6月議会代表質問‐アリーナ建設について、教職員の体制について、消防局の体制について‐

◯杉本 護
 日本共産党静岡市議団を代表して、通告に従って質問をします。
 初めに大項目1、アリーナ建設についてです。
 まず、確認したいのが、市が試算した経済波及効果と所得誘発額の根拠についてです。
 難波市長は、アリーナ建設について投資案件として意欲を示し、お手元の資料1)のとおり、266億円でアリーナを建設した場合、建設・運営33年間で経済波及効果は5,248億円、所得誘発額は1,439億円としています。
 さらに、その根拠としては、アリーナの年間来場者総支出額、これが132億6,900万円、その15%がBリーグの試合20億4,400万円、8割強がコンサートなど107億5,700万円と試算をしています。しかし、その数字の根拠は示されていません。
 全国でアリーナの建設がラッシュです。市が示した資料によると、2023年12月現在で稼働中35か所、建設中は愛知、横浜など6か所、計画・構想は静岡のアリーナ構想も含め20か所です。しばらくは少子高齢化、人口減少が進む中で、市が試算するようなコンサートなどが全国のアリーナの中でこの静岡市が選ばれて開催されるのか、大変疑問に感じるところです。
 そこで、お聞きします。
 Bリーグとコンサートなどの来場者総支出はそれぞれ何人の観客規模で、何回開催されることを前提にしているのか。また、その規模と回数はどのような根拠で想定をしたのか。
 次に、大項目の2、教職員の体制について。
 まずは、教職員の多忙解消についてです。
 教職員の多忙化は、本市のみならず全国的な課題であり、教職員の成り手不足の要因ともなっています。
 本市の教職員は、ここ数年、年度初めに定数を下回る状況が続いています。さらに、年度途中で休職や退職する教員の補充ができずに、定数不足が拡大する事態も生まれています。
 また、時間外の労働時間も非常に多く、過労死ラインと言われる1か月100時間以上や80時間以上が連続している教職員がいると聞いています。そして、持ち帰りの残業が常態化していることも問題です。
 そこで、2点お聞きします。
 年度当初の教職員定数の欠員状況はどうなっているか。
 2つ目に、2023年度の教職員の時間外勤務の状況はどうなっているか。また、教職員が業務を自宅に持ち帰っている実態を把握しているのか。
 さて、教職員の確保策を検討する中央教育審議会の特別部会は、給特法に基づく教職調整額を今の月額給与の4%から10%以上にすることを提言し、政府の骨太方針にも盛り込まれました。しかし、10%でも今の残業時間の実態からすれば非常に低く、現場の教職員からは定額働かせ放題の枠組みが残ることへの不満の声が上がっています。そもそも、教職調整額を増やしても教職員の成り手が増えるとは思えません。
 そこで、お聞きします。
 中央審議会が示した教職調整額の引上げ案は教職員の多忙解消につながるものと考えるか、お願いします。
 次に、養護教諭の体制についてです。
 今回の質問のきっかけは、ある保護者からの相談です。その方のお子さんが通う小学校は、養護教諭が不在のときは保健室を閉めるか、代替の看護師を民間にお願いする場合があるそうです。
 そもそも、養護教諭や看護師など専門の知識を持った職員が不在のときがあっていいのかです。保健室は、子供たちの急病やけがをしたときに対応する場であり、いつでも専門職が対応できなくてはなりません。養護教諭は遠足や修学旅行などに同行して不在になることがありますし、本人が病気で休むこともあります。そうしたときの代替を確保することは、学校運営上、必要不可欠なものと考えます。
 教職員課に調べてもらいましたら、お手元の資料2)のとおり、養護教諭が不在のときの対応は、保健室を施錠し、職員室にいる職員が対応しているのが小中学校121校中108校、89.3%となっています。民間の看護師などに依頼をして対応しているのは僅かに9校、7.4%です。
 そこで、お聞きします。
 養護教諭がいないときは代替の看護師などを確保し、専門的な知識を有する職員を常時配置すべきと考えますが、どうでしょうか。
 また、相談者の学校では、民間の看護師などに依頼したとき、その謝金はPTA会費から支払われているとのことで、使い方がおかしいのではと話していました。
 そもそも、PTA会費はPTAの運営と活動のために使われるべきお金とされており、看護師への謝金に使うことは使途が違います。こうした学校は、資料2)のとおり9校あったとのことです。
 そこでお聞きします。
