「根拠」と「共感」が試されている アリーナは本当に必要か パワハラ根絶にむけて

寺尾 昭
 私は、静岡市におけるアリーナの必要性を改めて考えてみたいと思います。
 難波市長は、昨年8月、沖縄のアリーナを視察後、静岡市にアリーナを建設する方向で検討を進めるという表明をいたしました。その後の記者会見では、今年度末までに方向を決定するという旨も発表しておられるわけです。
 市長は就任後、箱物建設の是非は、地域の経済活性化やにぎわいと一体に、単体で判断すべきものではなくて、一体に判断すべきものだという持論を述べていらっしゃいます。
 また、昨年6月の所信表明では、市政の推進に当たっては、根拠と共感を基本に、市民にとって温かい市政を進めるということも表明をされております。
 投資と効果、このアリーナを考える場合は、これが大きな課題だというふうに思います。
 アリーナ建設と、そしてその後の維持管理には多額の資金が必要であります。税金か、民間資本か、どこが負担するのか、最大の課題というふうに言えます。
 全てを民間企業が賄うというのであれば、税金の心配はないかもしれませんが、その場合であっても、様々、環境、あるいは交通問題などが生じてくるというふうには言えると思います。
 市にとって、あるいは市民にとってアリーナ建設が現実味を帯びてきた状況の中で、本市にアリーナが本当に必要か。私は、この市長が発表して以降、市民から寄せられた声を基に、別の角度から課題を提起をして議論をしたいというふうに思います。
 まず、お聞きしたいのは、アリーナは文化、スポーツ面で市民にとってどのような利用を想定しているのか、お聞きいたします。
 そして、まず集客が可能かという問題です。問題は、常にそれだけの集客を見込めるイベントやスポーツが可能かどうかということであります。
 社人研の推計で、静岡市の人口は2050年には54万6,000人まで減少するというふうに言われております。その原因を市長は、出生率、婚姻率の低さ、わくわく感や挑戦してみたいものが乏しいために、大都市に出かけ、若者が戻ってこないということを挙げているわけでありますが、若者がこのまちの未来を明るいと希望が持てるまちづくりが必要として、このアリーナと結びつけているわけであります。
 アリーナ建設ラッシュというふうに言われております。当然、都市間競争も激化をしていきます。人口減対策とアリーナが直結するのか、そこの考え方にやはりちょっと飛躍があるのではないかというふうにも思われます。
 地元説明会での説明資料によりますと、建設に伴うものでアリーナの経済効果や雇用誘発数、市民税誘発額等々、運営面では波及効果が毎年162億円、雇用誘発数は1,540人等々、皮算用をはじいているわけであります。しかし、これらの根拠は必ずしも明らかにされていないというふうに言えるかと思います。
 説明資料によれば、エンターテインメントとプロスポーツの需要について、コンサート開催日数や入場者数が増加傾向にあるとしております。建設時の経済波及効果は、来場者の要素は加味しないので、ある程度判断できますけれども、管理運営期間の経済波及効果については、来場者によって大きな変動があるというふうに言えると思います。来場者の消費支出を132億円余としておりますけれども、スポーツ興行やコンサートなど、どのような種目でどのぐらいの来場者を想定したのか。その根拠は必ずしも明らかでありません。その前提が崩れれば変わってしまうというふうにも言えるものでありますし、我が国のスポーツは、野球、サッカーというところは、大変まだ大きな人気がありますけれども、さあ、それ以外のところはどうなのか。まだ未知数であります。
 代表質問での答弁では、最少の場合であっても、マイナス10%程度ということも言われておりますけれども、それで済むのかどうなのか疑問も残るわけであります。
 そこで、質問でありますが、まちづくりとアリーナを一体となって進めることにより、人口減少対策に本当に結びつくのかどうなのか、その点についてもお伺いします。
 次に、パワーハラスメント根絶に向けてのその原因と解決に向けた対策についてお伺いいたします。
 危機管理総室でのパワハラにより、2人の職員が退職を余儀なくされたこと。また、同じ理由で休職せざるを得なかった職員がいたことなど報道がされております。もしこれが事実であるとすれば、決して許されるものではありません。まずは、真相を明らかにして、しかるべき対応、対策を講ずべきであります。
 そこで、質問ですが、第1に、市としてハラスメント防止のために、これまでどのような取組をしてきていたのか。
 2番目に、今回の危機管理総室の報道があったことについて、まずどのように考えているのか、受け止めているのか。
 3番目、危機管理総室でのハラスメントに係る調査の状況は、現在どのようになっているのかを伺います。
 次に、人事委員会に伺います。
 2024年の人事委員会勧告の報告で、人事委員会は、任命権者──つまり市長ですけれども──に対して、職員に意識啓発、注意喚起をするなど、適切な対応を、そして管理監督者には、職員とのコミュニケーションやハラスメントを見逃さない、職場風土の醸成などを求めているわけでありますけれども、今回、危機管理総室で起きたこのパワハラについて、こういう指摘に今回の事案は反したものと言わざるを得ないわけであります。パワーハラスメントについて人事委員会はどのような認識を持っているのか改めてお伺いして、1回目といたします。

