国民健康保険料の引き下げを求める請願について、賛成の立場で討論

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145◯4番(鈴木節子君) 私は、請願第2号国民健康保険料の引き下げを求める請願について、賛成の立場で討論を行います。

この請願は、1万6,513人の市民から寄せられた国保料を引き下げ、暮らしを守れという切実な声です。

最初に、本市の国保をめぐる実態について述べます。

合併以来、平成17年を除き毎年値上げを繰り返し、滞納実世帯は2万8,000世帯に膨らみ、滞納額は56億円、加入世帯の4世帯に1世帯が滞納せざるを得ないほど高過ぎる国保料が暮らしを圧迫し、払えない、払ったら暮らせないという実態はさらに深刻になっています。

収納率は、平成17年の91.62%から平成20年には88.47%と9割を切り、平成22年は88.59%と9割を下回ったまま、さらに来年度は大幅値上げにより86%と2.5ポイントも下降することが推測され、収納率低下による減収は5億3,000万円とも言われています。このままでは、収納率低下、国保財政悪化、値上げ、保険証取り上げ、暮らし破壊、また収納率低下、そして大幅値上げ、国保財政悪化と負の連鎖、悪循環から抜け出せず、国保制度の崩壊に突き進むだけです。

国保に加入しているのは、年金生活者、給与所得者、自営業者が大半を占めていますが、ここ数年、失業者や非正規労働者が大量に国保に流入し、また、不況による自営業者の倒産・廃業も加速し、所得300万以下は全体の84%を占め、滞納世帯の8割を所得300万未満が占めるなど、国保の貧困化が進んでいます。

こうした国保の構造的問題の解決のためには、国の果たす責任も問われています。1984年に国保法を改悪し、国庫負担を削減、その分を保険料負担として国民に転嫁し続けています。本市の場合、国庫支出は国保総会計の53%を占めていましたが、現在では23%に削減されたままです。

では、こうした国保の崩壊に突き進みながら、本市は実効ある対策をとってきたのか、問題点を指摘させていただきます。

1点目に、来年度3割もの大幅値上げ、そして、20億円増額の理由を、医療費が毎年4%増額し平成30年には430億の赤字が見込まれるためと言いますが、平成30年、これはどういう年か。国保の広域化、都道府県単位化を目指す節目の年でもあります。広域化のねらいは、収納率の向上、医療費適正策推進、そして、保険料引き上げにより一般会計からの繰り入れを全廃するというのが国の方針です。都道府県下の国保料を均一にするため、一般会計からの繰り入れは解消し、保険料値上げに転嫁せよというのがねらいです。

国保の財政難が深刻になった原因は国庫負担の減額であり、国の支援を削減したまま県下の国保を寄せ集めても、根本的な国保制度の解決にはつながらず、むしろ一般会計からの繰り入れがなくなることで、より国保料の高騰を繰り返すだけです。こうした国のねらいに乗じることこそ、改めるべきです。

2点目に、医療費が毎年4%ふえ続け、値上げしなければ赤字が膨らむと言いますが、増額の分析や減らす取り組みをせず、実効ある施策をとってこなかった責任は重大です。特定健診受診率は現在17.3%と、県下最低。政令市中最低レベルで、目標値65%に達しなければペナルティーを課せられる水準です。ようやく来年度は保健師を10名増員し、受診率を高める、自己負担もなくす、健診項目もふやすという方針を打ち出しました。

また、ジェネリック医薬品の普及・啓発もこれまで実施しておりません。何ら対策をとってこなかった原因はどこにあるのか、明らかにされておりません。特定健診受診率を上げることで、平成30年には医療費抑制の効果を19億円、ジェネリック使用による効果は4億5,000万と試算され、大きな効果が期待されています。値上げ押しつけの前に、保険者としての責任を果たし、医療費抑制策をとるべきです。これまで医療費抑制の手だてを何らとらず、その増額分をすべて国保加入者に負担を押しつけるのは、保険者としてやるべきことを行わず、本末転倒ではないかと申し上げます。

3点目に、滞納を理由にした保険証の取り上げ、そして、名目だけの減免制度など人権無視の国保行政の姿勢です。

滞納による資格証明書交付は1,900世帯、短期保険証は8,500世帯に広がり、保険証がないことによる受診抑制は深刻です。保険証がなければ受診する気力はなくなります。ますます健康を悪化させ、栄養も不十分なため、病気の慢性化、重篤化を招き、行政への不信感を増幅させるだけです。

来年度から、保険料の1割軽減を3年間に限り実施を開始しますが、これまでもともと低所得者は対象とせず、減免件数はたったの305件、額も1,300万円と、政令市中最低レベルです。

また、国保法第44条で規定された医療機関の窓口での医療費減免制度はあるものの、市民には知らされておりません。権利を行使できず、ほんの数件しか適用されていないのが実態です。医療費が高く受診できないという声は多数あり、せっかくある窓口負担減免制度を積極的に活用させ、医療費の心配なく受診できるよう保障すべきです。

4点目に、一般会計からの繰り入れについて。

来年度20億円の繰り入れは、合併時の激変緩和策と同額です。これまでの10億円ベースから倍加はしていますが、政令市と比較すると、今年度13億は1人当たり6,597円、政令市平均の半額、19市中下から4番目という水準で、20億円に増額しても1人1万200円、政令市平均の8割でしかありません。繰入額は低いまま、一方で国保料は政令市中2位と急激な値上げを押しつけるのは、市民の暮らしを支えるのではなく、絞り取ることしか追求しない冷たい仕打ちです。国保行政の抱える課題を放置し続け、来年度大半の世帯に3割値上げ、20億円という耐えがたい負担増を強行することがどういう結果を招くのか。今でも払えないと苦しむ市民の暮らしを追い詰め、はかり知れない苦難を強いることは明白です。

他市の来年度に向けた取り組みを紹介しますと、岡山市は保険料を5年間据え置き。理由は、介護保険料値上げと重なる国保料値上げは到底できないというものです。福岡市は、当局の値上げ案を国保運協が否決し据え置きに。堺市は、1人当たり保険料を1,712円引き下げる。京都市も305円引き下げる。大阪市は据え置きというものです。

本市は、医療費増額をすべて加入者に転嫁し、耐えがたい負担を押しつけ、保険者としてやるべきことを放棄しました。他市と比較して、この違いはどこから来るのでしょうか。

以上、本市の国保行政の問題点を指摘させていただきました。値上げ案が大幅値上げ、3割増に対し、請願の内容は1人1万円の引き下げと真っ向から相反する内容になっています。必要額の32億円は、財政調整基金を財源とすれば十分引き下げは可能ですし、その姿勢さえあれば実現は可能です。

国保は社会保障制度だということを堅持する、この姿勢があれば十分にできるはずです。本市には、この観点が抜けています。市民の暮らし・福祉最優先の立場で、値上げではなく、一たん国保料を払える額に引き下げることこそ自治体の本来の役割であり、住民福祉の増進、この立場が果たせることを申し上げまして、国保料の引き下げを求める請願に対する賛成討論といたします。