私は、負担軽減を求める多くの市民の声にこたえて、2つのテーマで質問します。
当市議団が実施した、暮らしに関する市民アンケートでは、市内に10万枚配布したうち1,300通の回答がありましたが、回答いただいた年代は20代から70代まで、おおむね10数%から20数%の分布で、偏らず年代を反映したものになっています。そのうち74%、4人に3人が暮らしが苦しくなったと答えており、その要因として給与、年金、売り上げの減少などで収入が減ったという方が74%、税金、保険料、医療、介護の負担増という方が87%となっています。こうした中で、市政に望むこととして一番多かったのが、津波地震対策で61%の方、次に多かったのが、介護保険料の軽減で50%の方が求めています。国政の問題では、消費税増税はやめてほしいというのは59%ありました。
そうしたことから、第1は、介護保険の負担軽減についてです。
ことし保険料が2割値上がりになって、年金が減っているのに天引きされる保険料がふえて、生活費が削られて苦しんでいます。
まず、本市の介護保険条例第23条では、保険料の減免は申請できますが、これがどれぐらいの人に活用されているのか、件数と減免額の実績を条例各号ごとに明らかにしていただきたいと思います。
また、保険料が払えない場合は、条例第22条で徴収猶予を申請できますが、この実績についても示してください。
さらに、1年以上保険料を滞納している方の人数と滞納者に対するサービス給付の制限という措置件数、差し押さえがあれば、その件数についても内容と同時に明らかにしていただきながら、保険料負担が増大して生活が苦しくなっているもとでの、これらの使われ方、実績についての市の評価もお聞かせいただきたいと思います。
もう1点、利用者の負担軽減についてです。
所得階層別の要介護出現率を見ると、低所得層ほど高くなっています。現在の計画のもとになった実態調査でも、サービスを受けたら年金がマイナスになったという声が寄せられています。ですから、市の負担軽減事業の各事業ごとの申請件数と、その使われ方、評価についてもお聞かせいただきたいと思います。
もう1つの負担軽減は、教育費の保護者負担についてです。
今回、特に就学援助において、2010年度から国において新たに支給対象となり、一般財源化されたクラブ活動費、PTA会費、生徒会費のいわゆる新3項目が、本市においては実施されていないことについて問いただすものです。
今、経済格差が教育格差に広がり、子供の発達権、学習権が脅かされているという社会的な問題が深刻化しています。全国でも、この新3項目の支給を実施している自治体と実施していない自治体の違いが生まれていますけれど、本市の教育委員会として、国においてこの新3項目が支給対象になったことについては、まず、どういう認識でいるのかということをお聞かせいただきたいと思います。
以上、1回目です。
◯保健福祉子ども局長(小野田 清君) 介護保険の何点かの御質問にお答えいたします。
介護保険料の減免の申請と徴収猶予についての件数、額の実績、1年以上の保険料滞納者数と滞納者への措置件数、内容、それらの評価との御質問でございます。
平成23年度における減免件数は146件であります。内訳は、静岡市介護保険条例第23条第1号の災害等の損害によるものが2件、額は1万3,500円、第3号の失業、倒産等の損害によるものが2件、7万1,100円、第5号の低所得者減免によるものが142件、189万6,300円であります。徴収猶予の該当はありません。
また、1年以上の保険料滞納者は904人で、うち預貯金の差し押さえを行った方が3人、償還払いを行った方が19人、給付制限を行った方が39人おります。これらにつきましては、平成22年度と比べますと減免件数、差し押さえ人数はほぼ同様ですが、償還払い、給付制限の人数は若干増加しております。
次に、利用者負担軽減の各申請件数とその評価についてお答えいたします。
利用者の負担軽減に対する事業は5つあります。
1つ目は、高額介護サービス費等の支給で、平成23年度は7万5,000件余の申請があり、7億1,000万円余の支給を行っています。
2つ目は、高額医療費合算介護サービス費等の支給で、平成23年度は3,500件余の申請があり、9,400万円余の支給を行っています。
3つ目は、施設入所等の食費及び居住費の自己負担額の軽減で、平成23年度は5,700人余の対象者が利用した法人に対して15億円余の支給を行っています。
4つ目は、社会福祉法人により提供されるサービス利用料の軽減で、平成23年度は対象者994人が利用した法人に対して4,100万円余の補助金を交付しています。
5つ目は、市独自の減免制度として利用した居宅サービスの自己負担額の一部を助成するもので、平成23年度は対象者61人に200万円余を支給しています。
いずれも対象者には勧奨を行い、そのほとんどの方が申請し、支給しており、例年と同様の状況でございます。
以上でございます。
