CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)への加入に向けた支援を求める意見書に対する反対の討論

◯杉本 護
 それでは、日本共産党静岡市議団を代表して、発議第12号台湾のCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)への加入に向けた支援を求める意見書に対する反対の討論を行います。
 反対理由の第1は、CPTPPはそもそもTPPと本質的には異なるところはなく、多国籍企業の利益を最大化する一方で、国民の暮らしや農業、医療などを破壊する貿易協定だからです。
 我が国は、TPP参加によって、米、麦、牛・豚肉、乳製品、甘味資源作物など重要5品目では、約600品目のうち約3割で関税が撤廃され、日本の農業に大きな打撃となっています。こうしたことは、本市議会が台湾と友好議員連盟を設立した趣旨にも沿わないと考えます。
 第2は、TPPに含まれるISDS条項(投資家対国家紛争解決条項)が、司法権をもじゅうりんする問題があるからです。過去の事例では、国民の生命・身体の安全を確保できないとして、米製薬会社の治療薬の特許を無効にしたカナダ最高裁判所の判決を不当だとして、米製薬会社が損害賠償請求をしたケースがあります。
 日本共産党がISDS条項について国会で議論した際、政府は、日本の司法判断において勝訴し、仲裁廷で敗訴した場合、条例を遵守する立場から仲裁廷に従うと答弁しています。ISDS条項が日本の司法権さえ侵害することになり、これは、新たに加盟した場合、台湾にも関わる問題です。
 第3は、日中両国関係の前向きの打開に大きく影響する問題だからです。現在の日中関係は決して良好とは言えない状況にあることは周知のことと思います。そうした中で、日本政府は2023年11月16日、米サンフランシスコで日中首脳会談を開き、2008年の共同声明、戦略的互恵関係の位置づけを再確認しました。ここには、1972年9月29日に発表された日中共同声明が日中関係を安定的に発展させ、未来を切り開く政治的基礎であるとしています。そして、この共同声明には第2項として、日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認するとしています。中国と台湾との関係は様々な問題が内包している下で、日本政府の台湾に対する態度は慎重でなければならない情勢であるというふうに考えます。
 新しい世界の流れは、各国の経済主権を尊重し、それぞれの国の民主的で秩序ある経済の発展を目指す、互恵・平等の投資と貿易のルールづくりにあり、持続可能な社会づくりに貢献することです。この道を進んでこそ、アジアを含む各国と経済主権を尊重した互恵・平等の経済関係を発展させることができます。日本は、こうした互恵・平等の経済関係を発展させるための貿易・投資のルールづくりをアジアの中で進めていくべきと考えます。
 以上の理由を述べて、この発議第12号の意見書に対して反対の討論といたします。