◯3番(寺尾 昭君) 私は静岡市社会福祉協議会の不正の問題、そして新東名高速道路県内開通にかかわっての質問をいたします。
市の社会福祉協議会において多額の横領が発覚し、担当職員が逮捕されるという事件が起きました。昨年も同様の事件があり、2年続けて起きたということになりますが、今回の横領額は億単位ということで、途方もない金額です。社会福祉法人ということではありますけれども、大変公的な性格を持った機関であるということ、個人の犯罪として億単位というのは驚くべき額だと言わざるを得ないと思うわけです。
ただ、この事件の内容については、聞くところによりますと、警察のほうから、検察のほうと言いましょうか、証拠書類がまだ戻ってこないということで、新聞報道で知る範囲のものだということになっているわけです。さらなる捜査と今後予定されております公判の中で次第に明らかになっていくと思われますが、今後、社協自身によるきちっとした調査、あるいは市の指導・監督という立場での調査、特別監査というのもあるわけですけれども、そういう意味では、解明は今後にゆだねられている面というのも多いと言えるわけです。
ただ、なぜこのような事件が起きたのか。言いかえれば、なぜこのような多額な横領が可能であったのか、それがまた長期にわたって見過ごされてきたのか、だれしも疑問に思うわけであります。昨年、同様の事件があった、その反省から市による特別監査なども行われてきたと、さまざまな対策がとられてきたというふうに思うんですが、それが結局生かされていなかったということになるわけです。一体社協というのはどういうふうになっているんだというような疑問、そしてあわせて静岡市の指導・監督がなっていなんじゃないかというような声が私たちのもとにも届いて、市民の声は一層厳しいというふうに言えると思います。
社協への寄附金なども集められておりまして、自治会、町内会がこれに協力してきているということで、先日、町内会の役員の皆さんと話をしましたら、住民の側から町内会に抗議の声が来たというふうに言っているんですね。これはちょっとお門違いということになるわけですけれども、しかし不正がこれで本当におしまいなのかと、これ以外に本当にないだろうなと、こういう声も聞こえるわけなんです。また、社協以外の団体というのがたくさんあるわけですけれども、本当にそういうところは大丈夫なのかという声も届いております。
社会福祉法人とはいえ、社会福祉協議会は、今言いましたように、市民からの寄附金、あるいは市から多額の補助金を受けている、さまざまな福祉事業や施設の管理運営を委託されている、こういう点で公的な性格という点は否定できないと私は思うわけです。その社協本来の目的に沿って任務を果たすべく、数多くの職員あるいは関係者の日ごろの努力、これは市民から評価を受ける、感謝をされるという点はあるわけでありますけれども、こういう職員の犯罪というものが結局、日ごろのみんなの努力を台なしにしてしまうということにもなりますし、さらに関係者の皆さんには肩身の狭い思いをさせるということにも結局なっているわけです。
何よりも社協自身の信頼の回復、これは結局、市の信頼回復というところと結びついていくわけですけれども、そういう意味からも、真相を市民に明らかにして、今後、絶対再発をさせないという抜本的な対策というものを示していくことが、今何よりも重要だというふうに思うわけです。
そこで、質問いたしますが、いろいろまだ答え切れないといいましょうか、証拠書類なども整ってない、返ってないということもあって、きょうは特に市の立場、指導・監督という立場からの質問をしたいと思うのですが、まず今の事件の内容について市としてどこまで把握されているのか。額、期間、あるいはまた、どういう種類のものなのかということを把握している範囲でお答えください。
2番目は、本当に1人だったのかどうかということです。ほかの職員とのかかわりというのはなかったのかという疑問もあります。お答えください。
次に、市が社協に対してどのようなかかわりを持っているかという点です。
まず、市として23年度における社協に対する委託事業、指定管理、補助金、そのほか、市の財政支出にかかわる件数、金額、こういうものについて明らかにしてほしいと思います。
さらに、もし、市から社協に対して役員、職員というようなものが派遣をされているようでしたら、その状況がどうなっているのか、そこも明らかにしていただきたいと思います。
話題ががらっと変わりまして、新東名高速道路の県内開通についてであります。きょうも「オクシズ」の話があったわけでありますが、4月14日開通ということになっております。期待も高まっていることは確かであります。今までもこの中で議論があったわけでありますけれども、混雑の緩和や災害時における通行路の確保等、メリットはたくさんあるというふうに思います。
ただ、一方で愛知、神奈川の両隣県での開通がまだこれからということでありますし、何よりも新東名と言いながら東京に通じるという見込みがまだ立っていないと、こういう問題もあるわけです。
