静岡市産業経済振興基本条例案 08.7.4
日本共産党静岡市議団
静岡市は市域の約8割を山間部が占めるとともに、駿河湾に面した自然条件を有している。そのもとで、豊かな自然条件を生かした農林水産業、江戸時代以来の伝統的な地場産業、商業、港湾機能を生かした製造・流通業などを中心に地域産業が構成されており、その担い手の多くは自営、零細・中小事業者である。
現在、静岡市の地域経済は、経済の国際化や少子高齢社会という経済社会環境の変化のもとで、厳しい状況が続いており、市民生活にも大きな影響をもたらしている。
静岡市の地域経済の振興を図るうえで、地域の豊かな自然と地域資源の特性を生かした産業振興が重要であることから、地域産業経済振興の基本理念を明らかにするとともに、効果的な計画や諸施策の新たな展開が求められている。
このようなことから、事業者の自主的な産業活動を大いにすすめることを基本に、市民の理解と協力のもと本市の責務を明らかにし、地域産業経済の振興に資するために、この条例を制定する。
(目的)
1条 この条例は、本市における産業経済の振興を図るための基本理念と基本方針を明らかにするとともに、事業者の努力や市民の理解と協力、市の責務等基本となる事項を定めることにより、地域産業経済の健全な発展、豊かで住みよいまちづくりと市民生活向上に寄与することを目的とする。
(定義)
2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 産業 農林水産業並びに中小企業基本法第2条第1項に規定する規模及び業種に該当する工業及び商業をいう。
(2) 事業者 市内において産業を営む者をいう。
(基本理念)
3条 第一条の目的を達成するため、市民、事業者は創意工夫と自主的努力を発揮し、市は地域産業経済の振興のために、効果的な施策を国、県その他機関と連携を図りながら積極的に推進し取り組むことを基本とする。
(基本方針)
4条 産業経済振興のための基本方針は次のとおりとする。
(1) 農林水産業においては、その多面的な機能が発揮でき、かつ持続できる経営のために支援をする。地産地消をすすめ地域の食生活、食文化の向上に貢献できるようにする。
(2) 商業においては、商店街の果たす公共的な役割を重視して、地域内消費がすすむようにする。大型店は地域において商店街との共存共栄に配慮する。
(3) 中小商工業事業者は地域の産業経済を担う主役である。地域における仕事おこし、まちおこしで雇用や消費の拡大をすすめる。そのために公共事業や官公需においても地元事業者の仕事づくりに配慮する。経営基盤を強化する支援をする。
(4) 地場産業においては、地域の生活文化を支えている役割から、持続できる経営のために後継者育成、販路拡大などにとりくむ。
(5) 観光においては、地域資源を掘り起こすとともに豊かな自然環境と調和し、地域産業の振興に役立つよう配慮する。
(6) 中山間地においては、持続可能な地域づくりのため、くらしや産業の振興をはかる。
(7) 港湾物流においては、周辺の生活環境に配慮し、広く中小業者の仕事確保に努める。
(8) 創業及び新産業の創出に積極的にとりくむ。
(9) すべての産業において、雇用の促進に努める。
(市の責務)
5条 市は、産業経済振興にたいする基本理念と基本方針に基づき、効果的な諸施策を展開し積極的にとりくむ。
そのために、基本計画を定め、その推進を図るとともに、必要な財政上の措置を講ずるよう努める。
(事業者の努力)
6条 事業者は、地域における生産、雇用、消費等を担っており、産業活動を行うにあたっては経営基盤の強化と、従業員の雇用確保と人材育成、福利厚生の充実のために自主的に努力するとともに、市や国など行政機関等と協力して地域環境と調和のとれたまちづくりにとりくむよう努力する。
(市民の理解と協力)
7条 市民は、地域産業経済の振興が生活向上やまちづくりに寄与することを理解し、諸施策に協力することに努める。
(産業経済振興会議)
8条 市長の付属機関として産業経済振興会議(以下「振興会議」という)を設置する。市長の諮問に応じて、調査、審議する。中小商工業振興対策部会と農林水産業振興対策部会を設置する。
(1) 振興会議は、市長の委嘱する委員20人と公募による委員10人、合計30人以内をもって組織する。
市長は、次に揚げる者のうちから、委嘱する。
・ 学識経験者
・ 商業団体代表
・ 工業団体代表
・ 金融機関代表
・ 市民
(2) 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期とする。
(3) 前各項に定めるもののほか、振興会議の組織及び運営に関し必要な事項は規則で定める。
(委任)
第9条 この条例の施行について必要な事項は、市長が定める。
附 則
この条例は、平成○○年○○月○○日から施行する。