 民間看護師等への謝金にPTA会費を使用するのはやめるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、大項目の3、消防局の体制についてです。
 2022年8月13日に発生した静岡市消防局葵消防署管内建物火災において、1人の消防隊員が殉職しました。この死亡事故を受けて、事故調査委員会が設置され、事故調査報告書が公表されています。さらに、難波市長はこの事故の背景にある組織的課題について、再発防止に必要な事項を取りまとめるとして行政的検証を行い、本市の最終的な報告書として公表されています。
 そこで、行政的検証報告書を踏まえて、改めて再発防止について考えたいと思います。
 報告書では、この事故の発生要因として、駿河特別高度救助隊の行動を大きく3点指摘し、再発防止としてこの事故の背景にある組織的課題に言及、再発防止のための必要な事項を示し、総括として、消防活動を行う上で消防職員の安全確保が大前提であることを示唆し、再発防止のために必要な事項を具体化することを指示しています。
 この行政的検証報告書を見る限り、現場に駆けつけている隊員の編成については特別な言及はないように思いますが、私はここに問題があると感じています。
 総務省消防庁の消防力の整備指針では、指針は「市町村が目標とすべき消防力の整備水準を示すもの」とされ、それは消防隊員の命を守りながら消防活動ができる水準と考えます。
 そして、その指針では、指揮隊は4人、消防隊は本市の場合は基本的に5人、救助隊は5人となっています。ところが、事故調の報告書では、事故の当時指揮隊は3人、消防隊は4人ないし3人、そして、救助隊は4人となっています。
 そこで、お聞きします。
 消防局において、総務省消防庁が示す消防力の整備指針と比較すると、指揮隊、消防隊、救助隊いずれも配置人員が不足していると考えますが、消防局としてはどのように認識をし、どのように対応しているか。
 次に、消防隊員のチームとしての組織力について1点お聞きします。
 今回の行政的検証報告書の4、本件事故の分析において、ここでは1名の隊員以外訓練したことのない手法である、命綱をつけずにホースラインを活用した進入を取るべきではなかった、このように指摘されているように、精鋭部隊である特別高度救助隊員の技術が統一されていないことや、訓練したことのない手法で活動を行ったことについて、消防局はどのように受け止め、そして、局内全部隊への対策はどのように行っているか。
 次に、静岡市の消防局警防規程に関わってです。
 第40条に警防活動検討会の開催規程があり、今回の事故はそれに該当しています。当然、検討会を行っているものと考えていたのですが、行政的検証報告書では、消防局が自ら主体的に活動の問題点を明らかにするための検証と対応を行ったことは確認されていないとされています。
 そこで、消防局に確認したところ、警防活動検討会を行った上で、さらに殉職事故を踏まえて再発防止検討委員会を自ら立ち上げ、さらなる検証を行ったということでした。そうすると、この報告書の確認されていないとはどういうことなのか。私は、この報告書の正確性に若干の疑問をここで持ちました。
 そこで、お聞きします。
 静岡市葵消防署管内建物火災事故再発防止検討委員会が開催されたと聞いていますが、これまでの再発防止策としてどのようなことに取り組み、今後、どのようなことに取り組んでいくのか。
 以上、1回目です。


◯観光交流文化局長(望月哲也)
 アリーナ建設に係る経済波及効果と所得誘発額の根拠についてですが、来場者消費支出を算出する際の観客規模や回数の算出根拠については、Bリーグなどの各種プロスポーツは、ホームゲームとして必要な年間試合数や観客数を想定し、設定しました。
 コンサートなどについては、興行関係の民間事業者へのヒアリングのほか、県内における大規模イベントの開催実績、将来のエンターテインメントの需要予測、他都市のアリーナの稼働状況等を総合的に勘案し、設定しました。
 具体的な開催日数等については、算出根拠となる数値を公表することでこれらを基準にした事業収支の試算が可能となり、本市の想定よりも収益性の高い事業者提案がなされにくくなることが想定され、公募条件の設定への影響や競争原理の阻害など今後の事業者募集における弊害が想定されるため、非公表としております。

◯教育局長(青嶋浩義)
 教職員の体制に関する5つの御質問にお答えします。
 最初に、年度当初の欠員状況についてですが、令和5年度の欠員数8人に対して、令和6年度は5人でした。
