかとの御質問でございます。
被保護者の増加に伴いまして、平成21年度は6名、22年度は2名、23年度は11名のケースワーカーをそれぞれ増員しております。特に22年度以降は、一定の行政経験を持つ者を配置するように配慮した結果、平均年齢も30代以上となっております。また、平成24年度は本市初の試みといたしまして、正規職員である任期つき職員11名をケースワーカーとして採用する予定であります。採用予定者の中には、福祉関係資格を有する者も含まれておりますほか、大半が30代から50代であることから、豊富な人生経験を生かした支援が行えるものと考えております。
さらに、平成23年度からは福祉行政に高い知識や意欲を有する福祉専門職の採用を開始したところでありまして、今後、生活保護担当部署への配属も予定しております。
次に、保育に関する3点の御質問でございます。
まず、子ども・子育て新システムにおける保育の実施に関する市の関与、また国に対する要請でございます。
現在、国が検討しております子ども・子育て新システムの中で、保育に関しては幼保一体化や利用手続の変更などが予定されています。本年3月2日、国が少子化社会対策会議で決定しました基本制度及び法案骨子では、現在の児童福祉法第24条に規定をされている市町村による保育の実施義務などについては見直しはされますが、引き続き、新たな制度に対応した市町村の権限と責務が、児童福祉法並びに仮称ですが、子ども・子育て支援法の2つの法律に規定されることとなります。
具体的には現在、保護者は市に対して入所の申し込みをしていますが、制度改正後は施設に申し込むこととなります。これに対する市町村の関与といたしましては、入所児童が多い場合や、また要保護児童、障害児などの特別な支援が必要な場合の調整やあっせん、また契約による利用が著しく困難な場合は市町村が措置することなどとされております。
次に、国への要請についてでございますが、本市といたしましては、当初、国が示した案に対し、低所得世帯の利用に配慮した方式とすることや、被虐待や障害児などの保育が適切に実施されることが必要と考え、それらが反映されますよう、平成23年の1月と8月に、指定都市市長会を通じて国に要請いたしました。
また、新システム全体に対しましても適正な財源配分を行うことや、指定、認可、指導、監督を指定都市の権限とすることなどを要請してまいりました。
国は、今後、法案骨子に基づき、今国会に関連法案を提出することとしています。本市といたしましても、こうした国の動きを引き続き注視し、的確に対応していくとともに、制度改正が実施された場合には、それに応じた市の責務を果たしていきたいと考えております。
次に、市が定める条例案におけます保育士の配置基準についてのお尋ねでございます。
本市が新たに定めようとしている条例案では、すべて国の基準と同じとしておりますが、現在、本市では1歳児の職員配置が国の基準では6人につき1人とされているところを、公立保育所では4人につき1人で運営し、私立保育所もそれに近づくよう補助金を交付しています。
しかし、近年の経済状況の悪化などから、増加します3歳未満児を中心に待機児童を積極的に受け入れていることから、年度当初、または年度途中に4人につき1人とならない私立保育所が少なからずあります。こうした状況にありまして、条例により4人につき1人を義務づけると、新たな待機児童を生じさせるとともに、受け入れ人数の減少によりまして、私立保育所の経営にも影響を与えるおそれがあります。したがいまして、条例による最低基準はこれまでどおり国の基準と同じとすることといたしますけれども、これにより従来行ってきました国の基準を上回る運用や取り組みを引き下げようとするものではございません。
市としては、条例に基づきまして、今後も引き続き最低基準を遵守しつつ、最低基準を上回る運用を実現するように努力してまいります。
続きまして、認証保育所制度が待機児童解消にどのような効果があるのかというお尋ねでございます。
認証保育所制度は、保育所の待機児童の対応が認可保育所だけでは困難なことから、既存施設の有効活用策として、認可外保育施設についても、その保育の質を確保した上で、積極的に待機児童対策として活用を図ろうとするものでございます。