また、人口減というようなことも言われておりますから、これから車の台数が減っていくというような問題もあるし、いわゆる高規格道路への投資のあり方、こういうようなことも、そういう点で言うと、見直しを余儀なくされるという情勢もあるかと思うんです。高度成長時代に建設された社会インフラというものが、一定の期間を経て、維持補修と長寿命化に多額の費用を必要とする時代に入っているということもこの議会の中でも議論されているわけであります。
そこで、まず質問をいたしますけれども、新東名の県内開通を本市の活性化にどう生かすかという観点からでありますけれども、先ほど言いましたように、両隣県が未開通であるということであります。県内のみの開通ということであるけれども、そのメリットは何か、そして、なお残された課題をどのように認識されているのかという点をお答え願いたいと思います。
さらに、新東名は大変さまざまな機能が施されているというふうに聞いております。安全やゆとりのドライブという点で新しいシステムがどのようなものになっているのか、この点をまず1回目の質問でお伺いいたします。
◯副市長(清水喜代志君) 私からは新東名の安全とゆとりについてお答えいたします。
新東名高速道路はいよいよ本年4月14日に御殿場から三ケ日まで、高速道路の開通史上最長の162キロが開通いたします。実は、私も今から22年前に別の区間の設計に携わっておりました。
新東名高速道路の安全やゆとりを向上させるための主な特徴は3つあると伺っております。
第1は、緩やかなカーブと緩やかな坂道でございます。カーブの最小半径、現東名は300メートル、新東名は3,000メートルです。坂道の勾配は、現東名、最大5%、新東名は最大2%になっております。燃費の向上、排ガスの軽減、それから通行時間の短縮はもちろんでございますが、快適、安全な運転ができます。
第2は、新しい照明技術、トンネル内の見やすさの向上でございます。現東名のトンネルは路面が明るくなりまして、前方の車両が暗く見えるのに対しまして、新東名は路面よりも車両のほうが明るく見えるように工夫されておりまして、追突防止の効果が期待されます。この第1、第2は見通しを重視した設計ということでございまして、ぜひ運転される際には実感していただければと思います。
第3は、ヘリポートと自家発電設備のことでございます。13カ所設置されるサービスエリアとパーキングエリアのほとんどとなる12カ所にヘリポートと自家発電設備が設置されてございます。本線上だけでなく、周辺地域を含め、緊急時の救急活動や災害時の拠点として活用できます。これらの特徴を生かした新東名の整備により、利用者の方、さらには周辺地域の皆様にも安全とゆとりを実感していただけるものと伺っております。
◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) それでは、私からは静岡市社会福祉協議会の不正事件に関します4点の御質問にお答えさせていただきます。
最初に、横領の額や期間、また他の職員とのかかわりについてでございますが、まず横領の額などについてでございます。
社会福祉協議会からの報告によりますと、先ほどお話がございましたように、横領額は約2億6,000万円で、その多くは減価償却積立金などであります。平成21年4月から22年12月の間に預金通帳から不正に引き出されたものでございます。
次に、他の職員とのかかわりでございますが、今回の事件に関しまして社会福祉協議会内の他の職員の関与の有無につきましては現時点では不明でございます。
次に、社会福祉協議会に対する市の財政支出の件数や金額ということでございますが、本市が社会福祉協議会に対しまして平成23年度予算で財政支出しているものといたしまして、まず委託事業は放課後児童クラブ運営業務など24件、5億200万円余、また指定管理事業は老人福祉センター指定管理業務など15件、7億6,100万円余、補助金は社会福祉協議会地域福祉推進事業など5件、2億4,700万円余、社会福祉協議会全体では44件、15億1,000万円余となっております。
続きまして、市からの職員及び役員の派遣についての御質問でございます。
現在、社会福祉協議会に対しまして市職員の派遣は行っておりません。
なお、役員につきましては、従来より19名の理事の1人として保健福祉子ども局長、今、私ですが、充て職として就任をしております。
◯建設局長(山本吉郎君) 新東名高速道路県内開通のメリットと課題についてお答えいたします。
新東名高速道路の県内開通のメリットとしましては、県内40年ぶりの高速道路の開通であり、現東名とのダブルネットワーク化により、現東名の渋滞解消や防災面の強化、県内の物流の効率化など相当な効果が期待でき、これらの整備効果が県内にいち早くもたらされることでございます。
一方、東京や名古屋などの大都市圏とを結ぶ区間の完成には至っていないため、長距離輸送や観光などの経済的な効果は全線開通に比べれば限定的になるものと思われます。このため、本市におきましても新東名高速道路の未完成区間につきましては、今後も早期の完成を強く要望してまいります。
〔3番寺尾 昭君登壇〕
