◯31番(山本明久君) 私は、日本共産党市議団を代表いたしまして、市長から提案されている77件の議案のうち、以下の18件について反対の討論を行います。
議案第31号24年度一般会計予算から37号国保会計、42号介護保険会計、45号後期高齢者医療会計、48号下水道会計、57号定数条例の改正、61号手数料条例の改正、64号国保条例の改正、65号介護保険条例の改正、そして76、77、82、83、84号の各占用料条例の改正、80号駐車場条例の改正、81号動物園条例の改正、95号視聴覚教育施設条例の廃止、最後に、99号生涯学習交流館の指定管理者の指定についてです。
反対理由を主な4点にまとめて簡潔に述べていきます。
第1は、各保険料の大幅な値上げは市民を苦しめるものであり、絶対容認できないということです。
国民健康保険料につきましては、本市では11万の加入世帯のうち、所得100万円未満の世帯が53%を占めており、所得300万円未満では80%に及ぶなど、低所得世帯が多く、払える保険料にも限界があります。今でさえ払えない世帯が2万数千世帯もいるという状況にもかかわらず、ここに30%もの値上げがされたら、支払い能力と限度を超える保険料をどうやってやりくりできるんでしょうか。とてもできない。市長は、払えない市民を多く生み出し、その人たちに、衣食住を削って最低生活費に食い込んでも払えと求めるんでしょうか。これはとんでもないことです。
国民健康保険は社会保障だと、法律に明記されています。だれでも病気になったら医療を受けられる国保を崩壊させることになるのが、今回の大幅値上げです。値上げされた保険料を払えず苦しむ市民をどんどんつくり出すということは、住民福祉の増進を使命とする基礎自治体のあるべき姿からいって、絶対に容認できません。市は、引き下げる独自の努力をしながら、国にも制度改善を強く求めるべきです。
介護保険料につきましても、今回20%から30%もの大幅値上げです。多くの人は年金から天引きされます。国保料値上げ分とあわせて払うと、手元に残る年金では、生活保護費基準以下の生活を強いられる事態が多く高齢者世帯で生まれるおそれがあります。後期高齢者医療保険料も同様の事態を生む値上げとなっています。
これら暮らしを追い詰め苦しめる保険料の激変とも言える大幅値上げ案につきましては、撤回すべきです。
第2の反対理由は、市民サービスを削りながら、負担増を使用料、手数料などでも幅広く市民に押しつけていることです。
具体的には、まず、80歳、90歳の方の敬老祝い金の廃止です。これは、田辺市政が高齢者と市民に冷たいという端的なあらわれです。この祝い金というのは、長寿を祝いねぎらう、そういう気持ちをあらわすものです。それを五千数百万円経費をカットするという立場から切り捨てるものです。先ほど、国保料で見たような苦しむ市民をさらに追い詰めるというやり方とともに、祝う気持ちやねぎらいを切り捨てる、これが市長が言う世界に輝く静岡のやり方、姿でしょうか。市長が学んできた政治手法でしょうか。もしそうなら、そのやり方では静岡は輝かないし、未来はないと言えます。
また、障害者や高齢者の福祉サービス手数料や施設使用料の新たな負担増を弱者に強いる一方、子ども手当についても増税はしながら手当は削減するものになっていること、さらに日本平動物園駐車料金の値上げや、清水駅西口駐車場でも、利用率が低いとはいえ利用者が今もいるもとで強引にこれを廃止して、未利用地でもないのに、活用している土地でも売却して2億円以上確保する。そういう意味では、サービスカットと、これら多くのさまざまな市民負担増を強いるということは認めることはできません。
占用料につきましても、多くは大口の企業などの値上げですけれど、一部個人や自営業者、零細業者などの負担増が道路や準用河川流水、漁港、海岸保全区域などでもあり、これらの一般会計とともに関係する条例改正に反対いたします。
そのほかに、成人式の一体化という名で清水区の地域に根差した伝統的な方式をやめるということは、市民サービスと住民自治を削るということであり、同意できません。1つになるということ自体はいいことですけれど、そのために積み重ねられてきた取り組みをなくして予算もつけないということは別問題です。よさを生かす、地域の特色を生かすということが必要であり、そのために粘り強く慎重に検討を重ねることを求めたいと思います。