◯教育次長(望月和義君) 国が新3項目を支給対象にしたことについてですけれども、平成21年7月の教育安心社会の実現に関する懇談会報告により、就学援助の対象範囲の拡大が示されました。これを受けまして、先ほど議員御指摘のとおり、平成22年4月から対象項目にクラブ活動費、生徒会費、PTA会費が追加されたところでございます。
これら新3項目が支給対象となりましたことは、保護者の経済的負担の軽減の観点からは有意義であると考えております。
〔31番山本明久君登壇〕
◯31番(山本明久君) まず、介護保険の負担軽減についてです。
本市の1号被保険者は18万2,000人ということになっていますけれども、保険料の申請減免件数というのは、今、答弁にありましたように146件と、ごくわずかですね。きのうあった少ない国保の減免申請より、さらに少ないということです。
条例の減免申請というのは、1項で公私の扶助を受けていれば可能です。公の扶助は就学援助等ですけれども、私の扶助というのは、例えば身内から仕送りを受けている場合、国会答弁などではそれも対象になっているということですが、これらもほとんど申請がされていないと思われます。
3項の特別の理由については、生活保護基準以下の人も恐らく多くは申請減免を活用していない、実態としてはそういうことだと思われます。介護保険の場合、国保もそうですが、年金からの天引きが、申請そのものをあきらめさせてはいないでしょうか。もし、そうだとしたら、先ほど答弁にありましたが、利用者の減免というのはかなり活用されているという、周知して、通知してやっているわけですね。ところが、保険料の申請減免というのは、そうなっていない。恐らく当局の取り組みの差が大きく申請件数、活用にあらわれているんじゃないかと思うんですね。
保険料を払えない人が申請する徴収猶予についても、これはゼロですね。私、以前の議会で税についても徴収猶予を聞きましたけど、ほとんど活用されていないんです。払えなくなった場合、猶予してもらうというのは市民の権利ですが、これがゼロ、活用されていない。しかし、先ほども少し紹介しましたが、現在の事業計画策定の際の実態調査では、保険料に関する意見のほとんどが負担軽減を求めるものです。天引きは滞納を生ませないという仕組みなんですが、保険料12段階のうち、下から第4段階の保険料というのは年額4万5,000円なんですが、この段階以下の層、つまり本人と世帯全員が市民税非課税という人数、恐らく実態としてはかなりいるんじゃないかと思いますが、この実態について明らかにしていただきたい。なぜかといいますと、この層というのは非課税ですから、税金をかけてはいけない。市民税が非課税という人にもかかわらず、保険料徴収で生活費に食い込んでいる実態を持つ人ですね。明らかにしていただきたい。
この介護保険制度が始まって、自治体が行っている保険料の減免に関して、厚労省が、やってはならない3つの原則をずっと示してきているんですね。1つ目は、保険料の全額免除。2つ目は、収入のみに着目した一律の減免。3つ目は、保険料減免分に対する一般会計からの繰り入れ、これはだめだと、不適切だという表現になっています。
これは自治体の減免を大きく縛っているんじゃないかと思われますけれど、これに対して、私は国会答弁などでも、法的義務、拘束力はないものだと判断しています。つまり減免は自治体の裁量でできるものだと考えますけれども、市はどのように考えているのか、示していただきたいと思います。
利用料の負担軽減についても、実態調査の市民意見では、利用料軽減を求める声というのは非常に多くあります。確かに今の制度でも、ほとんど使われていますけれども、さらに利用料軽減を求める声というのは非常に多いわけです。また同時に、社会福祉法人が減免した場合の持ち出し分に対する補助、助成についても、この間、国はかなり大幅に削っていますから、これ自身はもっとふやして、市もふやして軽減を拡充していく必要があると考えています。
次に、就学援助の新3項目の実施を求める件ですけれども、負担軽減の観点からは非常に有意義だという考えが示されました。当然国もそういうことで支給対象に入れ込んだと、にもかかわらず市は実施していないというのは、やはり理由があると思われます。ですから、この間、実施に向けてどのように検討がされて、実施しない理由というのは具体的にはどのようなものなのか、本会議ではっきり示しておいていただきたいし、これからどういうふうにしていくのか、どう検討していくのかということについても、しっかり答弁しておいていただきたいと思います。
以上、2回目です。
◯保健福祉子ども局長(小野田 清君) 介護保険の2点の質問にお答えいたします。
保険料第4段階以下層の世帯数はどのようになっているかにお答えいたします。
平成23年度の非課税世帯である介護保険料第4段階以下に該当する方は7万8,243人で、被保険者全体の43.7%に当たります。
次に、保険料減免について厚労省の3原則が法的義務を有しないと考えるがどうかとの御質問でございます。