◯3番(寺尾 昭君) それでは、まず社会福祉協議会の不正問題についてでありますが、事件の内容については、関係書類が警察にまだ押収されているということであります。できるだけ早く調査を行って、特別監査なども行うという予定があるようですが、市としての対応を示すことが必要であるということを改めて申し上げたいと思います。
また、現段階においてもできることはやっていくと、これはスピード感ということになるわけですけれども、これも多くあると思われます。証拠物件の返還待ちにならず、できることは直ちに措置するということについても強調をしておきたいと思います。
市と社協とのかかわりは密接、さらに多岐にわたる、先ほどお話がありましたとおりです。市から役員も派遣をされてるということであります。役員のかかわり方という点では、19名のうちの1人というお話でしたので、いわゆるかかわり方の強弱というのはあると思いますけれども、そういう面で市以外からの役員も当然いるわけでして、市から派遣されている役員だけの責任を問うということにはならないかもしれません。しかし、先ほど言いましたように、市とのかかわりが非常に大きいということからすれば、これはまた一定の責任もあると言わざるを得ないわけであります。条例上も市は社協に対する指導・監督の責任を負っているということが規定されております。
次に、なぜこのような事件が起きたのか、しかも2年も続けて起きているということであります。なぜ防止できなかったのか。そこにはやはり何か根本的な問題があるのではないかと思うわけであります。
そこで、なぜこのような事件が起きたのかということで今分析をされている点がありましたら、その点をお答え願いたいと思います。
さらに、資金管理や支出のシステムに重大な欠陥があったのではないかと思います。1人の判断でこのような多額の金額が着服できるということですから、そういう面があるんじゃないかと思うんです。この点についても、市として今どのようにとらえているのか、お答え願いたいと思います。
また、市がこれまで指導・監督という点で問題がなかったのか、これまでどのような指導・監督をしてきたのか、この点についてもお答え願いたいと思います。
新東名のことでございますが、先ほどのお話では非常に走りやすいということであります。しかし、最高速度は100キロだというふうに、この間、報道でもありました。安全システムが施されている、カーブや高低差も非常に緩やかだというお話でありますが、こういう走行上のメリットを大いに生かしていくことが大事だと思います。
開通はもちろん、これは喜ばしいことではありますけれども、今後解決すべき課題についても申し上げておきたいと思います。
まず、第1は、現在の東名のバイパスということで終わらせてはいけないということです。三ケ日から御殿場までということで、料金も安くなるし、時間も早くなるということになりますと、通過してしまうという心配もあるわけで、どう静岡に立ち寄ってもらうかと。これまでさまざまな話があったわけですけれども、その点が経済効果という点では必要だということです。それから現在の東名とのアクセスという点では、きのう、おとといあたりも話がありましたように、やっぱり南北道路が、特に葵区、駿河区のところではまだ不十分だという点があります。この辺の課題、それから、今、特区制度でも話がありましたように、日本平、久能、三保ということがありますが、こういうところとのアクセス、新東名は非常にまだ不十分だということがあるわけで、そういう点などの解決もこれから必要になるわけです。
そこで、全線開通に向けて今後の見通し、この辺についてもはっきりさせていただきたいと思います。
◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) 社会福祉協議会に関します3点の御質問にお答えいたします。
まず、今回の事件の原因につきましては、今後裁判を通じて明らかにされるものと考えておりますが、通帳から自由に現金を引き出すことができたということなどを考えますと、やはり社会福祉協議会の管理体制に問題があったと認識をしています。
次に、社会福祉協議会の資金管理や支出システムについてどのようにとらえているかとの御質問でございますが、前回の特別監査におきまして、複数職員による内部牽制体制が健全に機能していなかったこと、また通帳、印鑑の保管体制が不適切であるなどの指摘をしておりまして、資金管理・支出システムなど会計処理全般に問題があったと考えております。
ただし、市が指摘をした事項につきましては是正改善計画が提出されておりまして、具体的には、総務課を経営企画課と会計監理室に分け、また会計と出納を分離したほか、通帳、印鑑の保管や使用方法の厳格化などは図られております。