認可外保育施設は、認可保育所と比較して年度当初の入所率が低く施設に余裕があるため、待機児童の解消に活用することで短期間で効果があらわれると考えています。しかしながら一方で、各施設の定員は少ないために、多くの児童を受け入れることは困難なことから、認証保育所制度のほかにも幅広い待機児童解消策が必要であると認識しています。
したがいまして、まちみがき戦略推進プランでは、認証保育所制度のほかにも、公立保育所の保育室の確保、公立・私立保育所の増築による定員増、待機児童園の清水区、葵区への設置を掲げておりまして、今後もプランに従って待機児童の解消に努めてまいります。
続きまして、放課後児童クラブに関します3点の御質問です。
まず、放課後児童クラブの現在の課題についてでございますが、放課後児童クラブにつきましては、平成18年度からの緊急3カ年整備計画に基づきまして、待機児童や未設置学区の解消に向けた施設整備に精力的に取り組んでまいりました。これにより平成21年度までに児童クラブ室の新設や増設を合わせ53カ所の整備を行いまして、待機児童や未設置学区の解消に一定の効果を上げてまいりました。
また、施設整備と並行して夏休みなどの開所時間を早めたり、エアコンや空気清浄機を設置すること、また児童クラブに勤務します指導員の待遇改善や研修の実施など、運営面における充実策も実施してまいりました。
御質問の現在の課題及び今後の取り組み方針ですが、本市といたしましては、なお残ります待機児童の解消や開設時間の延長など、利用者ニーズへの対応が課題であると考えております。
なお、児童クラブは、国の子ども・子育て新システムにおいても、子ども・子育て支援事業、仮称でございますが、この一事業として位置づけられておりまして、その充実が掲げられています。今後は新システムで示される具体的な内容を踏まえ、児童クラブのあり方を十分検討し、課題の改善、運営の充実に向けて取り組んでまいります。
次に、保護者負担金の軽減や減免を行う考えはないかとのお尋ねですが、放課後児童クラブの保護者負担金につきましては、応益負担の考えのもと、入会児童の保護者の皆さんにも一定の御負担をいただいております。現在の厳しい財政状況のもと、現状の運営内容を維持し、また今後、一層の向上を図っていくためには、負担金の減額や減免制度の導入は難しいものと考えています。
次に、児童クラブの施設面の環境改善についてでございます。
本市の児童クラブは、独立型の専用施設として設置されたもののほか、小学校の余裕教室を利用したもの、また児童館など、他の施設の1室に設置されたものなど、さまざまな設置形態があり、国が示す放課後児童クラブガイドラインを参考に、児童の安全と快適な環境確保に留意し、施設の整備を行ってまいりました。
しかしながら、校舎内の余裕教室を利用した一部のクラブでは、トイレが近くにないなど、設備面で不便を来している状況があることは市としても承知しております。施設や設備の改修などにつきましては、緊急性の高いものやすぐに対応できるものは、児童クラブからの連絡などにより実施してきておりますが、児童クラブ室の立地や既存設備の状況、また、改修コストなどの問題から解決に時間を要するものもございます。施設面の環境整備につきましては、児童クラブのある小学校とも協議を行い、利用する児童が安全で快適に過ごせるよう、今後も引き続き可能な限りの対応を実施してまいります。
次に、高齢者施策に関する3点の御質問ですが、まず、介護保険制度の改正により高齢者にどのような影響があるのかという御質問でございます。
今回の介護保険法の改正におきましては、高齢者が住みなれた地域で自立して生活を営めるよう、医療、介護、また、予防や住まいなどの生活支援サービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムの実現に向けた改正が行われました。法改正により創設された主なもののうち、介護予防・日常生活支援総合事業は、要介護認定の要支援と非該当を行き来するような高齢者や、虚弱、ひきこもりなどの高齢者に、デイサービスやホームヘルプサービス、また、栄養改善を目的とした配食、見守りのサービスを総合的に提供するものです。
この事業によりまして、これまで介護予防事業に結びつきにくかった高齢者などがサービスを利用しやすくなりまして、自立した生活の維持に効果があるものと考えています。