◯副市長(大長義之)
 私からは、まちづくりと大規模アリーナを一体となって進めることにより、人口減少対策にどのように結びつくのかについてお答えいたします。
 他の政令市と比較して、本市は人口減少、少子高齢化が深刻な状況にあり、若者に魅力的なまちづくり、若者が楽しめる文化づくりのための施策や取組がこれまで不十分であったことが一因と考えられます。
 そこで、本市の将来を担う子供たちや若者が、このまちの未来は明るいと希望を抱き、長く住み続けたいと思う魅力あふれるまちの実現が人口減少対策に有効だと考えています。
 そのためには、豊かな日常生活だけでなく、わくわく、どきどきといった感動を若者が体験できる環境をつくる必要があります。
 本市が目指すアリーナは、屋内で多様な演出がなされた大規模コンサートやプロスポーツ興行など、これまで市内では開催できなかった規模の多彩なエンターテインメントを市民が体験、体感できるようになります。
 そして、屋内のイベントの開催のない日でも、多世代の市民が集い、憩うレクリエーションの場として利用され、災害時には防災拠点として機能するアリーナの実現を目指します。
 また、まちづくりにおいては、アリーナ整備との相乗効果によって社会全体に波及効果が生まれるよう、令和6年度は東静岡まちづくり基本構想の策定に取り組み、新たな交通体系の導入、必要な用途地域の見直し、医療、福祉や教育関係機関の広域連携など、幅広い取組を検討してまいります。
 このような魅力ある施設の整備と面的なまちづくりを一体で進めることにより、東静岡地区が優れた生活環境に加え、非日常である文化やスポーツが楽しめる、県内でも例がないエリアとなります。その結果、市民が住み続けたいと思い、さらには県内外の方が住んでみたいと思うような魅力あふれる静岡市となり、定住人口の増加に結びつくと考えております。

◯観光交流文化局長(望月哲也)
 アリーナは文化、スポーツ面で市民にとってどのような利用を想定しているのかについてですが、本市が目指すアリーナは、スポーツ興行時は5,000席以上、音楽興行時は8,000席以上の施設規模を想定しています。このほか、飲食の提供を伴う展示会や学会、式典などの開催を可能とします。
 これまで本市で実現できなかった最高峰のプロスポーツ興行や著名アーティストによる大規模コンサートなどが開催できる規模や設備を有した、見ることを優先とする施設であり、市民利用を前提とした既存の施設とは、主な機能や需要が異なります。
 具体的には、スポーツの面で言えば、中央体育館をはじめとする市内の体育館は、主に市民が自らスポーツをするための施設です。
 一方、アリーナは、スポーツを見る機能を特に重視するとともに、光や音の演出により観客とプレイヤーが一体となって盛り上がり、さらに飲食も楽しめるなど、市内ではこれまでにない施設です。
 また、文化の面で言えば、2,000席規模の静岡市民文化会館や、1,500席規模の清水文化会館マリナートは、これらの施設規模に応じたコンサートなどの興行に限られています。
 一方、アリーナは、8,000席以上の大規模コンサートなど、主に多彩なエンターテインメントを鑑賞し、体感する場として利用される施設です。
 市内の既存施設に加え、東静岡にアリーナが実現することで、文化、スポーツをする、見ることの幅が広がり、市民の豊かな生活や文化力の向上につながることを期待しています。