次に、これまでの市の指導・監督はどのようなものであったかということでございますが、社会福祉協議会に対する指導・監査は、社会福祉法に基づき、2年に1回、一般監査を実施してまいりました。また、通常の一般監査のほかに、不祥事などが発生した場合には要綱により特別監査を実施することとしているため、前回の不正経理の報告を受け、平成23年1月から5月にかけまして特別監査を実施いたしました。その結果、社会福祉協議会に対しまして14項目の是正改善指導を行い、社会福祉協議会からは6月に是正改善計画が提出されました。6月以降は毎月1回、計画の履行状況を確認するために、確認監査を実施しているところでございます。
◯建設局長(山本吉郎君) 新東名高速道路全線開通に向けた今後の見通しについてお答えします。
新東名高速道路は、東は神奈川県海老名市の首都圏中央連絡自動車道、いわゆる圏央道とつながります海老名南ジャンクションから、西は愛知県豊田市の伊勢湾岸道路などとつながる豊田東ジャンクションまでの区間で、延長は255キロメートルであります。御案内のとおり、そのうち静岡県内の現東名との連絡路を含む162キロメートルの区間が本年4月14日の午後3時にいち早く開通いたします。
未完成区間の完成予定でございますが、本県東側の御殿場ジャンクションから海老名南ジャンクションまでの約53キロメートルの区間は平成28年度から平成32年度にかけて、また本件西側の浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクションまでの約55キロメートルの区間は平成26年度の完成とされております。
〔3番寺尾 昭君登壇〕
◯3番(寺尾 昭君) 私は、ここに今ありますけれども、社会福祉協議会が作成した22年度の事業報告書並びに各種会計収支決算書の中身を見させていただきました。一般会計、公益事業特別会計、訪問看護特別会計、こういう会計があるということで、単純な額でありますけれども、収入が33億4,150万円、支出額が34億2,730万円と、大変な額を扱っている、そういうことになっております。
先ほど細かいそれぞれの数字の報告がありましたけれども、また財産目録という欄があります。財産目録のところでは、90に近い預金口座と通帳があるということなんですね。ちょっとびっくりしたわけですけれども、また債券投資、定期預金というようなのもあって、その総額、先ほどちょっと報告がありました減価償却積立金などの分も含めますと、30億円を超えると。これもやっぱり60を超える定期預金等の口座を持っているという、大変な複雑な中身になっていて、これらを極めて少数、1人か何人か知りませんけれども、少数の人が通帳と印鑑を管理してしまっていたというようなことがこの犯罪の一つの温床になっていたということも言えるんじゃないかと思うんです。このような大変多額な、あるいは複雑な状況になっていて、結局そこに専門的にかかわっている職員でなければ、なかなか中身がわからないという、こういう扱いがされていたのではないかと思われます。
そこで、質問をいたしますが、今後、指導・監督という面で市はどのような対策を考えているのかということが第1です。
それから、市民は今度の事件には非常に怒っているし、あきれているということがあります。しかし、市民も社会福祉協議会にかかわっている方々、決して少なくありません。
◯副議長(井上恒弥君) 発言は、あと1分で終了してください。
◯3番(寺尾 昭君)(続) 現場で誠意を尽くしている関係者の、そういう意味では、失望もやはり小さくないと思うんです。各地区の社会福祉協議会で頑張っておられる活動の状況も知っていただくことも今後必要になるのではないかと思いますが、今、特に地区社協の活動などについて報告があれば、ぜひお願いしたいと思います。
そして、市民への説明責任をどのように果たしていくのか、ここも極めて重要だと思います。社会福祉法という法律があります。この中では社会福祉協議会に対する市の大変強い権限、場合によっては、役員の解職だとか、あるいは解散を命ずるというようなことまでできると言っています。今後の市の対応をお願いして、質問を終わります。
◯保健福祉子ども局長(酒井康之君) お答えいたします。
まず、市としての今後の対応でございますが、社会福祉協議会につきましては同時期に複数の職員による不正が行われていたことから、緊急事態ととらえまして、再発防止に向けた管理体制の見直しを直ちに指導するとともに、福祉総務課監査指導担当内に社会福祉協議会に対する指導を主業務とする職員を配置いたしました。今後につきましては、現在押収されている関係書類が返還された後、静岡地方検察庁の捜査の内容などを踏まえまして、文書保存期間である10年間につきまして全会計に関する通帳などを対象に速やかに特別監査を実施したいと考えております。
次に、市民への説明責任についてでございますが、今回の2度の事件の発生によりまして社会福祉協議会に対する信頼は大きく損なわれてしまいました。こうした状況のもとでは、社会福祉協議会自身が積極的に各地区に出向き、謝罪や説明を行うとともに、再建策を確実に推進することでしか市民の皆さんの信頼回復はなし得ないというふうに考えております。市といたしましても、地域福祉を推進する大きな役割を担っている社会福祉協議会の信頼回復が図られますよう、適切な指導とともに、できる限りの協力を行っていきたいと考えております。