◯杉本 護
それでは、日本共産党静岡市議会議員団を代表して、請願第4号小・中学校の全児童・生徒の給食費の無償化と地場産の有機作物を積極的に使用することを求める請願の賛成討論を行います。
この賛成する第1の理由は、市民の要求であり、義務教育はこれを無償とすると規定している憲法の要請だからです。
この署名は、静岡市よりよい学校給食をめざす会が取り組んだものですが、昨年度の6月定例会にも同じ会から給食費の無償化を求める請願署名が提出をされています。昨年度提出された署名数は8,727筆、今回は1万1,152筆と大きく上回っています。これは、静岡市民の学校給食無償化を求める声が大きく高まっていることの現れであり、まずはこの請願を真摯に受け止めるべきではないでしょうか。
また、憲法上の問題では、市は市民環境教育委員会での答弁で、最高裁判例の無償とは授業料不徴収の意味と解するのが相当であるを引用して、無償化の対象は授業料のみのように説明をしていますが、同じ判例で最高裁は、憲法は全ての国民に対し、その保護する子女をして普通教育を受けさせることを義務として強制しているのであるから、国が保護者の教科書等の費用の負担についても、これをできるだけ軽減するよう配慮、努力することが望ましいというふうにも述べています。
つまり、憲法は、国民に対して義務教育として強制しているのだから、教育に係る費用については国が負担することを求めていると考えます。そのため、現在、教科書は無料提供となっています。この食育である学校給食の無償化は、まさしく憲法の今日的要請であります。
賛成する第2の理由は、物価が高騰する中、貧困対策、子育て支援につながるからです。
物価の高騰が止まりません。この10月にも、何と2,911品目が値上げをされました。今年度の賃上げは33年ぶりに5%台となっていますが、物価の高騰に賃金が追いつかず、8月の実質賃金はマイナス0.6%となり、暮らしが脅かされています。
そうした状況の下で、小学生も中学生も年間5万円を超える学校給食費、子供が3人いれば15万円を超え、家計を直撃しています。請願者の趣旨説明でも、給食費が無償になれば、その分を塾など子育てに使うことができると訴えています。
収入の少ない家庭は、生活保護や就学援助を受けていれば給食費は無償になりますが、そもそも、生活保護の捕捉率の低さや援助を受けるためらいなどで、そうした支援を受けていない家庭があります。
我が国の学校給食は、明治22年に山形県で貧困児童を対象に無償で行われたのが発祥であるとされ、国庫補助による学校給食は、子供たちの栄養改善の見地で、戦後まで続けられました。学校給食の無償化で、子供たちに負い目をかけずに食について楽しく学べる場を提供することができます。
第3の理由は、人口減少、少子化対策となるからです。
日本共産党静岡市議団が視察をした兵庫県相生市は、古くから学校給食費の無償化を行っています。話を聞いた職員は、人口減少に歯止めはかかっていないが、その速度を抑えることができていると述べていました。
小中学校の完全無償化は、全国では30%を超え、一部を含め何らかの無償化を含めれば40%を超える自治体が実施するなど、大きな流れとなっています。
市民環境教育委員会での討論では、我が党以外の自民党、創生静岡、公明党、志政会の各会派は反対をしました。その理由として、国がやるべきこと、意見書が出されている、市長が動いているなどが1つの理由として挙げられていますが、本市が無償化に踏み込んで、国を動かすぐらいの気概を持てないものでしょうか。
また、毎年24億円という財政負担も反対の理由となっていますが、本市の2024年度の一般会計予算は3,534億6,000万円であり、給食費無償化に必要な24億円はわずか0.68%です。しかも、24億円の支出が市民の家計を助け、少子化対策、人口減少対策となり、さらに経済波及効果をもたらせば、それほど大きな支出ではないと考えます。
当局は、学校給食無償化で子育て支援の自治体間の競争になることに懸念を示していますが、本市は保育料の第2子以降無償化を独自に進めていますし、そのほかにも独自の施策は幾らでもあります。学校給食を殊さらに取り上げているのはなぜでしょうか。理由にならないと考えます。
次に、地場産の有機作物を積極的に使用することについてです。
子供たちが食べる学校給食には、化学肥料や農薬を使わない、安心・安全な有機農作物を使ってほしい。誰もが願うことです。本市も有機作物として、丸子の野菜や由比、庵原のお米の使用など、試行的に取組を始めています。
今後、本格的に学校給食に取り入れるためには、地場産の有機野菜の量と値段などの問題があると考えます。その解決の一案として、学校給食で積極的に扱うとなれば、農業者にとっては販路が確実にあることで、有機農業に積極的に取り組むことができます。
そして、有機栽培は、土壌中に炭素を貯留し、大気中の温室効果ガスの削減に貢献します。子供たちには、安心・安全でおいしい農作物を提供しながら、新たな農業振興、さらに環境対策にもつながる一石三鳥の取組として進めるべきであります。
以上、賛成の理由を述べさせていただきました。議場にいる議員各位におかれましては、改めて考えていただき、この請願を採択されることをお願いして、賛成討論とします。