東日本大震災で発生した瓦れきの広域処理に関して本市にかかわる問題について質問

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152◯31番(山本明久君) 私は、東日本大震災で発生した瓦れきの広域処理に関して、本市にかかわる問題について、政府が責任ある対策をとるとともに、政府が市と力を合わせて市民の理解を広げる努力を尽くすべきだという立場で質問します。

市長は、先日本格受け入れを表明しましたが、客観的に市民合意が得られているというもとですべきでした。これから市民の合意形成をしていくという前ですから、これはちょっと拙速だったと思います。

この件では、市民的な議論があって民意は分かれています。不安や懸念の声が多くあって、私たちのところにも賛否両論寄せられています。日本共産党市議団としても6月初めに被災地を視察し、瓦れきの放射線量もみずから測定して慎重に検討をしています。大槌町で職員から、瓦れきの一時仮置き場が17カ所、まだ処理が5%ほどであり、昨年10月に野積みの瓦れきで火災が起きたことなども聞き、あるいは臨時雇用で働いている住民からも復興のために協力してほしいという切実な声も聞いてきました。大槌町での4ヘクタールの二次仮置き場、これは津波前は農地だったそうです。山田町での22ヘクタールもの広大な敷地、これも国定公園だったそうですが、騒音とほこりの中での過酷な手作業による選別などの現地処理の現状も見てきました。岩手では、今も海からの引き揚げで瓦れき量がふえており、これから都市計画が進んでいけば、手がつかずにある家の基礎、コンクリートですね、これが膨大な量でこれから加わってくると思われます。

そうしたことから、被災地の復興支援のために少しでも早く瓦れきを処理することが本当に切実に求められているという実感を持ちました。

また、本市に試験焼却で運ばれる予定の直前の木材チップも、大槌町で確認しましたけれど、よりすぐった燃料だという感じでした。

そして、問題の放射能の影響をどう判断するかという点につきましては、この間、原発の運転や福島事故で全国に散っていますから、ゼロリスクというのは無理ですけれど、現実的にはできるだけ低い線量で、これなら我慢できるかなというところをどう評価するかだと思います。一般的には年間追加被曝1ミリシーベルトというのが言われています。可能な限り低いほうがいいというのは当然だと思います。

静岡市内に運ばれる予定の山積みされた木材チップの上において3種類の測定器ではかってみると、おおむねどれも毎時0.06から0.09マイクロシーベルト、これは年換算で1ミリシーベルトの半分程度ということですから、市が直接向こうではかってきた数値とほぼ同じです。

そして、この数値そのものは、昨年7月から8月にかけて当市議団が静岡市内各地の公園や保育園、市庁舎玄関などで測定した数値である毎時0.04から0.14とほぼ同じレベルになっています。

大槌町ではかった測定器で先週市役所本館の表玄関の地表面ではかってみると、平均0.09、裏庭入り口では平均0.10ということで、基本的には変わらないと。静岡県が大震災前から葵区北安東ではかっているデータというのは、これは地表から3メートル地点ですけれど、空間線量で震災前で0.03程度、震災後で0.08、今0.03程度ですから、こうしてみると放射線量の影響というのは、岩手の瓦れきの上でも静岡市内でも基本的には同じレベルだというふうにいえると思います。

このことを踏まえて、1点目は本市が試験焼却する岩手県の瓦れきを低いレベルの放射性廃棄物でなくて、災害廃棄物と規定している根拠を示していただきたい。

2点目は、市が放射能の影響について、不安や懸念を持っている背景として、政府がこの間の原発事故の真実を国民に十分説明せず、対策も十分とっていないことにあると思われますけれど、この説明責任は根本的には政府にあるのではないか、市の認識をお聞かせいただきたい。

3点目は、市は本格受け入れに当たって、瓦れきの安全性などについて住民合意が得られたという判断基準をどのように考えているのか、示していただきたい。

以上、1回目です。

 

 

◯副市長(清水喜代志君) 私からは、本格受け入れに当たり、災害廃棄物の安全性など住民合意の判断基準をどのように考えているかについてお答えいたします。

試験焼却が終了し、放射能に関するすべてのデータが安全なレベルにあることを確認いたしました。受け入れに当たって安全であるかの判断は、本市が試験焼却の際に実施した放射能に関する検査の測定結果により、受け入れる災害廃棄物は、通常の廃棄物と何ら変わらず安全であったこと、また、処理施設の周辺住民の皆さんに試験焼却時の測定立ち会いをお願いし、災害廃棄物の焼却灰等の空間放射線量率をみずから測定していただくなど、災害廃棄物の安全性を御自分で確認していただいたことなどにより、住民合意がなされたものと考えております。

ここに至るまで議員各位に御理解、御支援をいただいてまいりましたが、これからいよいよ本格受け入れの作業を進めてまいります。議員各位を初め関係者の皆様から引き続き御理解、御協力をいただければと思っております。

以上です。

 

 