◯総務局長(大村明弘)
 ハラスメントについての御質問に一括してお答えいたします。
 まず、ハラスメント防止のための取組についてですが、本市では毎年、全職員を対象としたeラーニングによるハラスメント防止研修や、新任所属長及び新任係長を対象とした個別研修を実施することで、ハラスメントはハラスメントを受けた職員だけでなく、周囲の職員、行為を行った職員にとっても重大な悪影響を及ぼすことを職員一人一人が理解する機会を設けています。
 次に、今回の危機管理総室の報道についての考え方ですが、本市では、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント及び妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント防止に関する基本方針を策定し、ハラスメントの防止に向けた取組を進めています。
 そのような中で、今回、報道がなされたことは非常に残念です。本市としては、事実を明らかにするため、ハラスメント行為があったかどうかを調査により確認し、不適切な指導等のハラスメント行為があった場合や、勤務実態があるにもかかわらず、時間外勤務の申請がなされていない場合には、原因を究明し、再発防止に徹底して取り組んでいく考えです。
 次に、危機管理総室でのハラスメントに係る調査の状況についてですが、調査の状況や経緯については、職員のプライバシーに配慮する必要があるため、詳細はお答えすることができませんが、ハラスメントに係る調査については、危機管理総室の職員に対して職場でハラスメント行為を受けたことがあるか、または見聞きしたことがあるかをアンケートという形で聞き取りを行っています。
 加えて、時間外勤務の状況についても、危機管理総室の職員の時間外勤務実績と職員の庁舎からの退庁記録を突合し、通常の勤務時間が終了後に、庁舎に残っていたにもかかわらず時間外勤務の申請が提出されていない職員について、業務を行っていたかどうか、1件1件確認する調査を実施しています。いずれの調査も、現在、調査結果を整理している段階ですが、年度内に調査結果を公表したいと考えています。

◯人事委員会事務局長(初田秀樹)
 パワーハラスメントに関する人事委員会の認識についてですが、パワーハラスメントは職員の尊厳を傷つけ、職員個人の能力発揮を妨げることや、心身の健康を害することにつながるだけでなく、職場における信頼関係の悪化や職員の士気の低下など、組織パフォーマンスを低下させる要因となると認識しています。
 地方公共団体においては、任命権者に対し職場におけるパワーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置が義務づけられており、本市においてはハラスメントの防止に関する基本方針の策定や職員研修などの取組が実施されています。
 一方、人事委員会におきましても、相談窓口の1つとして職員からの苦情相談を受付ておりますが、その中にはハラスメントに関する相談に区分されるものも存在しています。このため、例年、職員の給与等に関する報告及び勧告において、任命権者に対してハラスメント防止に向けた意識啓発、注意喚起等を図るとともに、職員からの相談への迅速かつ適切な対応に努めることを求めていきます。
 

寺尾 昭
 2回目です。
 まずは、アリーナの問題でありますが、全国でも近隣県でもアリーナラッシュというふうに言えると思います。
 スポーツ庁の資料、昨年2月現在でありますが、これを見ますと、全国でスタジアムとアリーナの新設、スタジアムも含めますが、構想段階を含めて88件ありました、私が勘定しましたら。そのうちアリーナは29件ありました。既に設置されて運用されている5,000人以上の収容のものは、既に40件あります。そうしますと、取りあえず私の見た限りでは、合計69施設、アリーナが69件もできるということであります。供給過剰じゃないかというふうに私は思うのですね。
 本来の目的を失って、今度はアリーナを存続させるためにどうするのだという話になっていってしまう。そういうおそれもあるということで、慎重な見極めがそういう面では必要ではないかというふうに思います。
 そして、かつて全国で、皆さん覚えていらっしゃると思うのですけれども、リゾート施設ブームというのが起こりました。このリゾート施設の多くは、その後、破綻をいたしまして、後に膨大な借金だけが残ったということは、記憶に新しいものであります。
 さて、そういう中で、質問でありますけれども、選ばれるアリーナ、そういうたくさんラッシュの中で選ばれるアリーナに本当になるのかどうなのか。そして、そのためにはどのような施設やサービスが必要と考えているのか、お伺いをいたします。
 1万人前後の聴衆が集まるイベントが開催されれば、それに応じた環境問題が生ずるわけであります。ごみ、騒音、排ガス、あるいは犯罪などの心配もあるわけであります。日常的に交通渋滞が起きている場所であります。地元住民だけでなくて、市民全体の課題にもなっていくわけであります。
 市長が行いました地元説明会の資料では、アリーナで想定する交通渋滞対策を示しておりますけれども、道路整備や関係者での調整はこれからということになるわけであります。効果を発揮するか、これはまだ未知数というふうにも言えると思います。
 そこで、質問ですが、騒音などの周辺環境や駐車場整備についてどのように進めていくのか、お伺いをいたします。
 職員の負担軽減について伺います。
 現状と具体策をお伺いをいたしますが、パワハラの背景には、職場におけるストレスが関係していることも指摘されています。休日、夜間に及ぶ勤務は、市の職場においても、今や日常的というふうに言えるものになっております。
 ワーク・ライフ・バランスが叫ばれても、一向に改善をされない状況、毎年の人事委員会の報告にも触れられているとおりです。健康や家庭生活への影響、文化的な生活には程遠い現実に、職員の悲鳴が聞こえてくるというものであります。
 1月27日付の新聞報道、市は時間外勤務の全庁調査を行い、未払い分の支給まで行うという報道もされておりますが、そこで質問いたします。
 時間外勤務の状況、その後どのようになっているのか、現在も含めてお伺いいたします。
 2つ目に、時間外勤務の縮減、なかなか進みませんけれども、どのように取り組んでいるのか伺って、2回目といたします。

