◯4番(鈴木節子君) 私は日本共産党市議団を代表して、教育への公的支出増加を求める意見書の提案理由を述べさせていただきます。
先ごろ発表された経済協力開発機構(OECD)加盟国の調査によりますと、日本の国内総生産に占める教育機関への公的支出割合は最下位であることが判明いたしました。教育をめぐる日本の環境の劣悪さが浮き彫りになっています。
調査によりますと、2009年の公的支出割合は3.6%で、OECD平均の5.4%を下回り、比較できる加盟国31カ国中3年連続最下位という不名誉な状況が続いています。
大学教育の分野では公的支出が少ないために、日本の大学の学費の大部分が家計からの支出によって賄われています。日本の国公立大学の学費は年平均4,602ドル、アメリカ、韓国、イギリスに次いで4番目に高い額です。公的奨学金の受給は、アメリカは返済の必要のない給付型奨学金や貸与など、65%の学生が何らかの形で給付を受けていますが、これに対し、日本はいかなる財政支援も受けられない学生は67%に上り、高い学費に対し奨学金が貧弱なため、志のある若者が大学に行かれない状況を生み出しています。
学級規模について、日本の平均学級規模は小学校1クラス28人に対しOECDは21.2人、中学校は日本は32.9人に対しOECDは23.4人と加盟国の中で2番目に多い詰め込み状態です。1人の教員が受け持つ子供の数が多く、目が行き届きにくいという点で、教育環境は最低レベルです。
教員の労働時間もOECD平均より年間200時間も長く、実質給与もほとんどの国が上昇しているのに対し、日本は9%もの減額で、優秀な教師を確保する際の課題となっていると指摘されているほどです。以上のように、公的支出が少ないために、劣悪な日本の教育環境が浮き彫りになっています。
内閣の調査によりますと、子供を持つ上での国民の意見は、不安のトップはどの世代も経済負担の増加を挙げています。
各国は教育は未来への投資であり、子供たちが安全に生きていくために不可欠なものと位置づけ、教育への支出をふやしています。
今こそ日本も教育の家計負担を軽減し、豊かな教育を保障することは広範な国民からの切なる要望で、教育への公的支出を増額することが喫緊の課題となっています。
今、貧困と格差が叫ばれる中、経済事情によって必要な教育が受けられないことのないよう、すべての子供、若者に等しく豊かな教育を保障するのは国の責務です。
先日、京都大学の山中教授がノーベル生理学・医学賞を受賞し、日本中がこのニュースに沸き立ちました。山中教授が野田首相を表敬訪問し、語った言葉は、国の研究費支援では研究員として正規の職員が雇えず、一生懸命努力している研究員の生活を保障することもできずつらい。政府からの予算で研究所職員を正規雇用できる仕組みづくりが求められていると痛切に語っています。
この言葉が端的に指摘しているように、国の姿勢が今こそ問われています。教育への公的支出を増加するよう、必要な実効ある手だてを求める意見書に異論を唱えることは、もはや理由が成り立たず、市民や国民に対して合理性のある説明が必要となります。
議員の皆様の聡明な御判断を期待し、教育への公的支出の増加を求める意見書提出にぜひとも御賛同されますようにお願いいたしまして、お願いというよりは、これは宣言ですけれども、提案の趣旨説明といたします。
以上です。