◯環境局長(杉山浩敏君) 2点の御質問にお答え申し上げます。

まず、災害廃棄物が放射性廃棄物でない根拠でございます。

災害廃棄物は、放射能濃度が1キログラム当たり8,000ベクレル以下であれば廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定を受ける廃棄物とされております。また、静岡県の災害廃棄物受け入れ基準では、放射能濃度が1キログラム当たり100ベクレル以下の廃棄物としています。

次でございますが、災害廃棄物に含まれる放射能に関する不安等についての政府の責任説明についてでございます。

放射能に対する不安や懸念の解消に関する説明責任は、第一義的には国にあるものと認識をしております。

以上でございます。

 

 

◯31番(山本明久君) 2回目です。

瓦れきに低いレベルで放射性物質が含まれているというのは非常に悩ましい問題で、やっぱりこれはデータで検証していかなければいけないと思います。大槌町から静岡市に持ってくるチップはキロ当たり11から16ベクレル程度ということで、私も大槌町で測定した際は、ゼロから60ベクレルという程度で、基本的にはそんなに心配する数字ではないというふうに思います。ただ、環境省や本市でも100ベクレルなら、これは事故前から一般廃棄物と同様に処理できるということですけれども、しかし、意見としては、原発では100ベクレルでもドラム缶に入れて管理しているということがあるから、意見としてはいろいろあるわけですね。私はこの際判断するには、やっぱり通常の本市で処理しているレベルならいいんじゃないかという判断はしています。

しかし、少し含まれていることについては、意見が分かれるところですが、「放射能から身を守る本」という著者である立命館大学の安斎育郎さんがこういうふうに言っているんですね。過度に恐れず、事態をあなどらず理性的に怖がることが大事だと、この立場でいいんじゃないかというふうに思います。

ただ、焼却溶融飛灰8,000ベクレルということについては、政府はそれ以下なら対策をとらないということですから、ここに心配があるわけですね。これも専門家の中で意見が分かれていますが、答弁を聞いていると全くそういうところの議論はしようとしない、合意を得られているという判断ですから、それが問題だというふうに言いたいわけです。

その点で幾つかお聞きしていきます。当局が合意が得られているというのはきわめて不十分だという立場から聞いていきますけれど、住民合意を得るという場合には、やはり各区、各地で説明会を行って、質疑時間もとって、やはり双方向のやり取りをして認識を深める必要があると思いますがどうか。

具体的な懸念される問題については、今後排ガスに含まれる放射性物質濃度の問題や最終処分場周辺の空間線量率などのデータも仮に低い場合でもしっかり専門家による判断をして住民に理解を得ることが大事だと思いますが、この点についてはどう考えるか。

また、先ほども言いましたが、政府がこれまで原発の事故のデータ、拡散データも知らせずに住民の説明もせずに広域処理の受け入れは自治体任せというような態度がやはり国民の不信を増嵩させている根本にあるというふうに思いますから、いろいろ住民の不安があるというなら、広域処理に協力を得るために政府みずからが説明責任があるというふうに市も言っている以上、みずから本市なら本市に出向いて市民の合意を得るという努力を政府自身がすべきではないか、そのように市が求めるべきではないか、この点はどう考えるか。

そして、瓦れきの試験焼却で周辺住民の不安というのが生まれて、また、農産物に対する風評被害の心配も実際はされています。埋め立てるという場合でも同様の心配がありますから、これから本格受け入れをするという状況のもとで、こうした風評被害の実態や生産者による放射能検査を自費負担で強いられている実態についてはどのように把握しているのかお聞かせいただいて、2回目を終わります。

 

 

◯環境局長(杉山浩敏君) 4点にわたります御質問にお答えをさせていただきます。

まず1点目でございますが、放射能濃度基準に対します不安などを持つ市民にどのように説明していくのかということでございますが、7月に実施を予定しております市民説明会、市ホームページ、広報紙などにより丁寧な説明に努めていきたいというふうに考えております。

次でございますが、丁寧な住民説明会をするよう努力してほしいがどう考えるかということでございます。

これまで災害廃棄物の安全性と広域処理の必要性につきましては、施設周辺住民の皆さんへの説明や試験焼却の実施などにより確認をしていただいているところでございます。7月には市民説明会を2回開催してまいります。

次でございます。放射能関係の測定結果について、専門家の判断はどうかということでございますが、試験焼却実施時の測定結果によりますと、放射能濃度や空間放射線量率が通常焼却時と試験焼却時において差異がなく、災害廃棄物と本市の廃棄物は何ら変わらないものと考えております。したがいまして、専門家による判断は考えておりません。

次でございますが、国の受け入れ自治体での説明責任、説明の必要性ということでございます。

平成23年11月23日付、国からの通知、東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理の促進についてにおきまして、受け入れ自治体が実施する説明会への有識者や職員の派遣について示されています。今後、本市の災害廃棄物受け入れの動きに合わせまして、必要でありますれば、説明会等に国からの派遣を求めることも検討してまいります。

