職員の時間外勤務手当未払いについて、東豊田地域における農業基盤整備事業について

◯寺尾 昭
 今日は、職員の時間外勤務状況に関する調査結果とその対策、そして農地基盤整備事業の2つのテーマで質問いたします。
 まず、5月24日、難波市長が定例記者会見におきまして、時間外勤務状況に関する全庁調査結果の概要を発表しております。それによりますと、令和5年4月から令和6年1月までの間で、職員の時間外勤務手当の未支給が841人、延べ3万1,631時間、総額で約8,700万円あったとしております。一人平均を計算してみましたら、37.6時間。金額にしまして10万3,000円余ということになるわけであります。発表された調査の期間が令和6年1月末までですけれども、年度全体ではどうであったかを含めて伺いたいと思うんです。
 そこで質問ですが、令和5年度の時間外勤務をどのような方法で調査を行って、調査結果はどうだったのか。そして、調査結果をどのように受け止めているか、この点についてまず伺います。
 今回の発表は令和5年度のものですが、令和4年度以前にも同様の状況があったということは十分推測できます。もしあったとすれば、当然、これにも対応すべきであると私は考えますが、その点について、令和4年度以前についても全庁調査を実施する考えがあるかどうか、伺います。
 次は、時間外勤務未申請の原因についてなんですけれども、記者会見では時間外勤務未申請の原因について、年間の時間外勤務時間を配当し、その範囲内で行うこと、業務ごとに年間の時間外勤務時間の上限を定めていて、その範囲内で行うよう指示してきた結果、それを上回る時間外勤務を行わなければならない場合には、申請をせずに仕事をしてきたことが慣習となっていたというふうに表して、それは組織風土であったと、こういう表現しております。どのような理由で年間の時間外勤務時間を配当し、なぜ業務ごとに上限を定めたのか。そのために申請や命令なしに時間外勤務をしてきたことが慣習となっていたことの問題点については語られておりません。そして、それを組織風土ということで片づけていいのか、改めて問われるわけであります。
 そこで、組織風土に何が問題があったのか、伺っておきます。
 2つ目は、農地基盤整備事業についてでありますけれども、特に、私が住んでおります東豊田地域において、今、農地基盤整備が土地改良事業などで行われております。農業を取り巻く情勢は、引き続き厳しい状況にあります。とりわけ、後継者不足への対応は深刻です。私の住んでいる地域においても例外ではありません。農地所有者の高齢化と後継者不足によって、有度山西側斜面における少なくない畑地は、近年、耕作放棄地ということで増えておりまして、茶畑が森か林のようになっているという状況です。
 最近になって、農地所有者をはじめとする関係者の努力によりまして、土地改良事業による農地基盤整備事業が始まりました。私の住んでいる付近から斜面を見上げますと、大分進んでいるなという状況であります。作業が進んでいる状況、農地造成が進んでいる状況、こういう様子がうかがえるわけであります。
 そこで、農地基盤整備事業の概要と進捗がどのような状況にあるのか伺って、1回目といたします。


◯総務局長(大村明弘)
 私からは、3点の御質問にお答えいたします。
 まず、時間外勤務の全庁調査の方法及び調査結果、そして結果の受け止めについてです。
 まず、令和5年度の時間外勤務の全庁調査の方法ですが、静岡庁舎及び清水庁舎については、退庁記録と所属長がシステムで承認した時間外勤務実績を突合し、通常の勤務時間を超えて退庁した記録があるが、時間外勤務の実績がないものについて、所属長が職員に対して勤務の実態を確認いたしました。
 また、入退庁記録がない庁舎や出先機関については、未申請の時間外勤務があるか、所属長が職員に対し聞き取りを実施し、申請していない勤務があったかどうか確認を行いました。
 次に、全庁調査の結果ですが、令和5年4月から令和6年3月までの1年間で、職員841人について時間外勤務の未申請時間が3万2,492時間あることを確認しました。追給額は概算で約9,000万円となります。
 次に、調査結果の受け止めについてですが、令和5年度の時間外勤務の未申請時間が全庁的に確認されたことから、これまで以上に時間外勤務を適正に管理する必要があること、また、職員の業務が多忙であり、業務の見直しを徹底する必要があると考えています。
 次に、令和4年度以前の全庁調査の実施についてですが、全庁調査を実施する考えはありません。理由としては、令和4年度より以前については、職員の勤務実態があったかどうか、どれくらいの時間外勤務をしていたかなど、当時の状況を現時点で正確に確認することが困難であるからです。
 最後に、組織風土に何が問題があったかについてですが、これまで時間外勤務縮減対策として、毎年度、各局に時間外勤務時間を配当していました。この取組は、配当時間を目安として時間外勤務を行うよう業務の見直しや事務事業の効率化を進め、事務量を削減するために実施していました。しかし、業務量が減らない中で職員が配当を超えないよう意識した結果、必要な時間外勤務があっても申請せず業務を行うことが広く見受けられ、習慣化された状態であったと言えます。組織全体での習慣化という面で、組織風土に問題があったと考えています。