また、定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び複合型サービスは、利用者の心身の状況に応じて、24時間必要なタイミングで介護と看護を一体的に提供するものです。
これらの新たなサービスを提供できる体制を整備することで、医療ニーズのある重度の要介護者が安心・安全に在宅生活を送れるものと考えております。
続きまして、介護保険料の値上げに対する認識、また、負担軽減策についてのお尋ねですが、御承知のとおり、介護保険の財源は、国、県、市及び被保険者の負担割合が法令で定められております。そのうち65歳以上の方の介護保険料につきましては、平成24年度から21%の負担をお願いすることになっております。現在策定中の第5期介護保険事業計画の期間、これは平成24年から26年になりますが、この間の65歳以上の高齢者の数及び要介護認定者の数の見込み増によりまして、介護サービス受給者数及びサービス給付に必要な経費の増が見込まれるため、介護保険料につきましては増額改定せざるを得ない状況となっております。
今回の保険料の改定に当たりましては、市民税が課税されている人の保険料率を上乗せする一方で、市民税非課税世帯の人の保険料段階については細分化を進め、収入が少ない人の保険料率の軽減を図るなど、より応能負担の考え方を取り入れました。
さらに、本計画期間中に介護給付費など準備基金約10億円を全額投入するとともに、静岡県からの財政安定化基金交付金約3億8,000万円を投入するなどの抑制策に努めた結果、第1号被保険者、これは65歳以上の方になりますが、この方々の次期介護保険料の基準額は、議員御指摘のとおり現行の月額4,175円から月額5,000円となります。しかし、政令市の次期介護保険料の基準額の平均である約5,200円は下回る見込みでございます。
最後になりましたが、特別養護老人ホームの待機者の推移と施設整備の方向性についてです。
市内の特別養護老人ホームの入所待機者を把握するために、毎年10月1日を基準日として調査を行っておりまして、平成21年度は2,070人、22年度は2,130人、23年度は2,048人と、待機者の実人数はほぼ横ばいで推移しています。特別養護老人ホームの整備につきまして、国は原則、全個室型ユニットケアを推進しておりますけれども、本市では平成23年度からユニットケアを取り入れ、プライバシーにも配慮した個室的な設備で、かつ入所者の経済的負担も軽くて済む静岡型多床室の整備を進め、待機者の解消を図っております。
また、施設整備の方向性といたしましては、特別養護老人ホーム以外にも老人保健施設、グループホームなど、個々のニーズに合わせた多様な入所施設の整備を計画的に進めていきたいと考えております。
以上でございます。
◯危機管理統括監(望月俊春君) 防災対策及び原発放射能対策に関する質問にお答えいたします。
最初に、防災対策における各部局の連携体制づくりへの取り組みについてでございます。
防災対策における各部局それぞれの役割については、地域防災計画において担当部局を明確にし、防災訓練などを通じ、その徹底を図っております。また、地域防災計画の実効性の確保に係る庁内連絡会議を設置しており、新たな課題が発生した場合など、この連絡会議を活用し、各部局との連携を図りながら、その解決に取り組んでまいります。
次に、市独自の3連動地震を視野に入れた被害想定の作成や対策についてでございます。
本市では、東日本大震災における仙台市の津波被害の状況をもとに、これまでの県の津波浸水域をより拡大して、独自に津波対策区域を設定し、区域内で津波避難ビルの指定、東名高速道路のり面利用など、すぐにできる津波対策に取り組んできたところでございます。
今後の施設整備等に当たっては、国、県から新たな被害想定が順次公表されることとなっており、本市としては、これらを参考にして実施すべきものと考えております。
続いて、浜岡原子力発電所に関する質問にお答えいたします。
最初に、浜岡原子力発電所の再稼動に関しましては、大きく2つの側面から判断しなければならないと考えます。
1点目は、安全対策に関する側面です。地震や津波だけではなく、さまざまな危機に対する十分な安全対策が必要であることは言うまでもありません。本市としては、将来にわたっての安全が確保されなければ、浜岡原発の再稼動は認められないものと考えます。