以上でございます。

 

 

◯経済局長(大場知明君) 焼却埋め立て周辺地域での農産物への風評被害の状況、生産者による放射能検査についてお答えいたします。

まず、焼却埋め立て周辺地域の農家の皆さんやJA等農業関係者への聞き取りを行いましたが、災害瓦れきの広域処理に伴う農産物への風評被害は、確認されておりません。

また、生産者による放射能検査につきましては、清掃工場周辺の測定値が自然界から受ける放射線量率の範囲内であり、風評被害が発生してないことから、実施しないと聞いております。

以上でございます。

〔31番山本明久君登壇〕

 

 

◯31番(山本明久君) 低レベルの放射線の影響というのは、放射線防護学では、確率的影響というふうに、厳しくなったけれども、暫定規制値食品の場合、その範囲で食べた場合、200万人に1人影響が出るかどうかという程度だと言われています。それを容認するレベルかどうかということですけれど、問題になっているその8,000ベクレル以下ということでいけば、仮に焼却容認する100ベクレルで33倍濃縮ということになれば3,300でいいわけですよね。関西広域連合は2,000ベクレルと、この前話が出ましたが、100ベクレルというところもあると、だからここは非常に厳しく見ていったほうがいいと思います。

焼却用飛灰の場合、通常ごみと同じレベルで、この前大槌町のをはかったら、165から230ベクレル程度という発表がされていますから、これ自体大きな問題はないと思いますが、しかし、できるだけ厳しく低いレベルでという議論はやっぱり必要だというふうに思います。

一方、広域処理で焼却された焼却用飛灰の最終処分をどうするかという問題も、これはやっぱり住民だけでなく、自治体もどれぐらい負担がくるのかという心配、懸念材料であると思います。最終処分場がある場合でも受け入れた場合は、やっぱり延命期間の問題もありますから、政府については受け入れる場合、自治体の負担を軽減せよということで、この点は責任を持って国が対応せよということを求めるべきだと思いますが、どうするつもりか、お答えいただきたい。

実際周辺の生産者というのは、消費者から数値を求められれば1項目につき何千円で自己負担して検査して、不検出ということで安心して出荷できるという負担がやっぱり強いられていると。仮にそういう負担についてもこれからもし起こる場合でも、市としても断固として東電に請求を一緒に行うような対応をしていただきたいというふうに思います。

この点どういうふうに積極的に市がするかどうかという点について考えを述べていただきたい。

今、答弁にもありましたように、周辺、数値が低いから風評被害が出てないという話なんですけれど、そういう理屈というのは、環境省がそう言っているわけですが、そういうことではなくて、放射能への心配というのは、仮に数値が低くてもやっぱり出る問題してとらえるべきだというふうに思います。この点の考えをしっかりと示しておいていただきたいと思います。

広域処理を受け入れる自治体の負担を減らすという場合に、やはり被災地での処理をできるだけ早く進むように国が全力で取り組むことが今本当に切実に求められていると思います。これは市の当局と同じ立場だと思います。その一つに今注目されているのが森の防波堤ですね。これは放射線量、塩害物質を取り除いた瓦れきを資源として再利用するというものですけれど、瓦れきの上に盛り土をして木を植えると、その土地古来にあった常緑樹を植えると、根が深く張るから防波堤の役割をして、仮に津波の際はその力を弱め、引き波のときは……

 

 

◯副議長(田中敬五君) あと1分で終了してください。

 

 

◯31番(山本明久君)(続) 食いとめるという一石二鳥の役割だというふうに言われています。これを提唱している横浜国大の宮脇 昭氏によると、1平米に違う種類の木を3本植えるというのがいいそうで、私も大槌町で公明党の皆さんと一緒に見てきました。

ですから、政府が全力で早期処理を進めて、被災地のまちづくりが1日でも早く進むようにして、瓦れきの広域処理を受け入れる自治体の住民の合意形成にもあらゆる対策をとるべきだと、市長も市民合意の形成という点では明確に進めようとしていません。しかし、市民多数の理解と合意を得ることがこの問題では非常に大事だということを指摘して、質問を終わります。

 

 

◯環境局長(杉山浩敏君) 2点の御質問に対しましてお答え申し上げます。

1点目でございますが、災害廃棄物の最終処分は、国が対応すべきではないかということでございますが、災害廃棄物の広域処理につきまして、静岡県市長会、町村会合同会議での検討段階から、焼却灰の最終処分について国での対応を要望しているところです。国からは最終処分場の受け入れが円滑に進むよう責任を持って努力する、県からは国への働きかけとともに、受け入れ可能な処分場を探すとの回答を得ているところでございます。

次に、風評被害が発生した場合の対応でございますけれども、風評被害の対応につきましては、国に対しまして要望した結果、風評被害の発生した自治体と協議し、国として責任を持って風評被害を回復するための可能な対策を講じるとの回答を得ているところでございます。風評被害が発生した場合、これに基づき国と協議を進めていくことになります。

以上でございます。