◯農林水産統括監(大村 博)
 農地基盤整備事業の概要と進捗についてですが、東豊田地域は駿河区の有度山丘陵西側の緩傾斜地に位置する畑作地帯で、やぶきた茶発祥の地としてお茶を中心とした農業が行われています。しかしながら、幅の狭い農道が多く、不整形で傾斜の大きい農地もあるなど、機械作業による省力化や生産性の高い農業を行うことが難しく、近年では荒廃化が進み、農地の生産条件の改善が必要となっていました。
 このことから、東豊田地域の池田地区と国吉田地区の2地区において、静岡県や地元推進組織が主体となり、農地の大区画化や平たん化を実施するとともに、園内道路を整備し、優良農地を確保するため、農地基盤整備事業に取り組んでいます。
 池田地区は、令和2年度から事業に着手し、7年度末の完成を見込んでおり、整備面積は13.3ヘクタール、全体事業費は約5億6,000万円で、現在の進捗率は約50%です。
 続いて、国吉田地区は、令和3年度から事業に着手し、9年度末の完成を見込んでおり、整備面積は17.9ヘクタール、全体事業費は約9億9,000万円で、現在の進捗率は約8%です。

◯寺尾 昭
 2回目でありますが、意見・要望は後でまた申し上げたいと思います。
 時間外勤務の今後の対策について伺います。
 労働基準法第32条では、御存じのように、労働時間は1日8時間以内と定められております。1週間にすれば40時間以内にしなければならないということであります。労働基準法というのは、最低基準ということになっております。これに違反した場合は、使用者に6か月以下の懲役または30万円以下の罰金ということですから、気をつけてください。つまり、それだけ重みのある規定だということであります。今、職場で横行している時間外勤務の状況を見ると、時間外勤務が当たり前となっており、あくまで例外規定だということが忘れられているのではないか。また、労働基準法の趣旨を軽視して、これを遵守しようとする使用者としての意思が私には見えません。ましてや、今語られました組織風土を理由として、ただ働きを見過ごしてきたというふうに言っても言い過ぎではないと考えるわけであります。
 質問です。
 業務は原則、労働基準法で定める労働時間の中で処理すべきと考えるわけでありますが、時間外労働の在り方をどのように考えているのか、改めてお伺いいたします。
 市長記者会見の際の資料2-5)というのがありまして、これは所属ごとに時間外勤務の増加原因を把握して、どこに問題があるのか分析するとしております。時間外勤務の縮減に向けた分析と対策について、どのように考えているのか、これについてもお伺いいたします。
 次に、農地基盤整備事業についてであります。
 東豊田地域において進められている農地基盤整備事業に対して、農業後継者問題の解決につながるか、効率的な農産物の生産に貢献できるかなど、期待の声が上がっております。完成後の事業の効果と農地の利活用はどのようになるのか、この点についてもお伺いしておきます。
 以上、2回目です。


◯総務局長(大村明弘)
 私からは、2点の御質問にお答えいたします。
 まず、時間外労働の在り方についてですが、時間外勤務は、公務のため臨時または緊急の必要がある場合に、原則1年に360時間の範囲内において職員の健康及び福祉を害しないよう配慮して行う必要があると考えております。
 次に、時間外勤務の縮減に向けた分析と対策についてです。
 本市では、毎年度、各局及び時間外勤務時間の多い所属に対し、ヒアリングを実施しています。時間外勤務の要因の分析も行っております。今回の結果を受け、改めて時間外勤務が多くなっている業務やその原因を調査・分析することで、時間外勤務の縮減に取り組んでいきます。
 また、時間外勤務の縮減に向けた対策として、今年度、長時間勤務の是正のための時間外勤務適正化・縮減対策を策定し、主に3つの取組を進めています。
 1つ目は、職員の勤務時間の管理を徹底することによる正確な勤務時間の把握です。
 2つ目は、業務の見直しやDXによる事務事業の効率化。
 3つ目は、業務の負担が一部の部署に偏らないよう、人員の配置換えなどによる業務の平準化です。長時間に及ぶ時間外勤務は、職員の活力が低下し、政策立案や業務遂行などに支障をきたし、職員の心身の健康や生活にも深刻な影響を及ぼすことから、これらの取組を進めることで時間外勤務の縮減に努めていきます。