2点目は、エネルギーの供給に関する側面です。原発があらゆる危機に対して100%安全であると言い切れない状況下では、本市としても電力の供給は、原発にかわる安定的でできる限り環境への負荷の少ない発電にシフトすべきものと考えます。したがって、中部電力が浜岡原発を再稼動しようとするのであれば、浜岡原発の必要性を安全性とともに、改めて市民、県民に説明する必要があると考えます。
次に、安定ヨウ素剤に関する質問にお答えします。
福島第一原子力発電所の事故を受けて、国は、放射性物質を含んだ空気の固まり、いわゆるプルームの通過時に防護措置を実施する地域を原発から50キロメートル圏内とすることを検討しており、この場合、本市の一部も含まれることとなります。
本市では、この原発事故を受け、安定ヨウ素剤の備蓄など、原子力防災についての検討を進める必要があると認識し、地域防災計画に原子力防災に関する記載を追加したところでございます。
今後は、対策をとるべき範囲や安定ヨウ素剤の備蓄、配布の方法など、具体的な方策について、国の指針のほか、県や関係市町とも連携し、検討していきたいと考えております。
以上でございます。
◯経済局長(靱矢雅浩君) 初めに、中小業者応援策としての住宅リフォーム助成制度の創設ということで御提案をいただきましたけれども、中小業者の仕事づくりとしての住宅リフォーム助成制度につきましては、静岡市産業振興プランなどの計画への位置づけはなく、現在のところ実施する予定はございません。
中小業者の応援策といたしましては、融資制度や新商品の開発経費の助成、販路開拓支援、また、静岡市産学交流センターにおける経営相談やマーケティング支援など、中小業者のニーズに対応したきめ細かな施策を、今後におきましても幅広く実施してまいります。
続きまして、中小業者の実態をどのように把握しているか、また、その結果はどのようなものであり、どうしていくかという御質問でございます。
中小業者の実態把握につきましては、静岡商工会議所や静岡経済同友会、中小企業家同友会などの経済団体との意見交換、また個別の企業訪問によるヒアリングのほかに、金融機関やシンクタンクからの情報提供などにより実施をしております。
さらに、今年度からは市内企業の景況感や今後の見通し、経営上の問題点などについて景況調査を実施し、経済動向や中小業者の現状把握に努めているところでございます。
これらの調査などから、市内の中小業者の現状は、昨年発生した東日本大震災による大幅な落ち込みからの回復を見込む一方で、長引く円高や欧州などの世界経済の減退、売り上げ不振や原材料などの価格高騰、消費者ニーズの変化など、多くの問題を抱えております。それゆえ、現状におきましては先行き不透明感が強く、依然として厳しい状況に置かれているものと認識しております。
本市といたしましては、今後も中小業者の適時適切な実態把握に努め、スピード感を持って的確な施策を展開してまいります。
次に、中山間地域振興の位置づけとして条例を制定すべきと考えるがどうかということでございます。
条例で理念などを定めることにより、中山間地振興の取り組みを始める自治体もあります。本市では、既に静岡市中山間地域総合振興計画を平成22年3月に策定し、その計画に基づき、移住、定住、交流の促進を三本柱として、全庁一体的な取り組みを進めているところでございます。
特に最近の主な成果といたしましては、「おらんとこのこれ一番事業」を創設し、清沢レモンの郷づくり、玉川トレッキングスポーツの郷づくり、美と健康のふるさと‘静岡梅ケ島温泉郷’づくり、駿府足久保茶ブランドづくりが地元の発意によって事業化されるなど、地域住民が連携して主体となって地域資源を磨き上げていく取り組みが生まれてきております。
今後それらの取り組みが持続的に発展し、中山間地域全体の総合的な活性化が実現するよう、計画の着実な推進を図っていこうと考えております。
以上でございます。
◯財政局長(中井幹晴君) 中小業者応援策について2点の御提案と御質問がございました。
1点は、小規模工事の登録制度、それから公契約条例でございますけれども、まず、小規模工事登録制度は、入札参加資格の登録のない中小業者を、これとは別に登録して、その業者に対し小規模の修繕等を発注する制度ということで、この制度を導入している都市では、市内の中小業者の発注機会の拡大を目的にしているということでございます。本市においては、入札業務では選定に関する基準の中で地元業者を優先して選定するように定めており、また、小規模修繕や少額の物品等の購入についても、登録制度の有無にかかわらず、同様に市内の中小業者を優先して発注しております。