 欠員が生じた理由としては、人事内示後の急な退職が1人、任用辞退が3人、残りの1人につきましては、令和5年度末の児童生徒の転入により法定の学級数が増え、必要となる教職員の定数が1人増えたことによるものです。
 なお、欠員が生じた全ての学校については、年度当初から非常勤講師を任用することで、学校運営に支障を来すことのないように対応しております。
 次に、令和5年度の時間外勤務の状況についてですが、本市では、国の基準の下、時間外勤務が月45時間を超えた教職員の割合により把握しており、令和4年度の26.1%に対し令和5年度は23.8%で、やや減少しました。
 また、月80時間を超えた教職員の割合は、令和4年度の3.6%に対し令和5年度は3.5%で、横ばいでした。
 次に、教職員の自宅への業務の持ち帰りについてです。
 本市では、教職員の業務の持ち帰りは行わないことを原則としていますが、やむを得ず自宅に業務を持ち帰らなければならない場合もあるため、その際は校長または教頭の許可を得ることで対応しています。
 教育委員会としては、教職員が自宅で行った業務内容や時間等の詳細を把握できていないため、今後は実態調査を行い、現状を把握することで、一層の働き方改革を推進してまいります。
 次に、教職調整額の引上げ案が教職員の多忙解消につながるかについてですが、文部科学省は、教職調整額の引上げは高度な専門職である教員にふさわしい収入を実現するために行うものとしております。
 本市としましても、教職調整額の引上げが直ちに教職員の多忙解消につながるものとは考えておりませんが、教職員の処遇改善を行うことは、教職の魅力を向上させ、子供たちの教育のために必要な優れた人材の確保に資するものと認識しております。
 本市としては、教職員の長時間勤務を減らしていくためには、学校における働き方改革の一層の推進や教職員定数の改善等による学校運営体制の充実を併せて進めることが重要であると考えます。
 次に、養護教諭不在時の代替看護師の常時配置についてですが、本市においては、やむを得ず養護教諭が不在となる場合は、職員室にいる教職員が学級担任と連携し、配慮が必要な子供への対応や、緊急時においても保護者や医療機関へ速やかに連絡できる体制を整えております。
 また、学校行事引率等の理由で養護教諭が不在となる日があらかじめ確定している場合は、市の負担により事前に教育委員会に登録している看護師、いわゆるパート看護師を派遣しています。
 令和6年度は、パート看護師の登録者を6人から8人に増員し、対応の強化を図っております。
 最後に、PTA会費の謝金使用についてですが、議員の御指摘を受け、教育委員会が令和6年3月に市内全小中学校へ実施したアンケート調査では、令和5年度に民間看護師等への謝金をPTA会費で支払ったことがあると回答した学校は9校でした。
 これらの9校では、子供の健康診断や運動会を開催する際、学校の規模が大きいなどの理由から民間看護師等に養護教諭の補助業務を依頼し、その謝金についてはPTA会費から支出していました。
 このような対応は、PTA会費の運用上望ましいものではないため、令和6年4月、教育委員会から全ての小中学校宛てにPTA会費の適切な取扱いについて通知し、その中で、先ほど述べたパート看護師の有効活用についても各学校に依頼したところです。

◯消防局長(池田悦章)
 消防局の体制について、3つの質問にお答えします。
 まず、総務省消防庁が示す消防力の整備指針と比較すると指揮隊などの配置人員が不足していると考えられることについて、どのように認識し、どのように対応しているかについてですが、消防力の整備指針は当該市町村の区域における消防の責任を十分果たすために必要な施設及び人員について定めたもので、市町村はこの指針を目標として、地域の実情に即し、具体的な消防力の整備に取り組んでいます。
 本市消防局の職員配置状況は、令和4年度に総務省消防庁が行った最新の調査結果では、整備指針に基づく算定数1,252人に対し実際の配備数1,076人で、充足率は85.9%です。
 この算定数と配備数に差はありますが、本市では消防総合情報システムにより、119番通報から最適な出動隊の編成及び出動指令、出動隊への情報伝達を速やかに行い、現場到着時間を短縮するとともに、それぞれの出動隊が連携・協力することで各種災害に対応しています。
 また、配備体制の強化に向け、その時々の状況に応じて関係課と協議し、必要な増員を図っているところです。
 災害対応の基本は人であるため、今後も引き続き消防組織の適正な人員配置について、関係課と連携して取り組んでまいります。