◯観光交流文化局長(望月哲也)
 アリーナに関する2点の御質問にお答えします。
 まず、選ばれるアリーナにするには、どのような施設やサービスが必要と考えているかについてですが、令和元年以降、国内では5か所のアリーナが整備され、建設中のアリーナが6か所。計画、構想段階のアリーナが約20か所あるため、主催者や利用者から選ばれるアリーナにしていく必要があります。主催者から選ばれるアリーナにするには、集客力がポイントであり、アクセス性のよさや施設の使いやすさが重要です。
 まず、アクセス面においては、東京、名古屋の中間に位置し、商圏人口や新幹線駅からの来やすさなど、全国的に見ても優れた立地環境を生かします。
 次に、施設の使いやすさを高めるため、各種イベントの主催者やプロスポーツ団体などの利用が想定される関係団体の意見を聴取した上で、施設規模、迅速な設営・撤去が可能な車両動線及び建物配置、利用に応じた床材の転換機能などの施設概要を定めていきます。
 また、利用者から選ばれるアリーナにするには、JR東静岡駅からのスムーズな歩行者動線や、飲食、宿泊などの楽しめる施設の整備など、周辺のまちづくりと併せて検討するとともに、沖縄アリーナやSAGAアリーナなどの先進事例を参考に、飲食サービスの充実や、女性用トイレの数や配置を綿密に検討し、空き状況をリアルタイムで案内するなど、利用者目線に立った満足度の高いサービスが必要と考えます。
 今後は、これら機能を整理し、基本計画に盛り込むことで、主催者や利用者から選ばれるアリーナになるよう検討していきます。
 次に、騒音などの周辺環境や駐車場整備についてですが、アリーナの騒音については、設計の段階から着実に対応していきます。また、来場者のマナーに係る事柄等については、事前に検討した上で、アリーナのオープン後、都度、適切に対応するなど、地域の皆様が懸念されている生活環境への影響に十分配慮し、事業を進めていきます。
 また、駐車場整備については、本市のアリーナは、JR東静岡駅に近接しているということから、駐車場の必要台数を最小限とすることを想定しています。
 具体的な交通渋滞対策は、令和5年度の公共交通影響調査検討業務において、プロスポーツや大規模コンサートなどのイベントが開催されたときにおける自動車及び公共交通機関の利用者数など、来場者の交通手段を推計した上で、駐車場設置の考え方を整理し、年度内に報告をまとめる予定です。その結果を踏まえ、令和6年度の基本計画の中で、より具体的、効果的な対策を検討していきます。

◯総務局長(大村明弘)
 時間外勤務に関する2つの御質問に一括してお答えします。
 まず、今年度の時間外勤務の状況についてですが、令和6年1月末時点における時間外勤務時間は、前年度同期と比較し13.5%減の10万1,898時間減の65万2,004時間となっています。
 次に、時間外勤務の縮減に向けた取組についてですが、時間外勤務は臨時、または緊急の必要がある場合に、必要最小限にとどめ、職員の心身の健康に最大限配慮して行う必要があります。
 そこで、本市では、時間外勤務縮減対策を毎年度策定し、時間外勤務の縮減のため重点的に取り組む事項や職位に応じて各職員が取り組むべき役割を定め、様々な取組を行っています。
 本年度の具体的な取組として、主に次の3つの取組を実施しています。
 1つ目は、業務の効率化、平準化を進めるため、決裁の簡素化や局内における職員の流動的配置。
 2つ目は、適正な時間外勤務命令を行うため、時間外勤務の事前命令及び事後確認の徹底。
 3つ目は、職員の退庁しやすい職場環境づくりのため、毎週水曜日等の定時退庁の推奨で、これらを所属長や係長等を中心に取り組んでいます。
 今後も時間外勤務の縮減に向けて、所属長や係長と部下職員が、これまで以上にコミュニケーションを取り合い、業務の進捗や職員の健康状況等について理解、共有した上で、時間外勤務命令を行うよう徹底するなど、適切な対策に引き続き取り組んでいきます。