保険料減免の3原則については、世代間、高齢者間の不公平さをなくすために示されたものであり、法的義務はありませんが、従うべきものと考えております。
◯教育次長(望月和義君) 新3項目の支給についてですが、要保護世帯につきましては生活保護費として支給しております。しかしながら、準要保護世帯につきましては、現在支給しておりません。
本市の就学援助認定者数は増加傾向にございまして、財政的な負担が増加しているため、準要保護世帯への新3項目の支給につきましては、今後、国の動向や他の政令指定都市の状況等を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
〔31番山本明久君登壇〕
◯31番(山本明久君) 介護保険の負担軽減です。
本人と世帯全員が市民税非課税という方が7万人を超え、全体の43%以上ということになります。保険料の場合、その上の5段階、6段階も本人市民税非課税の方なんですね。ここが保険料の基準になっているということ自体が大きな問題ですけれども、本人市民税非課税という場合、前年所得31万5,000円ですから、年金収入でいけば約150万、これもほとんど、生活保護基準という方たちなんですね。特に問題なのは、この4段階以下のうち保険料第2段階の人というのは、年金収入が年間80万円以下の方なんですね。しかし、こういう人たちも減免申請というのはほとんどやっていないわけですね。保険料は、もう向こう3年決まりましたから、こういう苦しんでいる人が天引きされるということに対しては、やはり減免をしっかり拡充する。負担を軽減するということが必要になってきます。
そこで、本市の独自減免の対象として介護保険のパンフでも紹介しているんですが、生活状況が生活保護基準以下で、保険料の納付が困難であると認められた場合には申請してくださいよという一文があります。しかし、これが活用されていないということは、自分がその基準以下なのかどうかという判断材料が示されていないということが、やはりあるんじゃないかと。ですから、しっかり申請できるかどうか目安を示して、わかりやすい内容にして、減免申請できるということを周知すると、改善する必要があると思いますが、どうか。
もう1つ、この生活保護基準以下をもう少し引き上げて、第2段階、第3段階、第4段階の人たちにもやはり独自減免として拡充する必要があるんじゃないかと思いますが、これらについての考えもお聞きしておきます。
市の場合、今の事業計画でも低所得者層の負担、能力に応じた配慮が必要という、実態調査から当然そういうのは出されているわけです。しかし、具体策としては保険料の大幅増にならないような対策しかとっていないわけですね。今、大幅な負担減が求められているわけです。制度設計が生活保護世帯からも徴収するという過酷なものですから、低所得者層が苦しんでいるときに独自減免というのは、やはりどうしても拡充が必要じゃないかと思いますが、どう考えるのか。
その厚労省の減免3基準ですが、法的義務はないけれども、従う義務はあるかのような答弁でした。これはもう少しやるべきことはやるという自治体の判断力をしっかり発揮していただきたいと思うんです。
◯議長(石上顕太郎君) あと1分で終了してください。
◯31番(山本明久君)(続) 生活保護基準以下の人というのは、当然、全額免除すべきだと思いますし、一般会計からの繰り出しということもやはり必要です。国は、保険料の値上げを抑えるという点で、もう既に一般財源を投入していますから、3原則はだめだというのをみずから崩しているわけですね。自治体は従う必要ありません。自治体の判断でできるわけですから、今、年金が下がって、特別徴収の保険料がふえて大変という方には、やっぱり3原則にとらわれずにですね、独自減免の拡大に取り組むことがやはりどうしても必要だと。今の介護保険は、サービスを受けたければ保険料が上がる。保険料を上げたくなければサービス抑制をという根本矛盾を持っていますけれども、やっぱりこういうところを改善しながら、しっかり国にも負担増を求めながら一般会計でも応援するという必要があります。
以上です。
◯保健福祉子ども局長(小野田 清君) 保険料の減免対象を拡大する考えと、生活保護基準以下層の収入の目安を示すなど申請をわかりやすい内容に改善し、周知する考えはどうかとの御質問でございます。
本市の独自減免は、本人や世帯の収入金額と生活保護における基準生活費との比較で算定しているため、低所得者に配慮したものであります。したがいまして、さらなる対象の拡大は考えておりません。
減免の周知につきましては、現在、納入通知書、ホームページ、パンフレット等に説明文を掲載しておりますが、今後は、さらにわかりやすい内容に改善していきたいと考えております。
次に、年金が削減される一方、特別徴収保険料が増大するという状況のもとで3原則にとらわれない独自減免の考えはどうかとの御質問でございますが、さきにお答えしたとおり、保険料減免の3原則は従うべきものと考えておりまして、新たな独自減免制度を実施する予定はございません。