このことから、本市としましては、登録制度の制定をせずとも、その目的を満たしているものと考えております。
次に、公契約条例でございますが、公契約条例を制定する目的は、公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働条件を確保することにより、当該業務の質の確保、及び公契約の社会的な価値の向上を図ることと考えられます。
こういった公契約条例制定の趣旨は重要であると考えておりますが、条例を制定した場合、その実効性、公平性の確保やそのための調査に要するコスト増の問題、客観的基準に基づく賃金の積算、企業への影響等が課題として指摘されております。
本市では、これまで公契約条例にかわる取り組みとして、市内業者への優先発注、適切な最低制限価格や低入札価格調査基準価格の設定、価格だけでなくその他の条件が市にとって最も有利な者と契約を締結する総合評価方式の拡大等に努めてまいりました。今後もこれらの制度を適切に活用することで、公契約の内容の充実を図っていきたいと考えております。
以上でございます。
◯市理事(鈴木 孝君) 平和行政における国連軍縮会議開催の意義についての御質問にお答えをいたします。
本市は、平成17年に核兵器など大量破壊兵器の廃絶と世界平和の実現に貢献することを表明した静岡市平和都市宣言を議決し、平和都市の理念のもとに平和行政を進めているところであります。
今般の国連軍縮会議は、平和国家を国是とする我が国を広く国際社会にアピールするため、当時の竹下総理の尽力により招致が決まり、以後、国内で毎年開催されてきている国際会議であります。
一方、本市はこの趣旨を踏まえつつ、まちみがき戦略推進プランに基づくMICEの推進の一環として誘致を行ったものであります。それは本市の知名度を内外に高め、交流人口の拡大による地域振興を図る取り組みでありますが、平和行政における意義等といたしましては、1つに、軍縮、安全保障に関する国際的な議論を活性化させるための会議により、平和に対する市民意識を高めること、2つに、平和で豊かな暮らしを次の世代に引き継ぐため、市民の皆さんが平和について考える機会を提供すること、この2点が挙げられるものと考えております。
以上でございます。
〔4番鈴木節子君登壇〕
◯4番(鈴木節子君) 2回目でさまざま御答弁をいただきましたけれども、なかなかかみ合わない部分もありまして、ただいまから3回目の質問をさせていただきますが、後で意見を述べさせていただきます。
3回目は、市民の暮らしに大きくかかわる課題について、提案型の質問をします。
まず、第1の柱のうち、国保について。
1点目に繰り入れの方針についてです。
来年度、本市は一般会計からの繰り入れを20億円に増加しましたが、3割もの値上げと抱き合わせです。今年度13億の繰り入れは、政令市の中でどういう水準にあるか。政令市平均の4割です。下から4番目という水準で20億円に増額しても、政令市平均の77%です。今回増加していただいたこの20億については、今後もその額は継続するのか、また、どのような見地で増額をしたのか、基本的考えについて伺います。
国保加入世帯は、年金生活者、自営業者など、所得の低い世帯で構成されています。所得構成についても、所得300万未満以下が8割を占めるという状況ですので、構造的問題があるために国保財政は赤字が出て当然です。その赤字分をすべて一般会計で補い、国保加入者には値上げは押しつけないという方針に踏み出してはどうでしょうか。実際やっているのは、政令市では札幌市、仙台市、神戸市、広島市、すべて赤字分を一般会計で補っています。国保財政は収支ゼロという数字が毎年並んでいます。担当者にお聞きしたところ、値上げを押しつけても市民は払えない。収納率は低下し国保財政は悪化するため、一般会計で支援し、むやみに値上げをしないという胸を張った説明がありました。
本市も見習って、国保財政の赤字分を全額支援すべきではないか。また、国が制度に責任を持ち、国の責任として国庫補助を上げるように市から求めていく、毎年やってはおりますが、この姿勢について再度確認します。