寺尾 昭
 意見・要望であります。
 まず、アリーナ整備についてでありますが、建設費については、説明資料で266億円としております。アリーナの規模によっても異なると思いますけれども、最近の資材の高騰、あるいは人件費の高騰、これで済むのかどうなのか。さらに押し上げる要因となっていくことは、これは明らかではないでしょうか。
 また、その後の維持管理をどのようにやっていくのか、これこそが大きな課題だというふうに言えると思います。
 どのような手法で建設とその後の維持管理を行うのか。民設民営、公設民営、PPP、PFI等々、様々な手法があるわけであります。これらの手法が公共施設の維持管理に適切かどうか、もともとそういう議論もあるわけでありますけれども、民間企業の参入がどこまでできるのかにより公的負担が決まってくるということも言えると思います。いずれにしても、相当の公的負担、つまり税金負担は免れないというふうに言えます。
 この間、市の財政当局、財政の中期見通しということも公表しております。毎年、80億円程度の財源不足が生ずるというふうにも言っているわけであります。
 この大型箱物計画が俎上に上がっている下で、そのほか市民文化会館のリニューアル、海洋・地球総合ミュージアム、サッカースタジアム、清水庁舎建設問題など、これからもいわゆる大型箱物と言われる事業がめじろ押しということになっております。
 財政運営において、これらとどのように整合が図られていくのか、困難が待ち受けているというふうに言ってもいいと思います。
 市長が標榜しておりますキーワード、根拠と共感、市民との共創ということでありますけれども、これが試されているというふうにも言えるかと思います。
 市長は、経済波及効果、あるいは所得効果など先ほど言いましたけれども、そういう皮算用をはじいているわけですけれども、言ってみれば、アリーナ、大変な高額の買物ということになるわけでありまして、それが市民に本当に幸福と繁栄をもたらすのか、これはまさにこれからの課題、未知数と言えると思います。
 先日、介護施設で働く方から職員が定着をしなくて、長時間労働、低賃金、大変困難を来しているというようなお話だとか、保育所の保育士さんからも、保育所には人が集まらないと、本当にゆとりがほしいと、アリーナより切実な問題をまず解決してもらえないかと、こういう声も届いております。
 一方、市民の切実な要求であります国民健康保険料、来年度は2,000円の値上げと。さらに、今後、毎年の値上げも試算はされております。医療費の窓口負担や給食費の無償化、こういうのもまず優先してやっていく必要があるのじゃないかというふうに思います。そういう意味では、市民の負担が、今、増大しているという状況があります。市民の願いは、安心・安全な毎日の生活がどう確保されるか、これがキーワード、重要なキーワードと言えるわけであります。誰ひとり取り残さない、SDGsの目標にもそぐうかどうか考えていかなければならないわけであります。
 市長は、市川議員の代表質問に答えまして、パワハラについては、職員の尊厳を傷つけ、また公務を進める上でも大きな支障となるということで、ハラスメントの撲滅宣言を行うという考えを示していただきました。大いに評価をしたいというふうに思います。
 同時に、今後、あらゆるハラスメントを許さないために、具体的な方策、これをぜひ取っていっていただきたいというふうにも思います。
 危機管理総室で起きた事案については、現在、調査中だということで先ほど答弁もありました。退職を余儀なくされた職員は、希望を持って静岡市役所に就職をされたわけです。前途を嘱望されるまだ若い方々だというふうにも聞いております。その思いを断ち切らざるを得なかった無念さは、推して余りあります。
 調査は一定の時間を要する、先ほどは年度内には発表できる、公表できるということでしたけれども、パワハラが理由で退職したという事実は、私は否定できないというふうに思います。
 調査の結果は公表して、本人への謝罪、あるいは責任者の処分、場合によっては、退職した職員の復職の道というのもやはり検討していいのじゃないかというふうに私は思います。
 職員の時間外勤務の縮減に向けての取組について答弁がありました。しかし、答弁と職員の実感という点には、かなりの乖離があるのではないかということも率直に思います。
 根拠と共感ということで、これは職員に対してもやはり言えるのじゃないか。意欲を持って仕事に取り組めるかどうかに関わる職員にとってのキーワードにもなっているのではないかというふうに思います。
 市長は、就任早々の記者会見で、市長がいきなり新しいことをぶち上げて割り振っていけば、仕事量が限界状態になっている現状をさらに多忙な状況にしてしまうので、それを効率化するというふうにも述べておられます。ぜひこれを具体化をしていっていただきたいというふうに思います。
 来年度に向けて様々なことをまさに市長はぶち上げるという状況に今なっております。もう一度この言葉をぜひ思い出していただいて実践をしていただく。職員の働き方改革という面でも、ぜひ先頭に立っていただくことを要望いたしまして、質問とさせていただきます。