◯農林水産統括監(大村 博)
 完成後の事業の効果についてですが、東豊田地域の農地基盤整備事業の計画では、小規模で不整形な農地を大区画化・平たん化することで、農業機械の導入が可能となり、農作業の効率化が図られ、生産コストが20%以上削減されます。
 また、生産面では、収量の増加や高収益な作物への転換などにより、販売額が20%以上向上します。
 次に、農地の利活用についてですが、基盤整備された優良農地は高品質な農作物を効率よく生産することが可能となり、農業所得の向上及び農業経営の安定化が図られることから、認定農業者等の意欲ある担い手に集積・集約し、持続的な生産基盤として活用していきます。
 また、今回の基盤整備事業では、事業対象区域の全ての農地を公的機関である農地中間管理機構を通じて15年間担い手に貸し付けることから、長期にわたり優良な農地が維持されます。
 さらに、優良農地を次の世代に引き継いでいけるよう、事業主体である静岡県や地元推進組織、JAと連携し、農地の継続的な利用調整に取り組んでいきます。
 このような東豊田地域の取組が1つのモデルとなり、他の地域においても適正な農地の利活用が進んでいくことを期待しております。


◯寺尾 昭
 3回目、意見・要望ということになるわけですが、まず、時間外勤務手当の未払いに関してです。
 局長のお話では、令和4年度以前の未払いについては調査をしないと。つまり、未払いについては払わないという回答です。その理由が当時の状況を正確に把握できないという回答でありました。言い方は悪いですけれども、借金の踏み倒しと同じではないかと思います。つまり、ただ働きを当然視するということではないかと私は思うんです。正確に把握できないといっても、最大限努力して把握する方法はあるはずです。あらかじめ時間外勤務時間を各局に配分し、その範囲内で勤務をするように指示したことにより、各部署で時間外勤務時間の上限が決められて、それを上回る勤務をしなければならない場合には、申請すなわち勤務命令をしなかったと。これが時間外勤務手当の未支給の原因であったとしております。上限を超えれば、それ以上時間外勤務をしても手当は出さない。しかし、やるべき仕事は残っている。結局やらざるを得ない。これが職員の率直な思いなんです。好き好んで仕事をしている人も中にはいるかもしれませんが、そういう人は少ないと思います。ですから、やったことについては、やっぱりちゃんとその分を支払うというのが当然ではないかと思います。
 そして、それをまた組織風土──組織風土というのは、意味としては自然現象ということなんです。自然的に発生したと意味する表現は、使用者としての責任を回避するものだというふうにも言えるわけであります。1日の労働時間は8時間以内でなければなりません。時間外労働はあくまでも例外的なものでなければならない。これは局長答弁にあったとおりでありますが、それをやはり、しっかり実践してもらわなければいけないということになるわけです。
 5月24日の記者会見で、市長は1人当たりの仕事量が多過ぎる、市民サービスを低下させずに事務事業を効率化する取組を進めなければいけないというふうに述べておられるわけですが、これは、効率化という点で、これまで様々進められてきております。しかし、時間外勤務は依然としてほとんど変わっていないという状況です。公務員の仕事は社会の動きの中で複雑・多様化するとともに、最近ではコロナ感染拡大、地震、大雨災害、増える要素はたくさんあったわけでありますから、やむを得ない面は私も認めます。しかし、実際、日常的な仕事量が多過ぎる。市長の言われるとおりです。効率化だけでは追いつかない、そういう面があるんです。公務員の仕事はマンパワーということになるわけです。
 ただ、私が疑問に思うのは、これらの問題を解決するために、全庁的にどれだけの人員を配置したらよいのか、そのために増員は何人必要か、こういう議論がほとんど──ほとんどじゃなくて、全くと言っていいほどやられていない。つまり、マンパワーの問題はあまり議題にされていないという状況です。増員あるいは人員配置、こういう問題をやっぱりタブー視してはいけないということで、検討課題の柱に置くことを提案いたします。
 そして、それをぜひ市長にリーダーシップを発揮していただきたいということを強く要望したいと思います。
 東豊田地域の農業基盤整備事業についてですが、実は住民にあまりこれが知らされていないという状況があります。そして、災害などの関係で、住民の側からも少し心配の声が上がっております。そういう点で、静岡県と十分な調整を行うように要望しておきます。そしてまた、整備した優良農地が長期にわたり維持できるように、しっかり担い手につながるような取組を期待して終わります。