2点目に、国保料の引き下げについて伺います。これは提案です。
来年度は住民税増税や年少扶養控除の廃止、介護保険料の大幅値上げ、子ども手当減額と、負担増となります。そこに国保料3割値上げは暮らしを破壊するどころではなく、暮らしをどん底に落とし込み、閉塞感はますます加速してしまいます。払えないという悲鳴があるにもかかわらずこの値上げ、とんでもないことではないでしょうか。
むしろ我が党は、暮らしを守るために、1人1万円の引き下げを提案します。これに必要な額は、今回値上げとなる額を含め、合計しても32億円です。一般会計の1.8%で可能です。この額、大きいと見るか小さいと見るかは皆さんの市民の暮らしを思いやるその姿勢にかかっております。
そして、今回の3割値上げ、当局は平均で17.5%と言いますが、実質は所得300万未満の世帯には3割前後の値上げとなっています。市長はこうした値上げを撤回する、そして暮らし応援のために引き下げるという英断をすべきではないでしょうか。そういう英断をすれば、正真正銘、名実ともに静岡市は「希望の岡」となれると思います。お考えをお聞きします。
続いて、保育行政について。
認証保育所制度、待機児童園開設、定員枠の増員など、待機児童解消策をとっていますが、少子化傾向を打破し、子育て応援を貫く支援策の中心は、むしろ公的保育制度の堅持、拡充による公立保育所の増設です。その方針を伺います。
2点目に、老朽化した園舎の改築について。
本市の園舎は、公立の場合だけ見てみましても、昭和30年代、40年代、50年代に建築されたものがほとんどです。まだ昭和30年代に建築されたままのものが依然としてそのまま残っておりまして、老朽化園舎の改築は待ったなしの課題です。改築が必要な園舎は公立だけでも8園に上りますが、当局は老朽化のみをもって改築しない、あくまで耐震診断により耐震化の必要な園から順次改築を行うとの方針です。しかし、今、この園舎の中で過ごしている子供たちは、どういう状況でしょうか。園舎の老朽により雨漏りし、至るところにバケツを当てがっている。廊下はぬれてトイレにも行かれない。厳冬時は大変寒く、乳幼児が震えている保育室など早急な対策が必要です。ましてや地震によって倒壊をしたら、幼い子供たちの命を守ることはできません。災害から幼い子供を守るためにも、改築は前倒しで早期に実施すべきです。方針を伺います。
次に、教育行政について。
4月から中学校は武道必修化となり、1、2年は柔道、剣道、相撲の中から1つを選ぶことになりましたが、柔道で重大事故が相次いでいます。過去28年間、柔道では114人が死亡し、275人が重い障害を負う事故が続き、最近10年間の中学校部活における死亡確率も、柔道が飛び抜けて高いことが報告されています。学習指導要領には、頭部損傷に至る危険性が最も高い大外刈りなどの投げわざを1年、2年の学習内容に上げています。柔道に全く縁がなかった教師たちは、これで事故が起きないように教えられるのか。まだ対策が必要ではないのかなどの不安を抱えたまま、必修化はもう目前です。
これまでの事故を医科学的に解明し、再発防止策を立て、指導者研修を行うことは、必修化の大前提です。安全指導ガイドライン、教師への安全教育、緊急対応マニュアルの整備など、事故を起こさないための安全対策と指導面での対応策をお聞きします。
2点目は、学校司書の拡充について伺います。
本市は、これまで12学級以上の小中学校に、学校司書を配置し、来年度は8学級以上へと拡充します。
教師や保護者、そして子供たちから大変歓迎をされており、先駆的役割を果たしているこの学校司書の配置について、政府は新しい方針を打ち出しました。学校司書配置費用150億円、地方交付税措置を決定しました。学校司書の役割を一層鮮明にしております。
しかし、本市の実態はどうか。先ほどの答弁にありましたように、能力があり、子供たちから大変喜ばれている学校司書が5年の雇いどめによって泣く泣くやめざるを得ない、こうした事態がまだ続いています。能力の損失です。継続して役割を発揮してもらうことこそが効果を大きくさせることではないでしょうか。