第3の反対理由は、民営化路線の推進や職員定数削減、教育施設の廃止など、公の責任の後退は認められないということです。
市長は、民間手法の新しい公共経営を取り入れるということを施政方針でも強調しました。この手法の本質は、市場競争にゆだねてコストカットをするというもので、これはもうけを追求する企業と、住民サービスを担い住民福祉を増進するという役割の基礎自治体を同一手法で扱っていくというものであって、こんなやり方はすべきではありませんし、既に小泉構造改革以来、この手法は破綻しています。基礎自治体の役割を強化して、無駄や不要不急の事業を見直し、市民が行政に期待するサービスをしっかり提供するという真の行政改革を今こそ進めるべきです。
この観点から言いますと、清水区の生涯学習交流館の指定管理につきましては、これは人件費削減をねらっていますけれど、これまで地域住民が築いてきた住民自治の拠点としての公民館機能や役割、また地域防災機能などを後退させるものであって、これは認めることができません。
清水文化会館のPFIにつきましても、建設から管理運営を企業体に丸投げするものであり、また、これまでPFIのメリットとして説明してきた初期投資が抑えられて負担が平準化するという点につきましても、今回膨大な合併特例債を一気に投入するということになっており、当初の説明とも違ってきています。
視聴覚センターの廃止につきましては、指定管理でも高くつき過ぎてうまくいかないからという理由のようですが、しかし、市民に提供している視聴覚センターをやめるということは、今、市民が求めているパソコン学習や映像コンテンツの利活用、これはこれからもっと市民に安く普及するという取り組みを強めるべきであって、その役割を担うセンターを廃止するということは、市民サービスの後退、社会教育機能の後退になるものであって、認めることができません。
職員定数につきましても、この間、どんどん削減されてきていますが、57号議案でも、これをさらに47人削減して──消防局は4人増員ですが、差し引き43人の削減ということです。
自治体職員は憲法を遵守して、全体の奉仕者として公的なサービスを担って、災害時は命を張って24時間懸命に活動するという防災力を担う役割というのが東日本大震災でも大いに発揮されました。これから増大する行政需要や市民サービス向上という要請に対して、専門的にあるいは総合的に組織を挙げて対応できる職員というのは市民全体の宝です。それをコストカットの立場から削るほどいい、こういうマネジメントというのは間違っています。ますます大きくなる基礎自治体の役割を担う職員の必要数を確保し強化していく、このことこそ今求められるものであって、これと逆行する職員削減は容認できません。
第4には、縮小すべき大型開発事業や支払う必要がない経費、廃止すべき事業経費などです。
具体的には、日本平山頂公園整備は、これまでも一貫して指摘していますけれど、基本的には手を加えてはいけないという名勝地の茶畑や自然を壊して大規模に開発して100億円もかけるという計画は縮小、見直しすべきです。そして、貴重な自然を生かすことで富士山の眺望も生かすという整備にしていくべきです。
また、国直轄道路事業負担金や清水港整備事業負担金は、本来、市に負担を求めるべきものではありません。市民から徴収する下水道受益者負担金も都市計画税との二重取りであり、やめるべきです。
さらに自衛官募集も、自治体が委託を受けて行うものではなく、国民保護計画経費についても、戦争が起きた場合の計画をつくって市民を動員するという役割を果たすものとして、憲法違反の計画は廃止すべきです。
以上、当初予算案と諸議案に含まれる市民と基礎自治体にとっての問題点を指摘し、反対理由を明確かつ具体的に示してきました。
日本共産党市議団は、これらの問題点を解決して、市民要望にこたえた提案を同時に進めながら、24年度も全力を挙げて取り組むことを表明して反対討論を終わります。