 次に、特別高度救助隊の技術が統一されていないことや訓練したことのない手法で活動を行ったことについて、どのように受け止め、局内全部隊への対策はどのように対応しているかについてですが、令和6年2月定例会で市長が答弁したとおり、今回の事故における特別高度救助隊の活動は、合理的な特別の理由なく消防活動基準どおりでない活動であったことから、適切でないと判断し、重く受け止めています。
 このため、なぜ警防活動基準などの規範が守られなかったのかの原因分析をして、規範の解釈や運用の在り方の再整理を行い、正確な規範の理解、解釈及び運用について、計画的・効果的な訓練を通じて全ての消防職員に行動にまで落とし込み、再発防止を徹底するとともに、消防力の強化に向けた継続的な改善を進めています。
 最後に、これまで再発防止策として具体的にどのようなことに取組、今後どのようなことに取り組んでいくかについてですが、事故発生後、直ちに消防局内に再発防止検討委員会を設置し、現場活動の分析、検証を行い、部隊ごとに活動方法が相違していたことやロープを用いない屋内進入及び指揮隊の初動時における情報の収集・分析・共有など、事故発生に関与した可能性がある要因を抽出しました。
 その結果、応急対策として、屋内進入時の統一的な活動の強化、危険予知訓練による気づきやコミュニケーション能力の向上及び初動からより多くの情報を管理するため、指揮隊2隊による部隊運用の強化などに取り組みました。
 本年4月、行政的視点から消防局内の適切な組織運営の確保を目的に、消防管理室を設置しました。また、事故調査委員会の提言や行政的検証結果を踏まえ、各消防署の職員で構成する警防体制強化プロジェクトチームを設置しました。
 今後は、プロジェクトチームにおいて消防管理室の支援、助言を受けながら、警防活動基準の解釈や運用、消防戦術の検証を行うとともに、検証結果に基づいて消防活動基準を見直し、効果的な訓練や研修を通じて隊員に知識や技術を定着させることで、災害対応力の強化や安全に対する意識の醸成に取り組んでまいります。


◯杉本 護
 それでは、2回目です。
 まず、アリーナ建設についてですが、このアリーナによる経済波及効果や所得誘発額の試算根拠について、私が聞いている数字的な根拠は示されませんでした。言えない理由があるということなんですが、正直言って、これでは市長が言っている根拠と共感の中の根拠の部分が、市民にとっては曖昧ではないかなというふうな感じがしています。
 さて、市民の理解と共感についてです。
 アリーナの建設で、難波市長はまちづくりと一体でなければならないとして、アリーナ建設予定地の東静岡駅周辺の整備構想も打ち出し、渋滞問題も地元の自治会役員と2度にわたって話し合い、解決策を示すなどで一定の理解を得たというふうにしています。
 しかし、アリーナ建設費266億円以外にも、このまちづくりのインフラ整備などでかなりの費用がかかります。したがって、アリーナと一体となったまちづくりの構想そのものにも市民の理解と共感が必要です。
 そもそも、全国のアリーナ建設を主導する国のスタジアム・アリーナ改革指針によれば、その主眼はスポーツ産業の成長性を取り込み、地域活性化の起爆剤とすることにあります。
 あくまでもメインはスポーツであり、コンサートなどは経済性や採算性を補完するものとして位置づけられていますが、本市の構想ではこのコンサートが主力となっており、こうした考えも市民の理解と共感が必要になってくるのではないでしょうか。
 市長がベルテックス静岡と懇談した際に、全面的に支援するとも言いつつ、B1昇格への必要となるホームアリーナの実現には地域社会の理解が大事との認識も示していました。市民の理解と共感には様々な観点があり、アリーナ構想によって社会全体の経済的な利益を求める考えや、安心・安全なまちづくりと交通の利便性向上を求める考え、また、アリーナへの財政負担によってこれまでの市民サービスが低下しなければよしとする、こんな考えもあるというふうに思います。
 このように、市民によって理解と共感を得られる内容は様々であり、全体として共感が得られるとの判断はどうするのか。市長が様々な場面で強調している根拠と共感の考えに、私も共感しています。アリーナ構想だけではなく、民主的な市政運営の上でも非常に大切な考え方だからであります。
 そこで、確認の意味も含めてお聞きします。
 市民全体の理解と共感を得るためには何をするのか、また、市民の理解と共感が得られたかどうかについては何を根拠に判断するのか、市長の考え方をお聞きしたいと思います。
 次に、教職員の多忙解消についてです。