今回の地方交付税措置を足がかりにして配置拡充、今8学級までいっていますが、これをさらに促進する。そしてまた5年の雇いどめをやめて継続性を担保する、また授業日数220日に対し、勤務日数174日、大変少ないです。司書がいない日もあります。また、勤務時間が1日4時間という現状を改善することが可能になっています。より専門性を発揮できる環境を整備すべきではないか、見解を伺います。
最後に、平和行政について伺います。
国連軍縮会議開催について、市民の平和に対する意識を高めるという大変前向きな御答弁をいただきましたが、これを力にしていきたいと思います。国際交流都市を目指すだけ、イベントだけが目的ではありません。先ほどの答弁のように、平和都市宣言を力にして、子供も含む多くの市民とともに平和行政をより意識的に推し進めていく視点が重要です。例えば夏休みの読書感想文のテーマを平和とする。親子で考える、あるいは平和の集いを開催する。広島、長崎の平和式典への派遣事業、さらには平和都市宣言を内外にアピールする事業など、大変広がります。
本市は、平和都市宣言を行っていますので、平和を位置づけた事業をさらに積極的に拡大できるのではないでしょうか。国連軍縮会議開催を契機として、平和を位置づけた取り組みを発展させる、その方針を伺います。
以上が質問ですが、最後に市長に対して述べさせていただきます。
先ほどから繰り返しているように、安心・安全の静岡市政を目指すことについて、市長のお考えは十分理解しておりますが2点だけ認められない点があります。
敬老祝い金の80歳、90歳の支給をやめるという問題ですが、お年寄りが長生きをしてくれてありがとうという感謝の気持ちがこの敬老祝い金です。長寿をたたえ、感謝をあらわすものがこの祝い金です。お年寄りは80歳、90歳になれば、1年1年を健康に長生きする、これが楽しみで、市からの敬老祝い金をいただくことも楽しみに生きているんです。そうした思いを削る、5,400万円の財源をつくるために、お年寄りの気持ちを踏みにじるというのはいかがなものでしょうか。もう一度再考して、これはやめるという決意をいただきたいと思います。
◯副議長(井上恒弥君) 発言はあと1分で終了してください。
◯4番(鈴木節子君)(続) あと1つ、国保料の問題です。
所得200万、300万の方たち、2人、3人世帯は増加額は値上げ額だけで7万、8万、10万円です。今でも到底払えない方たちが、こんな値上げを受け入れられるはずがありません。政令市の中で、今の国保料の水準は下から6、7番目ぐらい、それが一気に上から2番目、急上昇するようなこの大変な値上げについては、暮らしをどん底に突き落とすだけです。ですので、市長にはこの値上げは、ぜひとも撤回すると、こうした英断をすべきではないか、この問題を提案させていただいて、この姿勢については、しっかりと住民の暮らしを受けとめていただき、暮らし、福祉を守る市政実現に向けて努力することを期待しまして質問を終わります。
◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) それでは最初に、国保に関する2点の御質問にお答えをさせていただきます。
一般会計からの繰り入れの基本的な考え方、また国に対して補助率を上げるように求める考えはないかという御質問でございますが、国保会計への財政的補てんは、税の公平性の観点から、他の保険制度との均衡に十分配慮する必要があり、これを基本方針としております。
このことを踏まえまして、本市は国保会計への財政補てんといたしましては、これまで10億円前後の繰り入れをしてまいりましたけれども、今年度は約13億円に、また平成24年度は20億円に増額をした予算を計上しています。
今後につきましては、中長期的見通しを立てながら、適正な保険料の設定をした上で、適切な繰り入れを検討してまいります。
また、国に対しましては、国庫負担割合の引き上げなど、国保財政基盤の拡充、強化に向けた措置を働きかけてまいります。
次に、保険料を1人当たり1万円引き下げるべきではないかとの御質問でございますが、国保会計には保険料収入の不足を補うための法定外繰り入れのほかに、保険基盤安定制度や事務費に対する繰り入れなど、法律などに基づく多額の繰り入れを行っています。健全で安定的な国保運営を将来にわたって持続していくためには、支出の大半を占める保険給付費に見合った保険料収入の確保は必要不可欠でございます。保険料の引き上げは現在考えておりません。