 先ほどの答弁で、今年度当初から定数不足が発生し、過労死ラインと言われる月80時間を超える時間外労働の実態も示されました。さらに、教職調整額を10%にすることだけでは多忙解消につながらない、こういった認識も示されました。
 私は、かねてからこの議会の場でも、教職員の多忙を解消するためには少人数学級の実現が不可欠との考えを示してきました。
 本市は、教職員を確保するために採用試験を前倒ししていますが、そもそも教職員の成り手がないのはあまりにも忙し過ぎることではないでしょうか。
 本来、教職員の仕事は、子供たちの成長を手助けする、やりがいのある、魅力ある仕事である。なのに、あまりにも忙し過ぎる現実が敬遠される大きな要因になっています。
 そうした状況を解決するには、当面、1クラス30人以下の少人数学級実現や教職員の授業こま数の削減、教職員定数の改定や、定数分は正規職員にするなどが解決策となると考えています。
 そこで、お聞きします。
 市は教職員の多忙解消のために何が必要と考えているか、お願いします。
 質問の最後は、消防局の体制についてです。
 先ほどの答弁で、消防局は整備指針に示された消防職員を確保できない中でも消防力が低下しないように、現場で様々な努力をすることが見えてきましたが、やはり命を大切にするための体制整備の点では、認識が甘いような気がしています。
 私は、この消防局の体制問題は、消防局だけではなく市の責任も大きいと思っています。先ほども述べましたが、消防力の整備指針は市町村が目標とすべき消防力の整備水準を示すものとされています。
 先ほど答弁があったように、本市の現状は、最新の調査で指針が求める消防職員1,252人に対して実際は1,076人、85.9%、指針と比べれば176人も不足していることになります。
 この2024年度の消防職員の定数は1,045人とさらに減少していて、これでは指針どおりに消防隊を編成することはできません。
 繰り返しますが、指針は消防職員の命を守りながら消防活動を行うことのできる水準を示しています。消防職員の定数は市が決めています。消防組織法の第7条は「市町村の消防は、条例に従い、市町村長がこれを管理する。」とあります。まさに、消防局の体制は市長が管理する義務を負っているんです。
 そこでお聞きします。
 静岡市は、消防職員の適正配置についてどのように考えているのか。
 以上お聞きして、2回目とします。


◯市長(難波喬司)
 私からは、大項目1、アリーナ建設について、中項目2、市民の理解と共感についてにお答えいたします。
 アリーナ事業を進める上で最も必要なことは、なぜアリーナが必要なのかについて、市民の皆様の理解と共感を得ることが重要と認識しております。
 なぜアリーナが必要か。それは、大きく分けて次の3つです。
 1つ目は、経済活性化効果です。アリーナは収益性がある。すなわち、投入費用よりも収入が多く得られる投資案件になります。アリーナにより経済が活性化されることに加え、若い人々にとって魅力ある雇用や活躍の場が生まれます。
 2つ目は、文化振興効果です。市内の既存施設に加え、アリーナが実現することで、文化・スポーツを見る、感動することの幅が広がり、市民の豊かな生活や文化力の向上につながります。
 3つ目は、まちづくりによる社会全体への大きな波及効果を生むためです。アリーナと東静岡のまちづくりの整備を一体で進め、相乗効果を得ることで、経済活性化効果、文化振興効果に加え、まちの魅力や防災機能向上などの多様な効果が生まれます。
 このように、アリーナの事業化に当たっては、経済波及効果などの定量的効果や文化・芸術・スポーツの振興効果などの定性的効果を総合的に分析し、事業化に至る根拠を明確にし、市民の皆様に説明する必要があります。
 令和5年度の静岡市アリーナ整備調査・検討業務では、アリーナ整備・運営により高い経済波及効果と所得増効果が見込まれることなどが確認できました。
 そこで、これらの内容をまず地元自治会・町内会の会長をはじめ役員の皆様に説明させていただき、一定の理解が得られました。
 その後、本年5月に地域住民の皆様との意見交換会を開催し、アリーナ事業について説明するとともに、市民の皆様に対しては、アリーナの検討内容を広報紙6月号に掲載するなど、周知を図ってきました。
 今後は、現在進めている静岡市アリーナ基本計画の策定に当たり、パブリックコメントを実施し、市民の皆様から様々な意見を伺うとともに、市民講演会などで事業内容について分かりやすく丁寧な説明を行いながら、市民の皆様が納得できる計画としていく必要があると考えています。
 その他の質問については、教育長及び局長より答弁いたします。

◯教育長(赤堀文宣)
 教職員の多忙解消のために何が必要かについてお答えいたします。
 教育局長が先ほど申し上げたとおり、本市としては学校、教師が担う業務の適正化と学校における働き方改革の一層の推進や、教職員定数の改善等による指導・運営体制の充実を進めていくことが重要だと考えます。
 そこで、令和6年度は、働き方改革について、特に次の2点の取組を重点的に行ってまいります。
 1つ目は、従来型の学級担任制度の改革です。
 学級担任を1人に固定するのではなく、チーム担任制のように複数の教職員が子供に関わる柔軟な仕組みに変えることで、学級担任が1人で問題を抱え込むことを防ぐとともに、授業を分担し合うことで授業の準備にかける時間の短縮も図られます。
 令和6年度は、加配措置をした小学校2校を研究校とし、効果検証を進めてまいります。
 2つ目は、ICTの有効活用による校務の効率化です。
 児童生徒及び教職員に配備された学習端末の機能を最大限生かし、授業で使うプリントをオンライン上で共有したり、教職員同士の対面式の打合せや、情報共有等の仕組みも紙媒体からデジタル化したりするなど、校務の効率化を進めます。
 さらに、これらの取組をより実効力のあるものにするための環境づくりとして、学校のありたい姿を学校の教職員が主体となって考え、業務の効率化だけでなく、教職員のやりがいへとつなげていく取組を進めます。
 具体的には、本市教職員の研修講師を務めているイークルール株式会社と連携し、経済産業省働き方改革支援補助金2024事業を活用しながら、小学校1校をモデル校として実践及び検証を行います。
 今後も、一層の働き方改革を進めることで、教職員が子供と向き合う時間や自身の見聞を広める時間を創出し、教育の質を高め、個々の児童生徒の資質や能力の向上を図ってまいります。

◯総務局長(大村明弘)
 私からは、消防職員の適正配置に係る考え方についてお答えいたします。
 消防職員の配置については、例年、現場の状況などについて消防局と十分な協議を行いつつ、消防救急広域化を構成する各市町の意向や市全体の行政コストなどを総合的に勘案して職員配置を決定しています。
 そのような中、令和6年度は駿河特別高度救助隊や災害機動支援隊など特殊部隊に係る人員をはじめ、消防ヘリコプターの機体更新に伴う人員など、消防組織に係る必要な増員を図ったところです。
 今後も、引き続き消防組織の適正な人員配置に努めていきます。


◯杉本 護 
それでは、3回目は意見・要望とします。
 まず、アリーナ建設について。
 市長から、アリーナ構想については丁寧な答弁をいただきました。根拠を示しながら丁寧な説明をしていく、こういった考えは私にも十分伝わった感じがしています。
 しかし、アリーナ構想について、市民が納得したかどうか、ここのところを何をもって判断するか、この点がまだ不十分かなというふうに思っています。
 大変難しい問題だとは思っているんですが、市長が示す根拠と共感に基づく市政運営がアリーナ構想でも試されています。少なくとも、十分説明したと言って強引に進めていく、こういうことのないように強く要望したいと思います。
 次に、教職員の多忙解消についてですが、教育長の答弁を聞きますと、教職員の定数改善が重要とも言いつつ、結局のところ現行人数で創意工夫していくという内容になっているんではないでしょうか。
 私は、教職員の多忙の根源には人数の不足があると考えています。小手先というか、そうした取組も必要ですけれども、そうではなく、市としても予算をつけ、根本的には国の問題ですが、教職員の増員に取り組むことを今後改めて要望したいと思います。
 次に、養護教諭の問題ですが、今後は代替看護師への謝金にPTA会費は使わないことが確認されました。その上で、常時、養護教諭や看護師が学校にいる状況をつくるのに、パート看護師が8人で足りるかです。実態を見ながら対応強化をお願いしたいと思います。
 最後に、消防職員の体制についてです。
 私は、今回、殉職事故の教訓として、消防職員の命を第一に考えるなら、消防力の整備指針に沿った体制づくりをするべきだというふうに考えています。
 市が行政コストを考えて指針に満たない配置を容認しているなら、人命軽視と言わざるを得ません。市と消防局は十分な協議を行って、職員配置を行っているとのことですが、その消防の管理責任は市にあるんではないでしょうか。
 いくら消防局がこれでいいですよと言ったとしても、やはりそういう責任があると思います。改めて消防職員の拡充を求めて、質問を終わります。