次に、保育所待機児童解消のために保育所を増設すべきではないかとのお尋ねです。
保育所の待機児童解消策としては、年々、就学前児童が減少していることから、当面は保育所の増設ではなく、認証保育所制度の導入や認可保育所の増築、公立保育士の確保などの既存施設を活用する対策や、待機児童園の拡充により解消を図ってまいります。
最後に、老朽化した保育園の改築についてでございます。現在、本市の第2次総合計画では、Is値0.7未満の保育所を対象に耐震化による建てかえを実施しており、公立保育所は既に完了し、私立保育所は1年に1カ所の助成により建てかえを行う計画となっております。
ただし、私立保育所につきましては、Is値0.7未満であっても、第2次総合計画に建てかえ計画のない施設が数カ所残っているために、早期に耐震対策がされるよう、各施設と補強方法や資金計画などについて協議を行っているところで、今後も必要に応じ支援、助成をしていきたいと考えています。
さらに、公立保育所につきましては、Is値は0.7以上あるものの、静岡市公共建築物耐震対策推進計画で、耐震対策が必要な施設といたしまして、耐震性能がやや劣るという耐震性能IIに分類される施設がまだ8カ所ございますため、今後はそれらの耐震対策も早急に実現できるよう努力してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯教育次長(鈴木教之君) 2点の御質問にお答えいたします。
武道の授業の必修化に向けた安全対策についてでございますが、本市では中学校43校中41校が武道で柔道を選択しております。柔道の授業では、十分に受け身を練習した後に、習得したわざを使って相手との攻防を展開していきます。その際、十分な安全面への配慮がないと重大な事故の発生につながるおそれがあります。そのため学習が安全に行われるためには、さまざまな準備が必要になってまいります。教育委員会では、文部科学省主催の子どもの体力向上指導者養成研修の柔道部会に、平成21年度から連続して教員を派遣し、その教員を講師とした市の伝達講習会を開き、市内中学校、保健体育教員の指導技術の向上に努めてまいりました。
また、平成23年8月には、中学校保健体育科教員全員を集め、伝達講習とともに、県柔道協会の専門家の指導のもと、段階を踏んだ指導の実技講習を行い、安全な指導のポイントも周知いたしました。その際、柔道中の頭部事故防止対応マニュアル等も活用しながら、事故防止に向けた意識の啓発を図りました。
今後も指導者を対象とした実技講習会等を計画的に位置づけ、安全に配慮した指導がより充実するよう取り組んでまいります。
次に、学校司書の拡充についてでありますが、学校司書の配置により、いつでも人がいる温かな図書館が実現されています。学校司書とのかかわりの中で、読書好きの子供たちがふえるとともに、図書の整理が進み、調べ学習など、授業でも学校図書館が利用しやすくなったという効果が上がっています。こうしたことを踏まえ、今後もまず学校司書の配置校の拡大を検討してまいりたいと考えております。
御質問の中にありましたように、平成23年度は12学級から10学級以上の学校への配置に拡大し、昨年度より8校多い93校に配置いたしました。24年度におきましてはさらに拡大し、8学級以上の学校に配置する予定でございます。
以上でございます。
◯経営管理局長(小長谷重之君) 国連軍縮会議を契機とした平和行政の展開についてお答えさせていただきます。
国連軍縮会議に合わせて行う各種事業につきましては、今後設置されます実行委員会との意見交換を踏まえて進めてまいります。その中で、平和の大切さを広く市民の皆さんに認識していただき、平和を希求する心をはぐくんでいくことが大切だと考えております。現在、平和行政に関する事業につきましては、戦没者追悼式の開催、市民団体との協働による平和パネル展の実施などを行っております。これらのこれまでの事業は継続して実施をしてまいります。
以上でございます。
◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) 申しわけありません。先ほどの保険料1万円引き下げの答弁の最後のところで、ちょっと間違えてしまいました。保険料の引き上げは考えていないとお答えしてしまいましたが、正確には保険料の引き下げは考えていないと訂正させてください。